理由 6
「どうも。俺、日替わりで。かっちゃん、今日の日替わり何?」
「エビフライだよ。すぐ作ってくるよ」
勝雄さんはすっと立ち上がるとキッチンに向かった。
「…結城先生だって、何か言うことあるんじゃないの?」
ずっと頬を染めていた安達先生が私に矛先を向ける。これは、勝雄さんから聞いているな。
「えっ?結城先生も何かあるんですか?」
目を丸くした白井先生は、すぐにワクワクした顔に戻る。
「美咲、まだ言ってなかったのか?」
いつもの習慣でスマホを弄ろうとした悠さんは、スマホを座布団の隣に置いた。
「管理職に伝えるのが先かなって思ってたから…。でも、安達先生と白井先生だったら黙っててくれそうですね」
「え?何ですかその黙っていないといけないミッションは?もしや…」
もう既に白井先生、楽しそうだし。
「勝雄さんが戻ってきたら言うよ」
「いやここまで言ったら言おうよ」
安達先生が言いたくてしょうがない、という顔をしていた辺りで勝雄さんが悠さんの日替わりランチを手に戻ってきた。
「日替わりお待たせ」
「エビフライ、ここでは初めて出てきたな」
トメさんと同じことを言う悠さんは、本当にほぼ毎日ここにお昼ご飯を食べに来ているのだろう。
「ん、美味い。かっちゃん、エビフライ珍しいな」
「友香ちゃんがエビフライ好きだって言ってたから。仕入れてみたら思ったより美味しく仕上がったんだよ」
照れ臭そうに語る勝雄さんと、またしても頬を染める安達先生はお似合いだと思う。
「安達先生がラブラブなのはめでたいんですけど。私、結城先生の話が聞きたいんですけど。もう白状してもらっていいですか?」