見えない繋がり
傷がすぐに治るってどういう感覚なんでしょうね
朝早くアルクレアに呼び掛けられ、目を覚ます
「主よ。目を覚ましてください」
「まだ皆寝てるよ?どうしたの」
実際に窓の外はまだ日が昇っていないしローナさんもまだ寝て...る?。あれこのお姉さんは昨日会った...
えーっと...なるる?さんだったかな。同じ部屋になったのかな...。そんなことより..
「アルクレアどうしたの?」
「急に起こしてしまい申し訳ありません。できれば、主以外に見せたくないもので..」
「見せたくない事?」
「ええ。私の現出した際の姿です」
「アルクレア姿を現せるの?」
「精霊ですから、当たり前のことです。ただその...私の姿はあまりにも幼いので..」
精霊にも、悩み事はあるんだなあ、と思いながら話を聞いていると...
「シトラちゃーん」
「!!」
ローナさんが起きたのかなと思ってびっくりしたけど、どうやら寝言みたい。じゃあ...
「アルクレア行こ」
「はい、確かこのギルド内に休憩所があったはずです、そこに行きましょう」
「うん、分かった」
まだ朝ではないけど、ギルド内は寒くはなかった。きっとこの世界にも季節というものは存在しているのだろう。音を立てずに休憩所に向かった。
「着いたよアルクレア」
休憩所は、真ん中に木があって周りは草花が生えていて心地のいい居場所で、休憩するのにぴったりな場所でギルドの皆がよく集まっているらしい。
「それでは、始めます」
周りに小さな光が出現する。幻想的な風景に私は感動する
「キレイだね...アルクレア」
「アミナ様も気に入ってましたね」
「そうなの?」
「ええ、あのアミナ様は優しく、綺麗で私のことを愛してくれました。」
「アミナ様が私を主に託した時に言われた言葉はきっと忘れません」
「お姉さんを見殺しにしちゃった私をアルクレアはどう思う?」
私はあの時アルクレアの主だったお姉さんを助けれなかった事をアルクレアはどう思っているのかな...憎いはずだよね...きっと。
しかしアルクレアは「アミナ様を助けれなかったのは私です。私は結界の維持の為、ただアミナ様が死にゆく姿を見てただけなのです...。私が結界を張り終わった時にはもう助からない傷を負っていました。」
「あの時、私が姿を現していれば、きっと助けられた...しかしこの国に変異体が放たれないようにするには、ああするしかなかったとはいえ、後悔しています..」
かすかに周りの光が輝いた。アルクレアはお姉さんを助けられなかった事を後悔している。だけど私は、お姉さんが喰われているのをただ見てただけ...ちかくにあった木刀で止めれたかもしれない。だけど出来なかった
「アミナ様は最後にこう言って私を主に渡しました」
アルクレアはそういうと光で私を包み込んだ
...
「アルクレア...私はもう駄目だから、シトラちゃんだけでも助けてあげて...」
「アミナ様...!!しかし今私が現出すれば傷を癒し、助かるはずです!!」
「駄目だよアルクレア...そしたらあなたがこの変異体に吸収される。この変異体は魔力を喰らう...アルクレアが居なくなったら私は生き残れたとしても悲しいよ」
「しかし...このまま見てることなんて私には出来ません」
「いいんだよアルクレア。私はここでこの変異体を止めてるから..アルクレアはシトラちゃんをユグドの所に連れてって。」
「私はこの使徒の娘よりアミナ様の方が大事です!!あなたは私を...愛しているのではないんですか...?」
「アルクレアの事はずーっと愛しているよ。でもねシトラちゃんは使徒だからこれから辛い道を通る...だから...お願い..」
そう言っているお姉さんの目からは涙が溢れている...
「アルクレア...あなたは私の家族だよ」
「アミナ様!!」
「ごめんね...」
「大精霊の加護あれ」
...
「どうでしたかアミナ様は...優しいでしょう。私のようなものを家族と言ってくてました。数千年の主の中でアミナ様は唯一私を愛してくれました。アミナ様に頼まれた...いえ違いますね。私があなたを守りたいんです。それに憎んでなんかいません。アミナ様の為にあなたは泣いてくださった。それだけで十分です」
光は少しずつ集まっていく...。私がお姉さんの命より大切な訳ないのに、お姉さんは自分を犠牲にして私にアルクレアを託した。あのグルキスという男の人ではなく...本当に私でいいのだろうか。それに私は死なない体を持っているのに...なんで助けてくれたのかな
「主は後悔しているんですか。私を託された事を...」
後悔していない...と言えば嘘になるけど、お姉さんのおかげで今ここにいる。だから...
