疼き 11
桜汰からのメッセージをスクリーンショットで保管していた。警察署で証拠として提出出来るようにする為だ。前回警察官からアドバイスされていた。
その通りに証拠を提出して、現状を説明する。
「もう既にストーカー行為の禁止命令は出してあるようですね。暫く大人しかったのは、そのせいでしょう。しかし、違反していることが分かったので罰則により、検挙することができます。希望されますか?」
「検挙…」
そこまで、しないといけないのだろうか…?
かつては好きだと思っていた相手だ。
「俺は検挙してもらいたいのが本音だ。美咲、一度襲われたんだ。情は出してはいけない」
悠さんは硬い表情を崩さずに言うと、その女性警察官も頷いた。
「情に付け込むのが、ストーカーの特徴でもありますが…」
「そこまでしないといけないのですか?と言われる方が多いです。かつての交際相手ですからね。でも、加害者を立ち直らせる為には必要なことではないでしょうか?」
立ち直らせる…。
そもそもの別れの原因を作ったのは桜汰だった。でも何故か私に執着している。私に悠さんが現れたのが、そんなに悔しかったのだろうか?急に惜しくなったのだろうか?
考えても分からない。
ただ一つわかることは…。
桜汰も、前に進むべきだ。