オカマだけど約束はちゃんと覚えておきましょう!2
日曜日当日。
白鳥玲子と高坂真緒たちと駅前の噴水で待ち合わせをしていた。泰三は時間にはしっかりしており、いつも待ち合わせなどをすると十分前には必ずいるタイプである。
今日は雲一つない快晴。気温も段々下がってきて暑くも寒くもない丁度いい気温である、少し前までは外に出た瞬間汗をだらだら流すという最悪の気温だった。
暑さが苦手な泰三はようやく涼しくなってきてまるで冬眠した熊の逆バージョンのように生き生きして一人ごとを呟いていた。
「それにしても今日は天気がいいわね、快晴なのに暑くもないなんて天国かしら。たまにはこういう日に買い物も悪くはないわね、あの二人早く来ないかしら」
「「おまたせ~」」
独り言をつぶやき終えたタイミングで二人の声が同時に同じ言葉を発するのが聞こえた。ついでにこのことを二人に説明していなかったようなことも思い出した。
「「え?」」
「真緒ちゃん? どうしてここに?」
「玲子ちゃんこそどうして……」
二人は何かを察したようにじろりとこちらに顔を向ける。
そのあまりの視線の怖さに体が条件反射でピクリと反応してしまった。
「い、いやあ~、話そうと思ってたんだけど忘れてたわ、あはははは……はは」
「「ああ……?」」
「ひっ、ごごごめんさい」
するとさっきよりも増して視線が鋭くなり、口調も変わる二人。もはやそれは普通の人のそれを超え、仁義でも通されそうな雰囲気である。
そして玲子が顔を引きつらしながら最初に言った。
「ま、真緒ちゃん? 今日はあたしたち約束してここにきたんだけど悪いけど譲ってくれないかな……?」
「ご、ごめんねえ~玲子ちゃん、私も泰ちゃんと約束してたの、だから玲子ちゃんがゆずってくれないかな?」
「それはちょっと難しいかな~? 真緒ちゃん前お願い聞いてあげたから今回はいいでしょ? ね?」
「私も恩は感じてるけどそれはまた別のことでかえさせてもらうから今回は大人しく引き下がってほしいかな?」
駅前でいきなり勃発した口喧嘩に周囲にいる人の視線が集まる、それを感じ取った泰三はこれはまずいと思い二人に落ち着くように声をかけるも二人の耳には入っていないようなので、二人の肩を持ち止めるように言った。
「ふ、二人とも落ち着きなさいよ、三人でいけばいい話じゃない、ね?」
「「あ? あんた・泰ちゃんのせでしょーが!!」」
すると二人は泰三の頭に響くような重低音で声を発し、二人息を合わせたように同時に回転し急所を撃ち抜いた。
周辺にいる人たち「ああ、あれはいったな……」 「痛そう」 「お母さんあの人痛そう」 「見ちゃいけません」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ、あ、あなたたち、それは反則……よ……」
そして泰三は倒れた。
「「あっ!」」
倒れた泰三を見て我に戻った乙女二人が心配そうに駆け寄る。
「ちょ、あんた」
「泰ちゃん!?」
慌てた声で泰三に声をかけている二人の声を聞きながら意識が遠ざかった。
そして目覚めるとざわめく木の間からさす木漏れ日が目に丁度当たる。
「ここは……?」
「だ、大丈夫? ついいきおいでやっちゃったわ」
「ご、ごめんなさい、泰ちゃん、私もつい……」
するとすぐ近くから二人の心配そうな声が聞こえてきた。
「これであたしも本当のオカマに……」
「「ないわよ・ないと思う」」
「少しは夢見させなさいよ!」
そう言い横になっていた顔を上に向けると二人の顔があまりにも近くにあったのでのけぞって落ちてしまった。
「いてて……てあなた達今の!」
「す、すこしやりすぎたと思ったから仕方なくして挙げたのよ!」
「わ、私はまたしてあげてもいいけど……」
「ちょっ、真緒ちゃん! 何言ってんの!」
そう、寝転がって上を向いたら二人の顔が間近にあった。みんななら想像がつくだろう、これは膝枕だ。しかしただの膝枕と今回のは次元が違うのだ、なぜなら二人の太もも片方ずつの膝枕。つまりダブル膝枕なのだから。
そんなことを考えてボーっとしていると玲子が恥ずかしそうにしながらも言った来た。
「調子に乗らないでよね! もともとはあんたがややこしくなることをしたのが原因なんだから!」
「はい……すいません」
「はぁ、しょうがないわね、今回は三人で買い物で手を打ってあげるわ」
「しょうがないね」
「二人とも!」
「ただし! 次同じような真似したら片方貰うわよ」
「なにを!?」
急所の部分に寒気を感じ、とっさに隠す。
「それじゃあ、行くわよ、あんたのせいで余計な時間を使ったわ、今日はやることがたくさんあるし真緒ちゃんの予定もあるんだから」
「わ、わかってるわよ」
こうして、日曜日の初っ端から大事なものを失いそうになる泰三と二人の乙女たちとの一日が始まった。
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