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71/88

10-0.5:朝?

本日12/31 8、12、18時

明日1/1 8、12、18、20時

に、今回更新分を連続投稿します。


なお、具体的な描写はしていませんが今回もエロ回です。

 眠っているとも目覚めているとも、どちらとも言い難いぼんやりとした意識の中で思うのは、仮想世界の中にデータで作られた街にはチュンチュンと鳴く野生のスズメがいないという事。

 チュンが無い。

 これでは“朝チュン”が迎えられない。

 チュンを抜いたらただの“朝”だ。

 どうしたものだろうか。


 そんな益体も無い事を考えているうちに、意識は覚醒の方向へと動き出し、次に感じたのは猛烈な空腹と倦怠だった。普通、腹が減ったなら何か食べたいと思う。不足が欲求を呼び起こすのだ。しかし今呼び起こされるのは“何か食べなければヤバい”という危機感。しかし指一本動かすのも億劫だ。食わなければヤバい。でも食いに行くのは面倒。そうして動かずにいれば事態が悪化していくのははっきりしているのに、それでもなお動くに動けない二律背反に心ばかりが焦りを募らせていく。


 焦りはまたひとつ意識を覚醒に向かわせ、そうして自分の体がどういう状況なのかが認識された。俯せで寝ていたようだ。が、体の前面に感じるのはベッドシーツのサラサラした感触ではなく、もっと肉感的な柔らかさを持つ人の形をした何か。そしてムスコからムズムズじんわりと伝わってくるこの感触は……。


「……っ!?」


 目を開けたら超至近に真理恵さんの顔があった。


「城太郎さん、おはようございます」

「お、おはよう?」

「朝から元気ですね。大きくなってきました」


 元気?

 怠々(だるだる)過ぎて元気とは程遠いのだが……。

 いや待て。

 大きくなってきた?


「うわ!?」


 スズメ不在への不満も倦怠感も吹っ飛んだ。

 ムスコが真理恵さんの中に潜り込んでいる。


「なんで!? って、ちょっと、真理恵さん!?」

「逃がしません。このままでいて下さい」


 慌てて引こうとした腰に真理恵さんの脚が絡み付きガッチリとホールド。

 ムスコ、脱出ならず。


 状況は……なんとなく判ってきていた。

 “睡眠”のペナルティだ。

 昨日、蒼星蟹討伐後の勢いのまま真理恵さんと“ラブラブな感じの初体験”に突入したのだが、最終的に“睡眠”ペナルティが発動して強制的に寝落ちさせられたのだ。あれは本当に瞬間的に落ちるので、真理恵さんをベッドに組み敷いて覆い被さったまま、しかもムスコを介して真理恵さんと繋がったまま、ストンと落ちてしまったのだろう。

 しかしてペナルティが明けて目を覚ました現在も繋がったまま、と言う訳だ。


「このままって……まさか、このまま続行?」

「んー……続行と言いますか、上手くすれば城太郎さんにちょっと珍しい体験をしていただけるかと思いまして」


 真理恵さんは顔横にメニューウィンドウを開いて横目に覗き込み、不可視設定故に俺からは見えない何かを読み取り「もうそろそろです」と言う。


「三……二……一……それでは楽しん――」


 言葉は途中でブツリと途切れ、顔から一切の表情が抜け落ち、真理恵さんの全身をキラキラした光の粒子が包み込んだ。“死に憶え”の過程で何度も目にした死に戻りの光景であれば真理恵さんの体も砕け散って粒子となるのだが、そうはならず、光の粒子だけがスゥっと消えた。そこにはそのまま真理恵さんがいて、いきなりクワッっと目を見開き……、


「あ゛……! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

「うわわわ!?」


 真理恵さんは獣のような唸りを上げ、俺のムスコは途轍もない快感を伝えてきた。

 全身の筋肉がガチガチに硬直してしまったようになりながら、真理恵さんの中は激しく不規則に蠕動を繰り返して俺のムスコを翻弄する。あまりな事態にムスコを逃がそうとするも、腰に巻き付く脚もまたホールドの形のまま石にでもなったかのようにビクともしない。“外の街”にゲームキャラの高STRは関係無い。素の身体能力でしかないのに振り解けないのはいわゆる火事場の馬鹿力的なものなのか。