「後悔してないよ。でも悲しいよ...。自分に自信が持てないの..」
目から涙が落ちる。リンナの事もそうだ、私は救われてばっかで守れたことなんてなかった。
光は形となり現れる。姿は小さな赤い髪の小学生くらいの女の子、近寄ってきて
「泣かないで下さい。シトラ様、私も悲しくなります」
そう言っているアルクレアも泣いている。私はアルクレアを抱きしめ...
「私もアルクレアが好きだよ」
「はい。私もシトラ様のことを愛しています...。あなたと一緒に歩んでいきたいです」
「お願いねアルクレア」
そうすると手に鳥の形をした模様浮かび上がる。
「これは...?」
「私とシトラ様との絆です。それがあるかぎり私達は見えなくても繋がっています。シトラ様で二人目です、その絆を誓ったのは...。これで私との繋がりが強くなったので、魔力を多く送れたり、コントロールもうまくできます。それでも出来ない事があったら私とシトラ様で頑張りましょう」
「うん...ありがとう。私も頑張るね」
アルクレアの手を握り、お礼を言う。本当にありがとう、と。
...
部屋に戻ると、もう日は登っていてローナさんとナルルさんが起きていた。
「おはようシトラ。私の事覚えてるかな?昨日お風呂上がりに...」
「ナルルさんですよね。おはようございます」
「昨日はうちの妹がすまないね」
「大丈夫ですよ。もう元気になりましたから」
それにお酒が意外に美味しい事に気づけた。飲もうとは思わないけど
「シトラちゃんおはよ~。」
「ローナさんおはようございます」
「ローナの事はお姉さんでいいよ!!昨日言ってくれたようにね♪」
そんな事私は言っちゃったんだ...眠くてボーッとしてたからあんまり覚えてない..
「ローナ、シトラも戸惑ってるよ。別に今からでなくてもいいじゃないか」
「う~...分かったよナルル」
「大丈夫ですよ。お..お姉さん」
恥ずかしいけど言えた。こ...これでいいのかな?
「シトラちゃん...!!」
「シトラは優しいね。いい大人に成長しそうだ。今は何歳かな?」
「15歳です」
「え...ちい...いや何でもない」
一瞬小さいと言いそうになってた...気にしないでおこう
「さあ、お着替えしよ♪シトラちゃん♪」
嬉しそうなお姉さんに促され着替える。そして食堂に向かうと
「ローナ、シトラ、私はユグドに報告があるので先に行っててくれ」
「はーい。」
「分かりました」
ナルルさんと別れ、食堂に向かうとリトさんとイースさんがいた。
「おはようシトラ。良く眠れたかい?」
「はいローナさ...お姉さんのおかげで良く眠れました」
「イースさん。そう言えばナルルさんが帰って来たそうですよ」
「そうか...今日から騒がしくなるな。」
「リト、僕はユグドの所に行ってくるよ」
「はいイースさん。じゃあ僕は門の前で待ってるのでまた後で。」
「分かった。待っててくれ」
「じゃあねシトラ、ローナ」
「じゃあね~リト」
「お兄さんじゃあね」
そう言って食堂を去っていくお兄さんとイースさんを見送り朝ごはんの準備をローナお姉さんが始める
10分ほど待って、ご飯が運ばれてきた。
「今日はね、ミーア.ポルネだよ」
パスタだ...意外と名前が違うだけで大体同じなのかな?
「あとはネムコンガイのままだと苦いから、甘くしたよ♪」
差し出してきたのはアメだった。これは嬉しい、苦いのは苦手だからアメだったら食べれるかな?
...
「美味しかったです...ごちそうさまでした」
「良かった♪」
やっぱり多少違うところはあるけどこの世界の食べ物は大体同じみたい。
「シトラ、食べ終わったかい」
イースさんがやって来る。
「はい。とても美味しかったです」
「ローナの料理は美味しいからね。ローナ僕の分も明日頼めるかな?」
「はーい兄様。頑張るね」
「うん、頼むよ。シトラじゃあ行こうか」
「イースさん。リトさんのところに行かなくていいの?」
「いや行くよ。今回はリトにも手伝ってもらうんだ。門の前で待ってるから早く行こうか」
「シトラちゃん頑張ってね!!」
「はい、じゃあ行ってきます」
「うん♪魔力補給も忘れずにね♪」
お姉さんに見送られて町の門へと向かっていく。門に着くとリトさんだけでなくナルルさんも居た。
「やあイース久しぶりだね」
「ナルル帰ってきたんだね。仕事お疲れ様。」
「ありがとう。私も今回の修行に付き合うよ。シトラにも少し頑張って貰わないといけないからね」
「やはり使徒達は...」
「そうだね。ここ最近使徒達が活発化してきてる。5使徒も目覚めたという報告も入ったしどうやら戦力を集めてるようだね」
「ここも時期に狙われるよ」
私と同じ使徒の人達はいったいなんのために暴れまわってるんだろう?
