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無色魔法使いの異世界放浪ちゅ ~ 神鳥ライフ ◆◇◇◆◇  作者: 綾瀬創太
第二十一章 コボンの地に迷宮は陥落する
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ep262 内乱の行方に心が震える

ep262 内乱の行方に心が震える





 コボンの町の南地区を襲撃した盗賊団は明らかに傭兵崩れの手練れであった。


普段であれば農村部に押し入った盗賊団は食糧を強奪した後にはてんでバラバラに逃げ去る者だ。これに対処する自警団も火魔法のフレアズに預けられた兵力は十分では無くて、精々が農村の拠点へ陣取った盗賊団を追い散らすのみだ。


「それにも増して、厄介な奴らだぜッ」

「フレアズよぉ。どうすべっか?」


自警団の若者と見える男が隊長のフレアズに尋ねる。逃げた盗賊団は農村部に再集結して抵抗する構えを見せている。


「全員、焼き尽くすまでだッ」

「っ!」


隊長の暴言も緊急事態には頼もしい限りだ。火魔法のフレアズは先陣で働くらしい。


「奴らが集結する前に叩くぞッ」

「「 応ぅ! 」」


南地区は盗賊団とのいたちごっこに興じる様子と見える。


………


コボンの町の東地区では膠着状態を嫌った盗賊団が略奪に走った。


戦闘に際して商家の住民は着の身着のままに逃げ出して避難をしていたが、手付かずに残された商品と財貨は盗賊団には魅力的だろう。手近の商家へ押し入った盗賊団は物品を漁り戦力の分散が期待される。


その冷静な氷魔法使いパーシャルの戦況分析を裏切って盗賊団の一部が包囲網を突破した。彼らは商家の財貨に目もくれず、領主の館を襲撃するらしい。


「しまった! その方面に防衛線は無いッ」

「隊長っ、領主軍の伝令です」


「は、はぁはぁ、失礼致します。領主様からの伝言を申し伝えます…」


その若い伝令は緊急事態に息を乱して命令を伝えた。それに拠ると領主軍は本陣を迷宮(ダンジョン)の内部へ移すらしい。領主の館は警備も手薄にして盗賊団をおびき寄せる餌となるのだ。自警団は盗賊団を包囲して領主の館の方面へ追い立てる役目を命じられた。


「誰の献策か、乗るのも悪くはないか…」

「ん?…」


氷魔法のパーシャルは冷静に包囲網を変更した。


「一番街と三番街へ伝令を送れッ」

「はっ!」


東地区は騙し合いの様相を呈している。




◆◇◇◆◇




コボンの地の迷宮(ダンジョン)へ侵入したマキトたちは廃棄された地下通路を通り、魔蟻の巣も一部を経由して迷宮(ダンジョン)の深部を目指した。


「魔物の数が少ない様に思うが?」

「そうさのぉ…」


元の迷宮(ダンジョン)(ぬし)である岩塊の幼女ゴーレムのガイアっ()にも原因は分からない様子で、これまでに遭遇した魔物も数える程だ。


(ぬし)様。水路に出マス♪」

「!…」


水音を聞き付けた河トロルの戦士リドナスが警告する。迷宮(ダンジョン)の地下水路に良い記憶は無かった。


コボンの大迷宮の中央部には迷宮(ダンジョン)の竪穴に振った降雪を集めて自然に水路が形成されている。その水路は深く地底にまで流れる河川の様だ。


-ZABASUP-


突然に河トロルの戦士リドナスが身を翻して水路へ飛び込んだ。水棲の魔物か!


水面の静寂に反して水中では死闘が繰り広げられていると思える。数分して銛を手にしたリドナスが姿を表わし…水を得た魚だろうか…戦いはリドナスの勝利に終わったらしい。マキトはほっと胸を撫で下ろす。


(ぬし)様。獲物デス♪」

「…」


河トロルの戦士リドナスが銛で突いたのは大型の魚の魔物らしい。鯰に似た大口に鋭い牙が生えている。マキトは颯爽と鯰を蒲焼きに料理した。


迷宮(ダンジョン)では食糧確保も重要な仕事だ。




◆◇◇◆◇




人族には魔狼(ウルベン)(ワルド)として恐れられる、魔物の領域の茨森に金赤毛の獣人ファガンヌは滞在していた。


狭い移動小屋でちまちまと雪原を這い廻るのは飽きたと言うのだ。そりゃ、大空を駆ける魔獣グリフォンの姿に変化すれば、コボンの地へもひとっ飛びに到達できるだろう。ファガンヌがマキト・クロホメロスに同行する利点は少ない。


一応にマキトが調理する香辛料の効いた肉と快楽に汗を流す風呂の習慣は魅力的でもあるが、野生に暮らす魔獣グリフォンにすれば、茨森の妖精の泉に水浴びするでも十分なのである。妖精の泉は真冬の寒さも避けて春めいた陽気だ。今夜は珍しく天空に満月も見える。


-WAWOW!-


悪童の狼どもが遠吠えをして変化した。妖精の泉はガチムチの漢たちの裸身で花が咲く。実際に妖精の泉の周りには季節外れの花が咲いているのだ。


漢たちは股間の前も後ろもおっ立ててジャレ合っている。流石に金赤毛の獣人ファガンヌに狼藉を働く者は居ないが、股間のとんがりは危険なブツだろう。


「GUUQ くかかかかっ」

「っ!」


獣人ファガンヌは王都の屋台で味わった腸詰肉を思い出す。股間にソーセージを抱えていると思えば、案外に美味やも知れぬ。もぎ取りて喰らうてしまうか。


「ファガンヌ様っ、何か気に障りましたか?」

「GUUQ …」


不穏な空気を感じて魔狼の女が手配りをした。


「直ちにッ、妖精の酒を用意せよッ」

「はっ!」


妖精の泉と美女に美酒は欠かせない。頑張れ接待係よ。





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