約束 7
夕食は焼きそばだった。母が下ごしらえをした食材を、父がホットプレートで焼く。鍋奉行みたいなもので、昔から一番いいところだけ父はやりたがる。母に至っては少しでも自分の作業が減るから問題無いらしい。
5歳離れた弟、達規はゲーム会社に就職するべく、専門学校に通っている。今日は友達の家に行っているらしい。
父がビールから焼酎に切り替え、うとうとした頃、母が切り出した。
「今は…大丈夫なの?美香子に任せっきりで申し訳ないとは思ってたんだけど。でも美咲は社会人だから干渉し過ぎるのもどうかと思っていたの」
「うん…今は、大丈夫」
「今、一緒に暮らしてる人とはどうなの?結婚は考えてるの?」
「その話をする為に、帰ってきたの。彼…黒瀬悠さんっていうんだけど。悠さん、こないだプロポーズしてくれたの。私、彼と結婚しようと思ってる」
「美香子がその彼に任せておけば、美咲は大丈夫って聞いたけど。お母さんは会ったことないから、まだ何も言えないよ」
つまり、連れて来いという意味だろう。
「そう、だから、悠さんが挨拶に来る日の日程合わせをしたいの。出来ればお父さんが素面のときに」