オカマだけど演劇練習中です!4
『お前たちまだ本気で演劇で俺たち三年に勝とうと思っているのか? いい加減諦めろよな、どうせ勝てないんだから』
『そうだよ、一年じゃ大方茶番劇になるのが落ちだろ』
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「以上が三年方の私たちに対する評価です」
あれから高坂さんはうまく三年の先輩達に再び挑発されることに成功した。そしてそれを録音したスマホを使って先輩達の思っていることを、クラスみんなで聞いていた、流石にこれは先生は抜きにしてだ。
「な、なぁ、これひどくね?」 「先輩達って優しいイメージだったけどなんか幻滅」 「ていうかムカつくな」 「三年うざいな……」
するとあまりの言われようにクラスみんなの三年の先輩へのイメージが急降下していった。しかし、今回泰三達の目的はそれじゃない、これを通してクラスのみんなにやる気になってもらうというのが本当の目的だ。
「そうかな? 私は普通だと思うよ?」
「え?」 「白鳥さん!?」
急に評価が急降下した先輩達の味方をした人がいたことにクラス中は困惑した。しかもそれがほかでもない白鳥玲子だったからだ。
「確かに言い方は悪いと思うけど、みんなにもあるでしょ? 後輩に負けたくないって言う気持ち、私も中学の頃部活に入っていたからそういう気持ちは分かるの」
「で、でもあれはいいすぎじゃない?」 「あ、ああ、あれは流石にひどいぜ」
流石にいくら白鳥でも先輩のイメージ回復はきついようだ、しかしそれでいいのだ、さっきも言ったが本当の目的は別にある。
「そうね、私もこの言い方には少し……、いえ、結構腹が立ったわ、だからそこまで言ってくれた先輩に一泡吹かせてやらない? ここまで言っといて一年生に優勝されたとなったら三年生もさぞ悔しがるだろうしね」
作戦通り白鳥は先輩への負の感情を演劇に力をいれるという方法でプラスに変えた。
「た、確かにそうだな、三年を見返してやろうぜ!」 「演劇少しやる気でなかったけど、これで結構やる気になったかも」 「よーし! 打倒三年!」
「なかなか人心を操るの得意じゃない」
「これくらい朝飯前よ、ていうか癪だけどあんたの作戦だしね」
二人は小声で珍しくお互いを誉めあった。
それから具体的に三年に勝つ方法を高坂さんが説明した。
これも三人でたてた計画通り友達を誘うなどの地道な方法をクラス全員で行う必要があるとクラスを説得した。いい感じにやる気が出たのかクラスメイトはとんとん拍子に同意していった。
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「いよいよ明日ね」
そう黄金色に染まった教室で最初に発言したのは白鳥だった。
「そうだね、もうやるこはすべてやったからあとは明日になるのを待つだけだね」
「意外と緊張するわね、もっと平常心でいられるのかと思っていたわ」
「そりゃそうよ、ここまでがんばったんだから緊張するのは当たり前よ」
「二人ともありがとう、これで明日もし負けたとしても後悔はないよ」
「何を言ってるの真緒ちゃん、私たちに依頼したんだから絶対勝つわよ、それ以外に道はないわ」
「!! そうだね、二人に依頼してよかったよ」
いや、あたしは半無理やり手伝わされていたような気がするけど……、まぁそれはいいとするか。
案外この演劇に泰三は熱いものを感じていたのだ、三年の糞な言葉を聞いたからというのもそうだが、案外やってみると演劇というのも面白いものだったからだ。
「今日はこれくらいでお開きにしましょう」
明日は朝早くから準備があるため泰三はそろそろ帰って明日に備えたいと考えていた。
「そうね」
「うん、みんな夜更かしはしないでね」
「わかってるわ」
「真緒ちゃんもね」
そして家に帰った泰三はやるころを全て済ませ、自分のベッドでスマホを眺めていた。
「演劇かぁ、まさかあたしが演劇にこんな熱中するなんて思っていなかったわ、明日は頑張らなくちゃね」
そう一人つぶやくといつの間にか寝落ちしてしまっていた。
そしてついに本番の日がやってきた。
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