オカマだけど主役をやることになりました!
結局、美女役は白鳥がやることになった。
「では、次は野獣役を決めたいと思うのですが……」
「はいはい! 俺やるー!」 「いや、まてよ俺だろ!」 「はあ!? 何でお前らみたいなモブが主役やろうとしてんだよ! 俺だろ!」
高坂さんが野獣役を決めようとした瞬間男子全員が一斉に我はと名乗りを上げた。
「野獣役はできるだけがたいがよくて大柄な男子がいいかな」
「大柄な男子って……」 「ああ、このクラスで一番背が高くてがたいがいいのは……」
するとクラス中のみんなが黒板側に顔を向ける。
「あたし!? あたしは無理よ、演劇なんてやったことないし」
「それはみんなも同じだから、それに泰ちゃんが私に任せるって言ったよね」
「そ、それは、確かに行ったけど……」
「私も泰三くんが一番野獣役にあってると思うな」
白鳥がざまあみろとでも言っているかのような笑みを一瞬浮かべ高坂さんの意見を後押しした。
くっ、あの子まさかさっきの仕返しに……
「まぁ、確かに泰三は一番がたいが良いし、白鳥さんが言うなら仕方ないな……」 「それに泰三はオカマだから白鳥さんとなにかあるなんてことは流石にないだろう」
「じゃあみんなも納得したようだし野獣役は泰ちゃんに決定ね!」
「え? あたしの意見は……?」
「観念なさい、私を助けなかった時点であなたも巻き込まれることは確定していたのよ」
白鳥はドンマイ、と何とも憎たらしい表情で言うと席に戻っていった。
そして悪役、ろうそく、時計、ティーカップ、それぞれのキャラを決め余った人は裏方に回り高坂さんのアシスタントをするという形で演劇の概ねは決り、それぞれのキャラの練習を始めようとしていた。
しかし、ここである問題が起こった、それは演技の練習をする場所が足りないということだ。演劇の練習場として開けられていた学校の施設は三年が全て占領しており、泰三たち一年生が練習する場所は自分たちの教室しか余っていなかったのだ。
「こんなのっておかしくない? なんで三年ばっかり空き教室優先して使わして私たち一年は自分たちの教室だけで練習しなくちゃいけないわけ?」
そう憤慨しているのは、白鳥だ。彼女は理不尽な事は嫌いなようで、そのことが先輩や先生から伝えられた時一番反発していた。
「そんなことあたしに言われてももう決まっちゃったんだからあたしたちがどうこう言おうと時間の無駄よ」
「そんなの分かっているけど、納得いかないじゃない! 高坂さんもそう思うでしょ?」
「う、うん、先輩たちがまさかここまで嫌がらせをしてくるなんて思ってなくて……、私の読みが甘かった、ごめんね、白鳥さん、泰ちゃん……」
「別に高坂さんが悪いんじゃないんだから謝らなくてもいいのよ? あ、あと玲子って呼んでくれると嬉しいな」
「ありがとう……、玲子ちゃん、えへへ、なんか改まって言うと照れるね」
「そ、そうね」
そんな微笑ましい二人の姿を端から眺めていると白鳥がこっちに気づいた。
「??」
「あんたはだめよ」
「誰も呼ぼうとなんてしてないわよ!」
「ふん、どうだか、どさくさに紛れて呼んできそうだったから忠告してやったのよ」
くうううううう! つくづくあたしに対してだけは高圧的ね、なんなのかしらあの子
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