理由 5
「お待たせしました。アイスコーヒー3つね」
「勝雄さん、ちょっとここ座ってもらえます?」
アイスコーヒーを受け取り、安達先生の隣に座っていた私は一つ隣に席を移動した。
「お二人さん?もう教えてくれてもいいんじゃないですか?」
にやにやの止まらない私が追及を始めると、白井先生も援護した。
「もうね、お熱いのがバレバレなんですよ?」
「教えるも何も…美咲ちゃんは悠から聞いてるでしょ?」
「ええ。でも、ご本人達の口から聞きたいものなんですよ」
安達先生の顔が乙女の顔になっている。可愛い。頬を染めているではないか。さっきのトメさんと同じ表情だな。恋する乙女とはみんなこうなのだろうか?
「ええと…勝雄くんと、お付き合いしています」
そうか、勝雄くんって呼んでいるのね。ああ、にやにやが止まらない。
「良かったじゃないですか、安達先生。暑い夏が更に熱くなりますね」
白井先生もにこにこが止まらない。みんなを笑顔にして祝福される恋って、いいな。
ふと、悠さんの顔が思い浮かんだ。私達は生涯の伴侶になることを決めた。私の実家の許可は貰えたけど。悠さんの実家は…。一筋縄ではいかない現実を思い出し、少し胸が重くなった。
と、そのときだった。カランコロンと鐘の音が店の中に響く。
「お、悠、ナイスタイミングだな」
「ナイスタイミングって…?お、かっちゃん、その人が彼女?」
「そう、安達友香さん」
「安達、です…」
安達先生が悠さんに向かって会釈すると、悠さんは私の隣に座った。