精霊との契約
登場人物の名前を考えるのが意外と大変だったり...
いつものようななにかの声を聞くことなく目を覚ます。頭に柔らかい感触。
「あらら、シトラちゃん起きたよ。兄様♪」
「やあ、シトラよく眠れたかな?」
「なにも聞こえなかったし、とても静かでした」
私はローナさんの膝で寝てたんだ。よく眠れた気がする。
「良かった、ローナがこれから君と一緒に居てくれるから、安心して眠っていいよ」
安心して眠る。そんな普通の事がこの世界に来てからなかったな。と私は思った。
「さあ朝食だよ。食べるといい」
「あ...あのこれは?」
出された料理は、シチューだった。シチューは私の好きなものだけど...中に虫が入ってた。
「これは?」
「ネムコンガイの幼虫だよ。それを食べると魔力が回復しやすくなるんだ」
「私がシチュー作ったんだよ~♪」
いや、おかしいきっと私の世界の人達は絶対おかしいと思うはずだ。シチューに虫が入ってたらきっと怒るだろう、けどここは異世界そんな常識すら違うのだ。
「どうしたんだい?食欲がないの?」
意を決し私は食べる!!こ..これは....苦い
「苦いのは我慢してくれ。それは一匹しか入ってないから、毎日朝に食べること。分かった?」
これもこの世界で生き残る為だ。そう思おう..
「わ..分かりました」
そして見事完食した。意外とお腹がいっぱいになった。
「シトラ、2日間だけ修行と言ったけど、1ヶ月に延びてね。じっくり教えられるようになった」
それはありがたいと思った。実際挫けませんよ、とは言ったもののすこし不安だったから、安心した。
「さあ、早速始めようか」
「兄様、まだシトラちゃん着替えてませんよー」
「そうだったね。じゃあ着替えてくれ」
部屋に戻ろうとすると、ローナさんが。「シトラちゃんこっち♪」と言っていたのでついていくと、私がいた部屋の3倍はある部屋にたどり着く
「ここは?」
「新しい部屋だよ♪」
「えっ...でも一人じゃ..」
「ローナと一緒の部屋だよ♪」
あ、そうかイースさんが言ってたのはそういうことか。でも一人よりは断然いいので、すこし嬉しかった。
「はい。着替えてね」
「あっ...はい」
着替え終わるとローナさんが呼んだので、行くと髪をとかしてくれた。
「キレイな黒髪なんだから大切にするんだよ♪」
「は、はい」
「あんまり緊張しなくていいんだよ。お姉さんだと思って接してくれた方が嬉しいかな♪」
たしかに会ったばかりなのに世話をやいてくれる。優しい人だった。
「さあ準備オッケー♪」
そして再びイースさんの所に戻る。
「着替え終わったかい?」
「はい、着替えて来ました」
「じゃあ行こうか」
そういって町に出る
【町通り】
町はこの世界に来たときと変わらず人で賑わっていた。
「イース今日は子供連れてどこ行くんだい?」
お爺さんが話しかけて来た。
「長老、もう怪我は良いのですか」
「もう、この通り回復したわい」
「良かったです。僕はこれからこの子に魔法を教えに平原に行くんです」
「そうか。あんたもやっと弟子をとるんじゃな」
「そんな弟子だなんて...」
「まあまあ、頑張ってくるんだよ」
「ええ」
そして大きな門をくぐり広い平原につく。
「さて魔獣と戦う前に精霊との契約だ」
「精霊ですか」
「アミナが君に託した大精霊はこの世界で5体しか存在しない内の1体だ」
「能力はなんですか?」
「アミナは結界などといった、支援系にしたね」
「“した”?選ぶんですか能力を?」
「君が望む力をくれことだろう」
私が望む力か...なににしようか。攻撃出来るようにするか、お姉さんみたいに支援系にしようか...そこでふと自分のステータスを計った時を思い出す。たしか私は俊敏力がかなり高かったはず...なら。
「決まりました」
「そうか。楽しみだ、僕自身初めて大精霊の契約を見る」
「やり方は簡単だ。体に道があるように感じるんだ。そうすると、実体のない光が見える。名前を呼んであげるんだ。名前は光に会うと頭に直接流れてくる。さあやってみるんだ」
体に道があるように感じるか。集中し目を閉じる。道を歩いている。長い道を進んでいく、やがて光が目の前に現れる。これが精霊...
「出会ったようだね」
辺りに魔獣が集まってくる
「邪魔はさせないよ」
「シャードチェイン」
辺りにいた、魔獣の気配が無くなる...
「集中して、シトラ。周りは僕がなんとかする」
光は呼んで欲しそうにしている。そう。あなたの名前は...
