119/237
暁天 10
「どこで出会ったの?あれだけかっこいい人、なかなか落っこちてないじゃん」
安達先生は残りの小鉢を綺麗に平らげて箸を置くと、私への追及に集中した。
「あの人…ゴッホの池のイケメン店員じゃないですか?」
白井先生が悠さんの写真が載ったネット記事をスマホに表示した。
「白井先生、検索能力、優秀過ぎない…?」
「本当だ!これは観光客のマダムに知られないようにしないとね」
2人の楽しそうな追及から逃れられない私は、何とか鮎をクリアした。
「コーヒー、頼みましょうか。ランチタイムは食後にコーヒーが付くんです」
安達先生が勝雄さんに手を挙げてアイスコーヒーを3人分注文した。勝雄さんが伝票に何かを書き込んでテーブルに置くと、扇風機の風で伝票が舞った。
「「あっ……!!」」
風に舞った伝票を押さえようとした安達先生と勝雄さんの手が重なった。
ふたり、顔を見合わせて止まっていた。
伝票は床に落ちてしまった。
白井先生が伝票を拾うと、そっとテーブルに置いた。