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約束 5
「挨拶、いつにする?」
今までで一番幸せな情事の後、私達は夏布団の中で額をくっつけたり唇を重ねたりしていた。
「挨拶って…。結婚が一気に現実になりますね」
「現実だろ?やっぱり夢でしたって言われても、もう変更不可だからな」
怪しい笑みを浮かべて、また唇を重ねる。「俺、もう一回したい」掠れた声で言うと、舌がゆっくりと歯列をなぞり始めた。吐く息が荒くなる。甘い声も漏れ出して、言葉を紡げない。
悠さんはもう、私の敏感な所は知り尽くしているんじゃないか…?そう思える程に、私の脳内は快楽に支配されていった。
「…土日、かな。7月か8月の。美咲、御両親に予定聞いといて」
今日の朝食は和朝食にした。といっても、ご飯と味噌汁と作り置きの煮物と漬物を添えただけの簡単なものだ。
「悠さんの御両親には、いつ行きますか?」
「多分、うちの方が厄介だから…。美咲の御両親への挨拶を先にクリアしたい」
やっぱり、悠さんのお家…黒瀬家への挨拶には、覚悟が相当必要なようだ。