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長雨の間はとくに

作者: タマネギ

湿った風が背中に当たっている。

今日からは長雨になるようで、

蒸し暑く、シャツが背中に

張り付いている。

皮膚が、眼球が、臓器が

気怠く痛痒くなってきた。


この一人きりの世界に、

重い荷物が置かれて、

ずいぶん経つ。


今日は、重力に耐えかねて、

見ないでおこうと思いながらも、

つい、外の世界を眺めて

しまった。


外の世界は予想通り、

賑やかで、よく食べて、

それでいて、眠らない。

汗をかき、汗をかかず、

薬をふりかけている。


それはきっと、

誰もが、あのことを知らない

からだろう。

自分以外、

誰一人知らないあのことが、

頭の中に充満し、

脳がぶよぶよにふやけていく。


とは言え、どちらかと言えば、

知らないほうがいいのだ。

知らなければ、笑っていられる。

知らなければ、きっと、

まともでいられるから。


外の世界から戻っても、

しばらくの間、

痛痒い思いに変わりはなかった。

さて、この難儀さを、

どうにか鎮めるために、

庭の草木を眺めていたいものだ。

長雨の間はとくに。

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