「それじゃあ、急がないといけないな。シトラ纏いの方はどうだい?」
「纏い!?シトラ、君はそんな能力にしたのか?」
リトさんがびっくりして聞いてくる。
「うんなかなかに難しい修行になりそうだ。私は過去の資料をかき集めてくるかな」
「そんなものがまだ残ってるのか...?」
「イース、私は情報を集めるのは得意だからね。そんな事、朝飯前さ」
「ナルルさんは一体どうやって見つけてるんですか?」
「リト、それは企業秘密だよ。...じゃあ30分くらいで戻ってくるから、修行頑張ってね」
「じゃあねナルルさん」
任せて、と言ってギルドに向かっていく。私も頑張らなきゃ...!
...
【平原】
「じゃあ昨日のいった通りにその木の棒に炎を纏うんだ。それが出来なければ次には進めない」
「しかしイースさん本当に可能なんですか?シトラはまだ魔法の使い方を覚えてないんですよ..?」
「きっと数本で成功するはずだよ」
「なぜですか?」
「シトラの手を見るんだ。どうやら精霊と絆を結んだみたいだね。僕も驚いたよ...まさか1日で絆を結ぶなんて、きっとアルクレアと対話したんだろう」
「対話だけで絆結べるものなんですか?ならアミナ姉さんはどうして結べなかったでしょうか」
「アミナはアルクレアを愛していたね?けど何かが足りなかったんだろう」
「足りないもの...ですか」
「まあ話はここまでにして..。リトに頼みたいことは剣術を教えてやってほしい」
「僕にですか?ユグド団長ではなく?」
「ユグドは大剣だからね。剣とは使い方が違う」
「まあそういうことなら...頑張りましょう」
....
イースさん達は話してるみたいだけど、私は集中しなきゃ...
木の棒に魔力を込める...
ボッ!!....また燃やしちゃった。なかなか上手くいかないな?
「シトラ様簡単なことです。その木の棒も体の一部だと思ってください」
「うん分かった。やってみる」
「魔力の調整は私がします」
「お願いねアルクレア」
もう一度....
「できた..」
持っている木の棒に炎が付いている。本当にこんなことが可能だったなんて、
「あちっ!!」
「シトラ様!!気を抜かないで下さい!!」
棒は落ちて、燃え尽きていく。気を抜いたら自分にも危害が加わるなんて...気を付けないと
「シトラ!!大丈夫かい...!!」
少し火傷してしまったけど、治っていく...
「気持ち悪いな...私」
「気にしちゃだめだよ。シトラ」
「リトさん...」
「リトの言うように気にしちゃだめだよ。そんなこと気にしてちゃ、これから大変だよ」
「はい...」
「そうだね。二人の言う通りその力は制御出来ないからね」
「ナルル、どうだった?」
「簡単に見つかったよ。言ったろう、朝飯前だとね」
そういって資料の入った袋をイースさんに渡す
「驚いたな...。まだ資料が残ってたなんて。僕自身この実験聞いたことしかなかったから、とても助かるよ」
そう言って資料を読み出すイースさん、ナルルさんは「じゃあ私はギルドに帰るよ」といい去っていく。
「イース...あまり首を突っ込まないようにね」
「...!!ナルル、どうして、君が...」
「私が君たちの事をなにも知らないはずないだろう。あまり気を抜かないことだよ...」
「分かってるよ。だけど...」
「戻る気はないんだろう。それも知ってるよ。私は気を抜かない事だよ、と言ってるだけさ」
「ご警告どうも」
なにか二人が話してる?それよりも...
「シトラ!!集中」
「は...いっ」
今はリトさんとの練習に集中しな...いと!!
「シトラ、もっと集中して」
カンッ!!
「やっぱり無理ですよね」
私の持ってた木刀が弾きとぶ。手が~...
「大丈夫?シトラ」
「大丈夫です。でもやっぱり上手くできません....」
「最初はそうだよ。僕も初めは師匠に怒られたものさ...」
「さて、イースさんのところに戻ろうか」
イースさんが座っている大岩のところに行く。
...
「そんな...こんな事を僕の前の賢者はしてたというのか...!!」
「イースさん?どうしたの?」
なにか怒っているような、驚いているような?
「あ..ああ。シトラとリトか。どうかした?」
「もう日が暮れはじめています。今日はもう終了した方がいいと思います」
「そうだね。もうこんなに時間が経ってたんだね」
...
【ギルド内】
「お帰りなさーい♪兄様達~」
「ただいまローナ。ユグドはどこに?」
「部屋で書類の山と戦ってますよー」
「ナルルも呼んできてくれ」
「はーい」
「シトラ、リトお疲れ様。僕は用事があるから。じゃあ」
そう言って小走りで去っていくイースさん。...なにかあったのかな?
