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5-3:森ステージ素材で武具を更新

 しかし、ショボい。

 屍食花から武器類がドロップするとしても、使われているのが草原素材ばかりだとするとメリットがほとんど無いぞ? 武具屋に持って行って分解すれば多少目減りはしても素材を回収できるから売って金に換える事はできる。工賃を差し引いても黒字になるからまるきり無駄でもないけど……やっぱりショボいとしか言えない。


 …………あ、違うか?

 バラして素材を回収すると考えたら確かにショボいけど、逆に考えたらどうだろう。つまり、回収するのは強化素材じゃなくてベース武器の方だ。武器の強化を進める時に攻撃力を取るか特殊効果を取るかで悩んだばかりじゃないか。ベース武器が複数あれば悩む必要もなく両方作れる。攻撃力重視型と特殊効果重視型を両方用意しておいて相手によって使い分けるとか良い感じじゃないか?


 よし、屍食花は積極的に狩ろう。できれば各種のベース武器と防具を揃えておきたい。最低でもメインにしているメイスと次候補の片手剣と槍だ。屍食花が武器をドロップする理由付けが俺の想像した通りなら探索者の死体を抱えた屍食花がアタリになる訳だが……死体があるのを期待するのは不謹慎かな? 死体とは言ってもNPCだし、もっと言えば屍食花のデザインの一部でしかない。と、考えておこう。


 *********************************


 さて、森ステージ攻略を始めて早二週間が経とうとしている。

 ゲーム進行を縛りプレイスタイルにすると決めたからには先を急ぐ必要は無い。そもそも賞金レースを諦めた俺にとって、他のプレイヤーに追い付いてボッチを脱するという以外に急ぐ理由が無かった。しかしガチ系プレイヤーがパーティーを組んで最速攻略を目指している中、客観視は使えてもさして上手ではない俺のソロ攻略速度で追い付ける筈も無かった。時間のかかるプレイスタイルを選択したのだから尚更である。

 そんな訳でのんびりと、森林浴気分で森を歩き回った。

 自動更新マップを端から端まで塗り潰し、採取ポイントの一つたりとも見落とさない気構えだ。せっかく雄二さん達が作ったゲームをプレイしているのだ。余すところなく堪能したいじゃないか。


 急ぐ必要が無ければ焦りは生まれず、焦りが無ければ心に余裕が生まれる。

 緑溢れるという点では草原もそうなのかもしれないが、あそこは変化に乏しく単調だった。その点、森ステージは”森”という括りの中に色々含まれているので飽きがこない。

 偶然見つけた渓流を辿っていれば魚影群がる採取ポイントを発見し、翌日は砦の道具屋で釣り道具を購入して釣行に興じた。釣り上げた魚は食材アイテムになっていて、同じく道具屋で購入した焼き器での調理が可能となっていた。早速焼いて食してみたのだが……どう表現して良いのか判らないような酷い味だった。どうやら料理系のスキルが無いと美味な焼き魚にはありつけないらしい。

 また、ある時には険しい山道を踏破した先に果樹の群生地を見出し、山林檎なる果実を大量に入手した。早速一つ齧りついてみたのだが……どう表現して良いのか判らない酷い味だった。どうやら熱を加えて加工しないとまともに食える味にはならないらしく、はやり料理系のスキルが必要になる。

 食材系の採取ポイントは残念な結果になったが、採掘ポイントはなかなか上々だった。岩場の崖に鉱脈が露出しており、ピッケルでカツンカツンと掘れば鉄鉱石が入手できる。質は余り良くないながらも、初めて得られた金属素材に武具の強化が捗ると心が躍った。


 そして森ステージに出現するモンスターは四種類だ。

 屍食花は予想通り人間の死体を抱えている個体から確率で武器や防具をドロップする。あまり高い率ではないらしく、収集は順調とは言い難いが、これからも遭遇すれば漏れなく討伐していくつもりだ。


 次は大型犬くらいの大きさの鋼蜘蛛。体表が金属的な色合いにテカっているものの、別に金属みたいに硬いなんてことはない。名前の由来はこの蜘蛛が吐き出す糸にある。

 鋼蜘蛛の攻撃パターンは吐き出した糸での拘束から大顎での喰らいつき、しかる後にスリップダメージを与える毒を注入というもの。この糸がまさに“鋼の如く”という形容がぴったりな頑丈さで、絡まれると脱出に苦労させられる。慣れないうちはもたついている間に噛み付かれまくり『毒耐性』のスキルが上がりまくった。


