ブラック企業の振りをして
ここに来るたび、貴方は言うわ
「仕事がきつすぎる」だの
「こんなブラックな会社入るんじゃなかった」だの
「いっそ転職でもしようかな」なんて言った日もあったわね
でも、それは『嘘』
貴方が務めているのはブラック企業じゃない、とても真っ当な会社
業務だって、他の人と同じ程度しか割り振られていない
給料だってちゃあんと振り込まれているじゃない
それでも貴方は言うわ、ブラック企業だって
きっと、そう言い張っていれば誰かが自分を慰めてくれると思っているのね
だから少しでも現実から目を背けようとして、『こんなところ』に来ている
だけど、残念ね、私は天邪鬼なの
貴方が現実から逃げ出したいと言うのなら、私は貴方に現実を突きつけるわ
世界っていうのはね、とおっても広いのよ
それこそ、私や貴方には想像できないくらいにね
だから貴方は、想像できないんだわ
世の中には、働きたくたって働けない人だっているのよ
貴方の務めているような会社で働きたいと思っている人は、世界に山ほどいるわ
それくらい、貴方は恵まれた環境にいるの
現実逃避は決して悪いことじゃないけれど
でも、偶には現実と目を合わせて話し合ってごらんなさい
ほらね?
案外現実も、「悪くない」でしょ?
読んでいただきありがとうございます。作者です。
語彙や文章表現に自信がないのでこういった作品は今まで書いていなかったのですが、何事も挑戦!、ということで。
企画応募作品なのでタイトルに「ブラック企業」と入れていますが、その縛りがなかったら「BARの名は『小説家になろう』」というタイトルにするつもりでした。皆様はどちらがお好みでしょうか?
短い作品ではありますが、楽しんでいただけたのなら幸いです。