挿話 P07 ピヨ子戦記4
挿話 P07 ピヨ子戦記4
◇ (あたしは猛禽の姿で怪しい黒猫を襲撃した)
「何をするニャ!」
◇ (黒猫ごときが人語を発するとは、面妖なり!)
「僕は怪しい物じゃないニャ!…きみのご主人様に忠告がッ…」
◇ (ええい、神妙に縛に付けえぇ!【神鳥の羽毛】…あたしは抜け羽に魔力を通し針の様にして飛ばした)
しゃべる黒猫はしなやかな動作で窓際を離れ、屋敷の屋根に降り立つ。
「ミギャーオォ、神鳥とは厄介なッ」
◇ (あんたがご主人様に悪夢を見せているのは、お見通しよッ。ビシッと羽を突き付ける)
「くふっ、これだから素人は……」
余裕を見せている黒猫に業を煮やしたか、ピヨ子が叫ぶ。
「ピッ!ピッ!ピー!(警戒。あぶない。敵襲ッ!)」
付近を警戒していた烏の群れが集まって来た。既に神鳥のピヨ子の配下らしい。
◇ (十五、十六。やってお仕舞い!)
-KAA! KAK!-
闇夜の烏が黒猫へ襲い掛かる。鳥類にとっては猫族は不倶戴天の敵なのだ。既に暗闇に黒と黒の相克を観察しても乱戦の様子は不明瞭だ。
ただ魔力の残滓を追いかける。
◇ (そこよ!…【神鳥の加速】からの【神鳥の爪撃】)
必殺の猛禽の爪が黒猫を捕えると見えたが、黒い毛皮は意外な柔軟性を発揮して傷も付かない。
「本当の黒幕が、この館の主人だと気が付かないのかニャ~」…にやにや。
◇ (あの黒いドレスの女主人が、いかにも使いそうな嫌味な黒猫だわ!)
闇夜の異種格闘戦は長くは続かなかった。
「ニヤオォォン、全く狷介なお嬢様だッ」
ひと声、鳴くと黒猫は逃げ出した。…素早い撤退である。
いちおう撃退には成功したらしい。
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