 その次は牙猪。反り返る巨大な牙が凶悪な印象を与えてくる。しかしながら牙猪の厄介な点はこの牙ではない。もちろん攻撃力の要となる鋭い切っ先を持つ牙なので注意を要するのだが、それよりも突進にホーミング性能が追加されているのが特徴で、初見ではこれにやられた。突進してくる牙猪を前にして、脳裏に甦るのは始まりの街近辺にいた猪の突進だ。あの一直線の突進と同じように考えて避けたら、避けた先でドカンと喰らい、牙で腹を抉られるは吹っ飛ばされるは散々な目に遭ったものだ。

 幸い方向転換できる角度が浅く、引き付けてから直前で避ければ難を逃れられる。


 そして最後、四種類目となるのは清一郎に予告されていたゴブリンだ。

 あれは……確かにびっくりさせられた。

 ゴブリンは多くのゲームに雑魚モンスとして登場していて、ゲームメーカーやデザイナーが異なっていても造形や行動パターンはほぼ共通している。それほどまでに普遍化したモンスターだという事だ。

 身長は百三十センチくらいだから人間の小学生くらいの大きさで、身長に比べて脚が短く腕が長い。短足故に鈍足、しかし意外に長いリーチを見誤ると手痛い一撃を喰らう。そこだけ注意を怠らなければさして苦労せずに倒せる紛う事なき雑魚である。

 そしてこのエクスプローラーズに登場するゴブリンはどうだろうか。

 外見は馴染みのあるゴブリンそのものなのだが、行動パターンががらりと変わっていた。

 なんと、木に登るのである。

 そして長い腕を使って枝から枝へと伝う動きは驚くほどに機敏で、地上での鈍足ぶりが嘘のように素早く移動して頭上から襲い掛かってくる。

 清一郎の母親がゴブリンの監修をしたと聞いて「なんでまたそんな事に手を出すのか」と多少の引っ掛かりを感じていたのは否めない。ある分野で秀でている人物が別の分野でも活躍できるとは限らず、畑違いにも関わらず出しゃばって失敗している例は数多いからだ。

 でもこのゴブリンは成功している例になるだろう。

 考えてみれば、足が短く腕が長いゴブリンのシルエットは、現実の動物であれば猿に酷似している。似たような体型なら似たような行動パターンが填まるという事だろうか。他のゲームでは見ない行動なのになぜか違和感が無く、かえってゴブリンとは元々そういう生き物だったんじゃないかと納得すらさせられた。清一郎の母親は剣術家なのにどうしてそういうアイディアがあったのか不思議だ。


 モンスター討伐と採掘で得た素材で装備の更新も進んでいる。

 『屍食花の花弁』と『鋼蜘蛛の糸』を網状に編んだものを鎧に組み込んで耐打撃と耐斬撃の性能が向上した。これらは狼王の毛皮の裏地に使えるので見た目は変わっていない。屍食花の花弁は盾にも使える。ドロップで小盾のベースが一つ増えていたので、花弁だけを用いた耐打撃特化の小盾を一つ作った。

 『牙猪の牙』を使った片手剣や、『鋼蜘蛛の大顎』と『鋼蜘蛛の毒嚢』を用いた毒槍などバリエーションも増えている。

 メインに据えているメイスはベース武器が入手できたので二種類用意した。採掘で得られた鉄鉱石を使い柄の先に鉄球が付いている形状のこれぞメイスという代物が完成している。まあ……木製の棍棒に鉄鉱石を組み合わせてどうしてこうなるのかは深く考えない方が良いのだろう。ゲームだから。

 もう一つのメイスは木製の棍棒のままだが、ゴブリンからドロップした『小鬼の棍棒』を素材にしたら何故かゴブリン特攻が付いた。性能的には金属メイスの方が上なのに、ゴブリンに対してなら特攻付きの木製棍棒の方がダメージを与えられるようになっている。逆に言うとゴブリンに対してしか使えない限定武器になってしまっているが、森ステージのモンスター構成からして中ボスや大ボスはゴブリン系になりそうなので一点キープした次第である。

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