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約束 2
部屋に着いてもまだ混乱していた。
鞄の中でスマホが震えている。
『今日、遅くなる。21時越えるから先ご飯食べてて』
悠さんからのメッセージだった。
悠さんに、聞きたいのに。直接、顔見て聞きたいのに。こんな時に限って、きっとゆっくり話せない。
呆然としたまま、スマホを握りしめたまま、どれくらいの時間が経っただろうか。頬を濡らす水分に気付いたのはそこから更に時間が経ってからだった。
ドアの開く音がした。
「美咲?帰ってないの?」
部屋が明るくなる。私は帰ってから、電気を付けていなかったみたいだ。
「美咲、どうした?電気もつけないで」
顔を覗き込む彼と目が合った。何となく今は、顔を見られたくて顔をそむけた。
「美咲…?何かあったのか?」
心配そうに私の顔を覗く彼。こんなに優しい彼が、どこかの御令嬢と、婚約…なんて。
彼は私の目からはらはらと落ちる涙を見て、ただ動揺していた。
「美咲、何があったんだ?…俺、言ってくれないとわかんないよ」