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その結末は……!



 そして、通された大広間。というか、ヒスイが最初に召喚された部屋。



「うむ、来たの」


「うん、来たよ」



 この場に通されたのは、ヒスイ、ジェイド、アニーシャ、そしてペイの四人であった。


 相変わらず国王相手にもタメ口のヒスイはさておき、聖女であるアニーシャも普段通り。魔族であるジェイドもどこか堂々とした様子だ。だから今、体を震わせているのは……この場に初めて足を踏み入れた、ペイだ。



「あ、あの、ほ、本当に、私なんかが、この、神聖な場所に、入ってよかったので、しょうか……?」



 一市民であるペイにとって、城へと足を踏み入れるだけでも光栄なこと。しかしそれだけでなく、国王とこうして直接顔を会わせるなんて、一生かけてもあるかわからない。


 城の兵士たちから向けられる視線が、怖い。なんでこんな平民なんかが、城に、しかも大広間にまで入ってきているのだと言われているようで……



「大丈夫だって、ペイちゃん。お店の従業員を全員連れてこいって言ったのは、あの国王(おっさん)なんだから。気兼ねする必要はないよ」


「おっ……ヒスイさんはもう少し気兼ねしましょうよ!?」



 恐れ多くも、国王にタメ口どころかおっさん呼ばわりしている我らが店主……自分が言ったわけではないのに、思わず泣きそうなペイだ。


 その発言に、反応したのはペイだけでなく……



「貴様、国王様になんたる口の聞き方を……!」



 兵士の一人が、ヒスイの発言に聞き逃せないと詰め寄る。本来、打ち首でもおかしくないほどの発言だ。


 だが、ヒスイは冷めた瞳で……



「うるさいってのよ、ぶっとばすわよ」


「すみませんでした」



 怒りを抱いていたはずの兵士の勢いを終息させるほどの圧を感じさせ、言い放った。静かな言葉の中に、どうしようもなく逆らえない雰囲気だ。



(理不尽だ……!)



 ペイは、そう思った。



「いや、良い。今さら勇者殿に礼儀のある言葉にしてもらうのは無理じゃ」


「おう、わかってんじゃん」


「誉めてないわ!」



 おっほん、と、国王は大きく咳払いをして、ヒスイを見つめる。そして、アニーシャ、ジェイド、ペイと視線を巡らせていき……



「四人で、店の切り盛りを?」


「そ。本当ならもっと人手も増やしたいところだけど、とりあえず二週間って約束だしね。短期間で売り上げを伸ばすなら、人集めより手早く回していくことを選んだってわけ」


「ふむ……」



 この二週間、売り上げは決して悪くはなかった。もちろん、店を出すなんて初めてのことで、いっぱいいっぱいであったのは確かだ。それでも、決して悪くはなかった。


 店内では笑顔が溢れ、外には行列が並ぶ。たった二週間だが、毎日のように来てくれる常連と呼べる客だって現れた。


 当たり前のことだが、期間が一応二週間と定められていたため定休日などはない。言い出しっぺのヒスイはともかく、他の三人も、休みはなしで働いてくれた。ありがたいことだ。


 そんなユウシャの家も、今日は休み。従業員が全員城に呼び出されたためだ。



「二週間でこの国で一番の売り上げを出す……それが、このままお店を続ける条件だったよね」


「あぁ。それが果たせなかったとき、勇者殿にはすぐにでも魔王軍討伐へと向かってもらう」



 ヒスイがお店を出すための条件……それを確認した両者。国王は、チラッとジェイドの姿を見やる。魔族、それも魔王軍の幹部という彼は今ヒスイらと良好な関係を築いているが、必要とあらば……そういった顔だ。


 それに気づいて、ヒスイはなにを言うでもなく。ただじっと国王の姿を見つめる。



「しかし、たった四人で……よくも、ここまで続けられたものじゃ。腕がなければ、二週間を待たずにつぶれてもおかしくは……」


「ま、前置きはいいよ。聞かせてよ……条件を果たせたか、果たせなかったか」


「……ふむ、そうだな」



 ヒスイたちが知りたいのは、たった一つ。店を続けられるか、否か……否であれば、ヒスイは勇者としての役目を果たさなくてはならない。


 アニーシャもペイも、ジェイドでさえもおとなしくしている。国王が側近に目配せし、側近が一歩前に出る。手に、紙を持っている。店の売り上げを、調べたものだろうか。


 側近は、口を、開く。果たして、その結末は……

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