「さあさあ♪リトもシトラちゃんも座って座って♪」
「はーい」
「今日はローナが作ってくれるのか。楽しみだね」
「リトもたくさん食べてってね♪」
【団長室】
「ユグドどうだい?」
「こんな事許されるはずがないだろ!!なぜ大賢者様達はこんな実験をしてたんだよ!!」
「ナルル、一体この資料をどこで見つけたんだ?」
「...」
「師匠!!あんたはどっちだ!!」
「ナルル教えてくれ」
「仕方ない...か」
「ナルル.レスレラントの名に応じよ。知識を司る天使ルシルフェルよ」
「ナルル..!!」
「天使だと、師匠あんたは...」
「ユグド、イース私を信用して」
「だけど!!」
師匠が俺達を裏切るはずがねえ。だから...
「イース師匠を信じろよ」
「でも天使なんて...」
「イース」
「分かったよ、ユグド...」
「知識に続く門への鍵はここにあり、ルシル開いて」
突然歪みが出現して3人とも吸い込まれていく。
「ここは?」
周りは全て本だらけだった。
「ルシルごめんね。約束守れなかった」
「やあナルル、今度はなにを探しに来たのかな?」
「おや?予期せぬお客さんだね。ようこそ、知識のゴミ箱へ」
【知識のゴミ箱】
「なんなんだよ、ここは」
延々と並ぶ本棚、真っ白な空間に存在するのは本と天使と俺たちだけだった。
「ルシル本当にごめん」
「大丈夫だよ。この二人信用出来るからね」
「さてと、ここがどこか教えよう。ここは世界のゴミ箱。人によって忘れ去られたり、消された情報が集まる知識のゴミ箱。奥に進みすぎない方がいいよ。じゃなきゃ戻れなくなる。」
「どういう事だよ」
「ここには人の闇の部分が集まるからね。知りすぎてしまうと、人間の世界に戻ったとき考える事を止められなくなる。」
「世界の消された情報が集まる場所..ここにあの時の記録が」
ふらふらとイース進んでいくの止める。
「おい!!聞こえなかったのかよ!!」
「離してくれユグド..」
「ここにはあの時の記録はないよ。まだ人間の世界に保管されているからね」
「そんなことはない!!僕は賢者になってからあらゆる資料を探しても見つからなかったんだ!!」
「世界の崩落実験か...ということはナルルと君たちは?」
「そうだよ、俺達はあの崩落から生き延びて戻ってきた」
「イース!!」
奥にまた進もうとしてやがる。
「イース、あまり進みすぎない方がいいと言ったはずだよ」
「それでも見つけなきゃいけないんだ」
「はあ...僕の知ってる範囲なら教えてあげよう」
「頼む!!」
「そんなに迫らないでよ。僕も一応女の子だよ?」
「ああ...すまなかった」
まじかよ、こいつ女だったのかよ...
「ユグド、君の考えてることは大体分かってるよ」
そう言って天使は怒りながら笑う。怖えぇ...
「そんなことより...」
パチンッと天使が指を鳴らすと椅子とテーブルが出現する
「それともう3人ゲストを呼ぼうか」
えっ?ここはどこ?さっきまでお姉さんとリトさんとご飯を食べてたはずじゃ?それにおじさんイースさん、ナルルさんまで居る。
「団長?ここは」
「ローナ達、さっきまで食堂にいたはずじゃ」
「おっとそれはすまない事をしたね」
「失礼ですが、あなたは?」
「リトはこの姿は初めてだったね。僕の名前は知識の天使ルシルフェル、よろしく」
「天使...!!」
「兄様どういう事?」
「詳しいことは椅子に座ってから話したらどうだい?」
一体なんでこんなところに?それにこの天使の人は夢の時に出てきた...
「シトラも座って、君にも関係あることだよ」
私に関係あること?終末の天使関連のことかな?
「はい。けど私の事って?」
「君がここの世界に来る事になった要因の一つだかだらだよ」
私がこの世界来る事になった要因...知りたい。けど...
「シトラ様心配なさらず、いざとなったら私が...」
「アルクレアと言ったかな?二人でこそこそ話さずに君も出てきなよ」
「なっ...!?」
どうして私達の話を...
「なにを驚いているんだい?ここは僕の造った空間なんだから当たり前のことだよ」
「シトラちゃん、ほら座ろう?」
「お姉さん...」
「アルクレアもほら、出てきなよ」
「アルクレアはその...あまり出たくないって」
「そうか。仕方ない」
「さて、それじゃ始めようか」
天使との秘密の話し合いが始まった...
ちょっと中途半端な終わり方に...