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無色魔法使いの異世界放浪ちゅ ~ 神鳥ライフ ◆◇◇◆◇  作者: 綾瀬創太
第六章 帝都までの旅行記
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挿話 P06 ピヨ子と怪盗

挿話 P06 ピヨ子と怪盗





◇ (あたし神鳥(かんとり)のピヨ子は霧の国イルムドフの港へ上陸した)


主人様(マキト)を乗せた船マリンドルフ号は水と食料を補給して明日にでも北の帝国領へ向かうらしい。水夫と船員が忙しく積荷を揚げ降ろししている。


◇ (船に同行していた海鳥(カモメ)たちは既に配下とした。あたしはイルムドフの街へ偵察に出掛けた)


上空から見るイルムドフの街の街路は、街中を流れる水路に区画されて水路を行き交う小舟も多い。水が豊富であれば新鮮な魚も豊富だろう。町の北方には山地を利用した城があり、その山裾を取り囲む様にして貴族の邸宅がある。


◇ (日が暮れて来たわね。神鳥(かんとり)魔法…【神鳥(ゴッド)雄姿(フォーム)】と【神鳥(ゴッド)視界(サイト)】)


ピヨ子が(フクロウ)の姿に変化して貴族の邸宅を観察すると、屋根を走る人影があった。…珍しい。人影に近付くと騒ぎがあった。


「くわっ、怪鳥(けちょう)かッ、物の怪か!」

「小鳥さん。ありがとうっ!」


追手と見えた衛兵はピヨ子の姿を見て驚いたが、先頭を駆ける怪盗は身を翻して包囲を突破した。今夜の衛兵は職務に燃えて士気が高い。しつこい追手に辟易としていた所へ邪魔が入って助かった。


◇ (誰が物の怪よッ…【神鳥(ゴッド)威光(オーラ)】!…あたしは感情にまかせて威圧を発してしまう)


兵士たちは目くらましを浴びて、たたらを踏んだ。既に怪盗の姿はない。


◇ (あの怪盗…男装の麗人ってやつね。女の匂いがするわ…あたしは前世の記憶(チート)に照らして考える)


ピヨ子は怪盗を追った。


………



月明かりが無くとも、夜目が効くこの姿で追跡対象を見失う事は無い。しかも街中には明りが豊富にあり、裏通りの暗がりもピヨ子にとっては昼間も同然の明るさだ。


怪盗は一件の酒場に入った。ピヨ子は音も無く屋根に降り立ち様子を伺う。すると酒場に兵士の一団が入ってゆく。


◇ (あぁ、怪盗が捕えられるか、上手く逃げ出すか見物だわ!…あたしはドラマを期待して待つが…)


兵士の一団は何事も無く次の店へ向かった。


◇ (兵士の様子では、怪盗を探しているハズだけと……あたしはピンと来た!)


しばらくして酔っ払いと見える男が酒場から出てきたが、やはり女くさい。その男は街路の暗がりで商家の門をくぐるが、既に看板を仕舞い店仕舞いの様子だ。


「今夜の首尾は?」

「あぁ、上出来さ。(ブツ)はここに……」


変装を解いた酔っぱらいは怪盗の麗人だった。この町には怪盗の協力者も多いらしい。


「これで、革命軍の資金も潤う…」

「シッ、巡回の衛兵に注意しろッ…」


余計なお喋りは歓迎するところ、ピヨ子は(ふくろう)の聴力で情報を得た。しかし、ご主人様(マキト)へ報告する程の重要な事とは思えない。


◇ (今夜は夜の町を制圧するのも悪くは無いわ!)


闇夜に(ふくろう)が羽ばたいた。





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