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オカマだけど楽しくやってます!

「んふ、今日も天気がいいわね」


 そう一人、程よい暖かさの陽光が射す屋上で声を漏らしたのは盛岡 泰三(もりおか たいぞう)藤山高等学校に通う1年生。




        オカマである。


 『オカマものかよ』と思い読むのをやめようと思っているそこの君! 

 

 そう君だ。きるのはなぜオカマになったかを聞いてから考えても遅くはない。


 そこに憐れみの気持ちを抱いたのならどうか最後まで読んでもらえるとうれしい。


 そもそもオカマになった原因は幼少期に遡る、父と母が結婚して間もない頃二人とも生まれてくる子供は絶対女の子が良いと考えていたようだ。しかし生まれたのは紛れもない男の子、母が息子のナニを見たとき気を失ったらしい。


 なぜそれほどまでに女の子が欲しかったのかは知らないが、母と父は現実逃避し、物心がついた後も女の子として扱い服も遊び道具さえも女の子用だった。


 無論、小学校の同級生の男子からは男なのに女の子のような服を着ていたためからかわれまくった。

 

 女子とはなぜか話が合い女友達は増えた。しかしクラスの女子と仲良くしているのを見て男子たちはよく思わずさらにからかいはエスカレートした。


 男とは何て醜い生き物なのだろうか、この時からだろうか、自分も同じ男ということに嫌気がさし女の子のように振る舞うようになったのだ。


 とまあ過去に色々あってオカマとして生きていくと決めた。幸いにも高校はいい人に恵まれ最初は引かれもしたが、なんとか友達もでき楽しく暮らしている。


 この一点の曇りもない空を眺めてると他にも生徒がいたのか声が聞こえてきた。


(見ろよあいつ、多分C組のオカマ野郎だぜ) (うわ、本当だ、あのがたいでオカマは無理あるだろ)


 確かに見た目に関しては何の反論もできない、小学校まではよかったが中学校1年の後半から筋肉が異常に着き背も170を超えた。しかも顔もおっさんぽい……


 しかしこのような陰口にはもう慣れているわ、中学生の頃はもっとひどかったもの。正面から言われたい放題言われたこのあたしには痛くもかゆくもないわ。


 そうね、今のあたしは例えるなら不動明王ね、どういうものかは知らないけれど『不動』ってついているから動かないんでしょう、そう! あたしは不動明王のように何を言われても心は一切動かないわ!


「んふふふ」


(うわ! キモっ、一人で笑っていやがるぞ) (おい……、もういこうぜ、あいつやべえよ)


 このように邪魔な奴を追い払う方法も心得ている。このようなことを繰り返し屋上はほとんど独占状態になりつつある。


「これでやっと静かに優雅な昼休みを過ごせるわ」


 そういうと泰三はティーカップの中身をすすった。



*********


 昼休みが終わり教室に戻るとクラスメイトの女の子が話しかけてきた。


「おかえりーたいちゃん、ティータイム楽しめた?」


「ええ、今日は天気も良くていい休憩が取れたわ」


「へー、今度私も一緒にいい?」


「ええ、喜んで、じゃあ授業が始まるのでそろそろ席にいくわ」


「分かった~」


 会話が終わり席に着くと前の席の男子の中村がこっちを向き、うらやましそうにこっちを見ている。


「ど、どうしたのよ」


「いやー、泰三お前クラスで1、2を争う美少女の陽香(ようこ)ちゃんにあんなに気軽に話しかけられてるのお前くらいだぞ」


「そう?」


 周りを見回すとなぜか男子の視線がこっちに集まっている


「俺もお前みたいになれば話しかけられるようになるのかな~、今度秘訣を教えてくれよ~」


「いいわよ、けれどこの道は甘くはないわよ。まず周りからは白い目で見られ、陰口を言われる。ひどいときには正面から悪口をいわれるわ」


「いや……、それは流石にきついわ、ていうかお前それ全部経験済みなのか!?」


「勿論。」


「それでもやめないってお前のメンタルは鋼かよ……」


「ダイヤモンドよ」


「いやどっちでもいいわ!」


 すると鐘が鳴り先生が教室に入ってきた。


「お~い、席つけ~、今日はみんなにいい知らせがあるぞ」


(いい知らせってなんですかー?) (授業時間短縮ですかー?)


「今日は転校生が来てる」


 現在の季節は夏休みがちょうど終わって少し経った頃だ。


「転校ってまた微妙な時にきたな~、女の子かなぁ~」


 中村が不思議そうに目をキラキラ輝かせている


「入っていいぞ~」


 ガラガラとドアを開く音とともに長い黒髪を纏い、一人の女の子が入ってきた。


 


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