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ジェイドちゃんよぉ、なんか言ってみろよへいへーい



「というわけで、こんにちわー。あ、魔族にも挨拶ってあるのかな?」


「…………」



 魔王を、己の料理で唸らせ人間への攻撃をやめてもらう……思い立ったヒスイは、その足で魔王軍が滞在している場所へと向かった。


 居場所は、ジェイドの案内によりわかる。本当ならば、ヒスイ一人案内役のジェイドだけで行くつもりだったのだが……



『わ、私も行きます! ヒスイ様だけにしたらなにをするかわかりませんからね』


『わ、私も! 私だって、皆さんの料理仲間……ですよね?』



 アニーシャとペイの願いにより、二人も同行することに。子供のペイだけは置いていこうと思ったが、こんな言い方をされては置いていけない。


 ヒスイ、ジェイド、アニーシャ、ペイ……結局、ユウシャの家を切り盛りした四人で出発することに。


 国王からは何人か兵士を連れていくようにと言われたが、こちとら戦いに行くわけではないのだ。大勢で行っても、いたずらに相手を刺激するだけ。


 そのため、今魔王軍を前にやって来たのは、料理で繋がった四人のメンバーだ。



「ユウシャの家出張版でぇす」


「……は?」



 突然やって来た、勇者を名乗る……というかユウシャの家というものを名乗る謎の集団。そのメンバーを前に、魔王は開いた口が塞がらない。



「ジェイド、なんだこれは」


「……お伝えしたように、会わせたい人がいると」



 ジェイドが勇者側にいる……ということは、魔王軍を裏切ったのだろうか。にしては、なんだあの複雑そうな顔は。


 実際、ジェイドの心境は複雑であった。まさか、いきなり『私が交渉するよ、魔族……いや魔王と。私の料理を食べてもらって、その舌を唸らせてやる!』なんて言った時には、ついに頭がイカれたのかと思ったほどだ。


 その勢いに押され、ここまで案内してしまった。不覚である。



「……まあいい。貴様が勇者で、わざわざここまで来たということは……そういうことなのだろう?」



 魔王は、一言で言ってしまえばでかい。身長が五メートルはあるだろうか。見上げると首が痛くなりそうだ。


 さっきまで座っていたのだが、立ち上がる。肌が紫色のため、健康に悪そうだ。というか、全身紫でどんな姿をしているのかがよくわからない。とりあえず二足歩行っぽいが。



「さあ抜け! 存分に殺し合いを……」


「あー、そういうんじゃなくて。座って座って」



 殺気立つ魔王及び魔王軍だが、ヒスイはなぜか平然としたままだ。その後ろのアニーシャは来るんじゃなかったと後悔しており、ペイに至っては気絶寸前だ。


 周りの様子を観察しつつ、ヒスイは自らが引いてきた……屋台を、その場に固定。なにが出てくるのかと警戒する魔族をよそに、ヒスイはせっせと準備を始める。



「そういう殺伐としたのは、私の用事が住んでからね。ほら、アニーシャ、ペイ。手伝って」


「えっ、あ、はい」


「はぁ、はいぃ……」



 人間三人が、木造の変な家のようなものでなにかをやっている。それは、魔王たちに警戒させながらも、同時に興味を抱かせる。



「ジェイド……あれはなんだ。なにをしている」


「……料理の準備、ですね」


「料理ィ?」



 なにを言っているのか、わからないといった様子。ただ、ジェイドも自分がなにを言っているのかよくわからない。


 ちなみにジェイドは、人間の国に侵入して情報をよこす係としていたのだが、自身が料理をしていることは話してはいない……



「おーいジェイドも、手伝ってよー。人数分のラーメン作らないといけないんだからー」


「ジェイド、お前人間と料理を?」


「……」



 ジェイドは、思わず顔を押さえる。



「おいおいマジかよジェイドー」


「いつから人間と仲良くなったんだぁん?」


「おいジェイドちゃんよぉ、なんか言ってみろよへいへーい」


「……うるさいな」



 他の幹部からからかわれ、ジェイドは顔を赤くする。早くこの場から逃げたいなんて思いながらも、呼んでいるヒスイの所へと向かっていく。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 貴重なジェイドのデレ……じゃない、照れ逃げ!? 本人はいじられて大変でしょうに……。 魔王の特徴、5メートルあるまではいい。肌が紫だからって健康に悪そうっている表現wwwだ、ダメだ、この…
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