「アルクレア」
光が輝きだし姿が変わっていく。やがて光が収まると綺麗な鳥になった。
「あなたが新しい主でしょうか?」
「そ、そう。私と契約してください。」
「なぜ?あなたが力を望むのはなぜですか」
頭のなかには、お姉さん達の姿浮かび上がる。
「守るために...守るために力が欲しいんです!!」
「...守るためですか。あなたもアミナ様と同じ考えですね。」
そういって、笑っていた。
「あなたは自分の事をどこまで知っていますか?」
私の事を私はどこまで知っているのだろう。終末の使徒、それしか浮かび上がらない。
「そうですね、あなたは終末の使徒です。ではあなたは?」
「私は...」
そうか!!私は
「シトラです!!」
「いい解答です。あなたが本当の名前だと思っている名、あれはあなたも気づいていると思いますが...」
そう凜という名前は
「すべて、違うんですか」
「そうです。あなたはこちらにくる際にあった天使...あれは終末の天使が仮に使っていた体、あそこであなたは契約を結びました。そこで与えられたのは不死の肉体のみ」
結局私は終末の天使に弄ばれていただけということ
「つらいですか、自分を知らないのは」
「ううん。皆がいるから大丈夫です。」
そう、前の世界での名前、誕生日もこの世界では違う。私は
「シトラです」
「よく、答えられました。そう元の世界での事を引きずってはなりません。自分が分からないのはつらいことですが、それでもあなたは前に進みますか」
「はい。私は進みます」
「ではもう一度我が名を」
「アルクレア、おいで」
「分かりました。主よ」
アルクレアと触れあうと光が溢れだし、私の体を包む。そして目を覚ます
「シトラ終わったのかい」
息を切らしたイースさんが座っていた。近くにはおじさんも居た。
「やっぱり、魔物の集まりが尋常じゃないね」
「そりゃあよ。魔力の塊が無防備にしてるんだ。嫌でも引き寄せられる」
「ユグド、来てくれて助かったよ」
「それでシトラお前が望んだ力はなんだ」
「これです」
私の中で一番いいと思う力。俊敏力も生かせる。
近くにあった棒を掴む。そして力を込めると...
棒が燃えた...加減がうまくできない
「そりゃあなんだ?」
「武器などに魔法を纏う力です」
「魔法を武器に?なぜそんなことを?」
「あの時に計った、ステータスで決めたのか」
「あの時とはなんだいユグド?」
「シトラをロスト監視所に連れてった時にアミナが計ったんだよ」
「そうか、たしか俊敏力が人の2倍近くあったはず」
「しかし、まさか武器に魔法か...大変な道を選んじまったな」
「ああ僕の予想よりもはるかに難しい道をえらんでしまった」
「そんなに難しいんですか?」
「かなり高難度だぜ。そもそもそんなこと...」
「ほぼ不可能だ」
私はもう少し簡単だと思ってたのに、これは失敗しちゃったかな..
「主よ悔いているのですか?」
アルクレアが話しかけてきた。たしかに使いこなすには時間がかかるかもしれないけど、時間はまだある。だから...
「後悔してないよ。安心して」
「そのようですね。私もお力添えを致しましょう」
「どうしたシトラ。やけに余裕そうだな」
「そんなに余裕そうかいユグド?」
「ああいつもみたいな暗い表情をしてないからよ」
「私が選んだ力だから頑張ろうと思ったんです」
「まあ少しは成長したかな」
「君はやけに嬉しそうだね」
「そりゃあ成長を見るのは楽しいものだぜ」
「そうかな?」
「それによお前はシトラの師匠だぜ」
「なっ...僕は師匠なんて..」
「そう言うなよ。お前にも守るものができたんだ」
「守るもの...か悪くないけど、師匠か..」
辺りは暗くなっていく、この世界に来て初めてやりたい事が見つかった。明日からはがんばらなきゃ。
【夜 ギルド内】
「イメージか...」
あのあとイースさんに言われたのは、
「この棒を燃やさずに、炎を纏うこと、じゃなきゃ修行は始められない」
「可能...なのかな」
「どしたの?シトラちゃん」
「ちょっと行き詰まってるんですよ」
まさか、ここまで難しいとは...あっちでのアニメではあんなに簡単にやってたのに...嫌なところで現実を見ることになるなんて...
「棒を燃やさずに、炎か~」
「そうなんです..なかなかできなくて」
50本近くあった棒はもう半分になっていた。
「悩んでるときは~ご飯だよ♪」
「えっ...私はまだ」
「ほらほら~急いで♪急いで♪」
手をひかれ、食堂につく。いい匂いがする...すると...
