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Emerald  作者: 藍沢 咲良
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理由 9


慌ただしくお会計を済ませ、店を出る。店を出る直前、悠さんが少し不満げな顔をしていたのが気になるけど。

白井先生は地元の人しか出さないであろう、公には言えない速度で車を飛ばし、無事時間内に職員室に戻ることができた。




「なあ美咲」

夕食を終えて食器を片付けていた。スポンジに洗剤をつけて洗い始めた私を腕で包むこの体勢は、何度言ってもやめてくれない。本当に食器が割れないと彼はやめないだろう。


あれから音楽準備室の整備をしていた。柿小の音楽準備室には和太鼓が大量に鎮座している。地域伝承の太鼓に全校で取り組んでいる為だ。それ故、本来音楽の授業で使用する楽器は音楽準備室の隅に申し訳程度に収納されている。まず、どの楽器がどこに収納されているのか。それを把握するところから始めた。一学期の音楽の授業は、音楽準備室に入りきらなかったマリンバやビブラフォン、子どもたちが持参したリコーダーや鍵盤ハーモニカで事足りていた。


「悠さん、いつも言ってますけど。毎日言ってますけど。この体勢、食器洗いずらいです」

「美咲、俺と結婚する決め手、何だったの?」

白いお皿がつるりと私の指を滑る。「わっ」反対の手で制止して、何とか割れるのを防いだ。

「悠さん…」

「ねえ、何だった?」耳元で囁くように問う彼の吐息が耳に当たる。洗い物の途中だというのに、力が抜けてしまう。声が漏れそうになるのを何とか堪える。

「早く答えないと、もっと触るよ…?」

サマーセーターの裾から悠さんの大きな手が侵入した。下着の上から、いつもよりゆっくりと揉みしだかれて、(じれ)ったい。先端が硬くなるのを感じた。でも今日は、なかなか触ってもらえない。

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