疼き 10
「悠さん、怒んないで…」
「いや怒るだろ。まだ諦めてなかったのか、あの男。それに、美咲」
うう。やっぱり矛先は私に来た。
「何でメッセージが来てすぐ言わなかった?」
悠さんの怒った顔は怖い。私の為に怒ってくれていると分かってはいても、でも出来れば怒らせたくなかった。
「桜汰のこと…考えたくなかったから。今が、悠さんとの生活が幸せだから、桜汰の話なんてしたくなかったの」
消え入りそうな声で言うと、彼は優しい声音で目を細めた。
「それでも、言ってくれないと。危険度がわかんないだろ」
頷きながら肩を落とす。
いつになったら、私は桜汰から解放されるのだろうか?
「後で警察に電話しておこうか」
「電話?」
「一度襲われてるんだ。警察だって動かないわけにはいかないだろう。美咲の身の安全がかかってるんだ。直接警察署に行ってもいいんだけどどうする?」
「電話で、いいよ」
また悠さんを煩わせるのは申し訳ない。
斜め上を見つめて暫く思案した彼は、私を真っ直ぐに見据えて告げた。
「いや、直接警察署に行った方がいいかな。嫌かもしれないけど、いい加減解放されたいだろ?解決する為だ。ご飯食べたら出掛けよう」