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静黙 10
これが挙式直前でなければ。私が悠さんと婚約していなければ。悠さんと付き合ってなければ。
…なんて一瞬思ったけど。
「その結婚、考え直した方がいい」だなんて無責任なことは言えないし。そもそも私が口を挟む事ではない。
「…先生優しいから、やってあげちゃうんですね」
鈴木先生は、口角を少し上げるだけだった。
午前中だけで牛乳パックの山は片付いた。鈴木先生は20個程残して、「折角だから、これは生活科で使うよ」と言い残して教室に持って行った。
職員室に戻ると、安達先生と白井先生が談笑していた。もうそろそろお昼ご飯の時間だ。今日という今日は、安達先生に超重要事項を吐いて頂かなければ。
「お疲れさまです」
「あ、結城先生、お疲れです。牛乳パックの山は片付きました?」
白井先生は牛乳パックの山の存在を知っていたらしい。「牛乳パックの山?そんなのあったっけ?」安達先生は家庭科室に近付く用事が無いので知らなかったらしい。