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静黙 4
「その、彼女というのがさ…、あ、でも美咲は美咲で報告を受けた方がいいか」
勝雄さんに彼女が出来たのがよっぽど嬉しいのか、珍しく悠さんのニヤニヤが止まらない。
「悠さん?そこまで言ったら話しましょうよ?」
「え?聞きたいの?」
「そんな言われ方されたら気になるに決まってるじゃないですか」
「しょうがないなあ…。じゃあ、ご飯おかわり」
お茶碗を差し出しながら、まだにこにこしている。
「ほんっと勿体ぶりますね。ご飯、山盛りにしちゃいますよ」
「美咲のご飯なら山盛りでも全然余裕」
「もう…」
宣言通り、ご飯を山盛りにして彼に手渡す。
「本当に山盛りにしたな」
絵に描いたようなご飯の山盛りを目にして相好を崩した彼は沢庵に箸を伸ばした。
「沢庵、うまい」
「悠さん。さっさと吐いてくださいよ」
「ん…美咲、納豆ある?」
「ありますけど…」
「じゃあ、納豆食べたら言う」
「悠さんが教えてくれたら出します」
「納豆食べないと言えない。ご飯、こんなに山盛りだからな」
不敵に笑う悠さんを軽く睨んでもびくともしない。渋々冷蔵庫に納豆を取りに行く。悠さん、こんな駄々っ子だったっけ?