「こ、これは……!?」


 ムスコと遊ぶための玩具の中には電動の物もある。あれはあれで良い物なのだが、しかし玩具は玩具、所詮は紛い物であり本物には到底かなわないのだと思い知らされた。俺は一切腰を動かせないでいるのにムスコが受け取る刺激は凄まじく、大喜び。このままなら遠からず限界を迎えて力尽きるに違いない。

 だが。

 このまま流れに身を委ねてしまいたい俺の中の一部分が激しく警鐘をならしていた。

 早急にどうにかしなければヤバい、と。


 ここで、急に時間が引き伸ばされるような感覚を得た。

 あ……走馬燈だ……。


 一説によると、走馬燈は人間に備わる危機回避能力の一つであるという。

 重大な危機に陥った時、その危機を回避するための方策を過去の記憶の中から探し出そうと高速検索して、それが当人には走馬燈として認識されるという説だ。

 つまり、俺は無自覚ながら重大な危機に直面しているという事になる。


 Kantanの仮想世界に来てからのいくつかの場面、そして昨日の出来事が重点的に思い出される。昨日は一度目の蒼星蟹戦に敗北しながらも確かな手応えを感じて即座に二度目のチャレンジを敢行し、首尾良く討伐に成功した。初体験の方向性について紆余曲折あったもののラブラブな感じに落ち着いて……ここで仮想世界特有の“限界は肉体ではなく精神が決める”が発動した。行為を重ねるにつれて疲労が蓄積されていくのだが、それを精神が凌駕している限りムスコは何度でも復活する。物理的な打ち止めがないのだ。

 結果、“睡眠”ペナルティが発生するまでぶっ続けて致してしまったというのが昨日の顛末。


 ……うん、走馬燈の中の自分に突っ込もう。

 これは酷い、と。


 そして今朝の覚醒と現在のこの状況に繋がる訳だが……そこで走馬燈は一つの場面を再生した。真理恵さんと初めて会った日のある会話の記憶だ。


『餓死ですか……あれは凄かったです……』

『フルパワーで激しく“全部責め”をされているようでした』

『餓死だけは死に戻りがマイルームなのです』


 全てが繋がった。


“空腹”と“睡眠”はどちらも二十四時間を基本のサイクルとしている。

 二十四時間何も食べないでいると空腹ゲージがMAXになって“餓死”となり、十六時間眠らずにいると八時間の強制睡眠に陥るといった具合だ。飲食や仮眠でゲージを回復させると計算が変わってくるのだが、今回はほぼ基本の計算式どおりだろう。真理恵さんの方が早く目を覚ましていたようなのは、昨日一回目のチャレンジで盾役の真理恵さんの方が数分早く死に戻った分だ。


 そして……走馬燈で振り返った昨日の俺達、食事をしていない。

 俺が真理恵さんに夢中になって空腹を忘れていたからだが……“睡眠”ペナルティから目を覚ました今、昨日の死に戻りから二十四時間が経過している事になる。その時点で空腹ゲージがMAXにならなかったのは蒼星蟹戦で使った回復薬のお蔭だ。空腹ゲージは飲食で回復する。つまり飲料にもゲージを戻す効果があり、経口摂取した回復薬もこれに当てはまる。だから“睡眠”ペナルティ明けの程なくして真理恵さんは“餓死”したのだ。


 先程真理恵さんを包み込んだ光の粒子は、やはり死に戻りのエフェクトだった。“餓死”だけは、その後のペナルティを他のプレイヤーの目に触れさせないように死に戻り先がマイルームになる。死に戻り部屋の台座に相当するのがマイルームのベッドだとすれば、死んだ場所と死に戻る場所が同一となり、結果としてエフェクトが発生するだけで砕け散ることはなかった。


 ……つまり真理恵さんは今“餓死”のデスペナルティの真っ最中なのだ。

 雄二さんの発作を再現した“全身を耐え難い激痛に襲われる”というデスペナルティは、しかしMの真理恵さんにはデス御褒美となる。“フルパワーの全部責め”に相当すると言っていた真理恵さんは、余人の目に晒すのは到底許されないような有様だ。言うまでもなく猥褻物的な意味で。

 大丈夫なのか、これ?