「どうだいシトラ、イメージの方は」
「イースさん...なかなかうまくできないです」
「そうだろうね。魔法を纏うなんて発想普通じゃ思い浮かばないよ」
「そうなんですか?」
「昔の研究記録に書いてあったけど何人も犠牲がでたらしい。それで研究は辞めざるを得なかったそうだよ」
下手したら死んでしまうのか...いくら不死でもできればあまり頼りたくないものだ...
ローナさんが料理を持ってきた。
「シトラちゃん♪どぞ~」
出てきた料理は...ラーメンようなもの。麺はあまり変わってないが...スープが青いけどこの世界では気にしてたら、ご飯なんて食べれない。
...
....
案外美味しかった。もしかしたらこのラーメンの方が美味しいかもしれない。麺は弾力があり、スープは多少どろどろだが、味は味噌がちょっと濃い位のとにかく美味しかった...
「美味しかったみたいだね」
「はい、とても美味しかったです」
体も温まり、お腹も満たされて眠くなってきた...目を擦る、ローナさんのところに歩み寄る
「お姉さん...眠い」
「シトラちゃん...眠いの?」
「精霊と契約しただけでも、すごいことだ。今日はもうゆっくり眠るといい」
「待っててねシトラちゃん。着替え持ってくるから~♪」
「おいローナの奴嬉しそうじゃねえか。やっぱり幼女しゅ..」
「やめてくれ...頼むから..ユグド」
「シトラちゃーん♪さあ行こー」
「うん...」
大浴場はまだ人が少なかったから、ゆっくりと休めた。
「あなたがシトラちゃん?」
お風呂上がりに茶髪のお姉さんが話しかけてきた。
「そ...そうです」
「綺麗な黒髪ね」
「ローナさんにも同じ事言われました」
ローナさんが、ジュースを持ってきてくれた
「あっナルル♪お久しぶり」
「ローナも元気にしてたみたいね」
「はいシトラちゃん♪」
「ありがとうございます」
飲んでみると体がポカポカしてきた。なんかボーッとしてくる...
「シトラちゃん?顔が赤いよ?...あれその飲み物...ローナまさかペリノルマ飲ませた?」
「えっ...サクちゃんに熟したミニルのジュースを頼んだはずだよ?」
何を言ってるんだろう?ペリエ?ムニル?
「ローナーーー!!さっき渡したジュース....遅かったか..」
「サクリナまた間違ったのね...」
「ナルル姉さんその...お帰りなさい?」
「ごまかしたってだめよー。来なさい」
「あの....」
慌てる青髪のお姉さん...だめだ...ボーッとする。ふるふると頭を振る
「シトラちゃんだいじょぶ?」
「ボーッとします...」
「さっきのはペリノルマっていうお酒なんだよ。シトラちゃん歩ける?」
ふらふらするから歩こうとすると転びそうになる。それでも歩こうとすると...
「いたっ...!!」
転んでしまった。やっぱり無理だ
「シトラちゃん、無理しなくていいよ。ほらお姉さんの肩に掴まって♪」
「お願い..します」
だめだ、眠すぎる...ローナさんの背中温か...いな
「ローナー。妹がごめんね。悪気は無いみたいだし許してやって」
「だいじょぶだよ~」
「あらシトラちゃん寝ちゃったみたいね」
「大精霊との契約を1日で終わらせたみたいね。その子」
「うん。でも...」
「大丈夫よ。アミナちゃんみたいな事はもうさせないんでしょう?」
「アミナ姉さんはいつも危険なことでも、先頭だったからシトラちゃんも魔法を扱えるようになったらそんな風になっちゃうのかなって」
「確かにアミナちゃんはいつも危険な役を買ってるけど、その子は守るんでしょう?」
「そうだけど...やっぱり心配だよ」
「あなたらしくもない。いつもみ見たいな明るさはどうしたの?」
「わたしだっていつでもニコニコしてるわけじゃないですよ」
「会ったばかりなのにずいぶん気に入ってるわね。シトラちゃんの事」
「小さい子は皆好きだけど...シトラちゃんは頼れる人が少ないから、守らないとなって思うの」
「グルキスが紅龍団抜けたみたいね。だから心配なの?」
「それもそうですけど...シトラちゃんは不幸な事ばかり起こるからいつか壊れちゃうんじゃないかなって...」
「ならあなたはどんなことがあってもその子と一緒にいてあげなさい。シトラちゃんもあなたの事を信頼してるみたいだしね」
「そうだね...ありがとうナルル♪」
「さっシトラちゃんが風邪ひかないように部屋にかえりましょう」
「ナルルも一緒の部屋?」
「そうね。明日ユグドに報告するから今日は一緒にいいかな?」
「もちろんですよ~」
ストーリーを考えるのも大変だったり...