 ソレ系のAVでもここまでのは見た事ない。“全部責め”と言ったって結局は“全部の局部”に過ぎない。でも真理恵さんの体質と餓死ペナルティが組み合わさると、言葉通りの意味で“全部責め”になってしまう。現実の実写では到底不可能。もうマンガやアニメの中でしか存在できないレベルだろう。そしてそんな状態の女性のアソコにムスコを収めている状況は確かに“ちょっと珍しい体験”だ。

 このまま身を委ねて堪能したいところだが……。


「そうはいくか!!」


 走馬燈まで見て現状を理解し、己の身に迫る危機を認識したというのに、誘惑に負けて甘んじて死を受け入れる訳にはいかない。俺にだって意地があるのだ。誘惑に抗って“客観視”を入れればムスコから送り込まれる快楽が少し遠ざかる。取り戻した僅かな冷静さをもってメニューウィンドウを開いた。


 真理恵さんは俺からの“投げ付け回復”が主だったが、俺は自分で回復薬を飲んでいた。その分のゲージ差はあっても“飲”が戻せるゲージ量は“食”に比べて微々たるもの。


「あっぶねぇ!」


 案の定、ウィンドウで確認した俺の空腹ゲージも尽きる寸前だ。

 ゾワリと背筋を這いのぼるのは、快楽にも紛れきれない恐怖だ。


 俺は雄二さんが発作を起こした現場に出くわした事がある。“餓死”のデスペナルティがどれほど苦しいのかを知っている。と言うか、苦痛を快楽に変換するM体質の真理恵さんがこうまでになっているのだ。変換できない俺がこのペナルティをくらったら……。


 冗談じゃない!

 俺は痛いのは大嫌いなんだ!


 俺は大急ぎでウィンドウをインベントリ画面に切り替えた。

 インベントリには最初に買ったきりになっていた携帯食料が収まっている。

 タップして実体化。すかさず齧りつく。

 カロリー補給のブロック食品を大味にしたような携帯食料はパサパサで口の中の水分を全部持っていかれるような感じだ。そして正直なところあまり美味しくない。

 しかし緊急事態に贅沢は言っていられない。

 喉に詰まらせそうになりながらも完食すれば空腹ゲージは四分の一ほど回復していた。


『念のために携帯食料をいくつか常備しておくと安心だ』


 豊さんのアドバイスに従っておいて本当に良かった。


 *********************************


「私は城太郎さんを見誤っていたようです」


 デスペナルティを終えた真理恵さんはぐったりとしたまま俺を見上げてそう言った。


「私がああなった場合、これ幸いと電動玩具代わりにして楽しむか、私を心配して取り乱すか、それとも理解が追い付かずに呆然としてしまうか、いずれかになるだろうと予想していたのですが……まさか自身の餓死を避けるために食事を始めるなんて……」

「いや……ごめん。でも、俺は痛いのは嫌なんだ。“餓死”のデスペナルティだけは避けたかった」

「責めている訳ではありません。携帯食料を食べながら冷めた目で私を見下ろす城太郎さんはとても素敵でした」

「そ、そうなの?」


 あそこで食事を始めるのは嫌われても仕方のない酷い行いだと思うのだが……真理恵さんにはあれも許容範囲だったようだ。

ムスコが何者なのか、作中では明示していません。正体不明です。

アソコがどこなのか、作中では明示していません。詳細不明です。


正体不明の何かが詳細不明などこかに収まっている。

全く具体的ではありませんね?


……で、済むならこのままですが、もしかしたらこの回は削除するかもしれません。

その為の10-0.5です。

万一でも削除する可能性を考慮して書いたため、次話では少しクドイと感じるかも知れませんが、こういう事情ですのでご容赦ください。

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