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天使の刻印と少女の異世界物語  作者: 黒雪うさぎ
6/23

新しい居場所

鳥の声が聞こえる...意識は少しずつはっきりしてくる

「おや...ユグドもう仕事は終わったのかい?」

「ああもう葬式の準備は終わったよ。あとはシトラが起きるのを待つだけだ」

「そうか...アミナの事を侮辱してしまった事を謝ろう」

「すまなかった」

「別にいいさ...お前は賢者達の前ではまるで人格が変わっている。はやく賢者なんてやめて戻ってこいよ。そのほうがアミナも喜ぶ」

「まだ...賢者を辞める訳にはいかないんだ。ここに戻ってくるのは全部終わってからじゃないと皆に顔向けできない」

「そんなこと..!!もうだれも気にしてない事ぐらい分かるだろ!!」

「皆が許してくれたとしても僕は僕を許せないんだよ!!」

「あの天使から最後に聞いたよ...お前禁忌魔法を研究してるって。それが!!あの事と何が繋がってんだよ!!」

「知らない。だから調べてる」

「おじ...さん?」

「シトラ!!起きたか...良かった」

「それと賢者のおじさん」

「おじさ...僕とユグドはまだ32だ。ユグドが老けすぎてるんだよ...」

「わりいかよ」

「いつも幼なじみってだけで僕はおじさん扱いだよ...」

「まあ目を覚ましてくれて安心したよ」

「アミナの葬式がそろそろ始まる。シトラも着替えて準備しろよ」

「起きてすぐに、準備させてしまって申し訳ないけど、出来るだけ早く着替えてくれ」

「ああ、こいつがなんでここにいるのか分かんねえ顔してんな」

「僕がここに居るのは元々僕も紅龍団のメンバーでね。僕とユグド、アミナの三人で作ったギルドなんだ」

「まあ詳しい事は葬式終わってから話してやるよ」

「あの...出てってくれませんか?」

「お..おうすまなかったな」

「じゃあ僕とユグドは扉の前で待ってるから、着替えはタンスの中に入ってるから着替えたら出てきてくれ」

タンスを開けるとそこには黒い喪服、この世界でも葬式の服装は同じなんだなと思い、着替えようとする。すると紙が一枚落ちた。

「お前のサイズに合う服探すの大変だったぜ。“小さい”からな  byユグド」

うん着替えたら殴ろう

「あれぴったりだ」

そう思っていると紙がまた一枚落ちてくる。内容は...

「どうだぴったりだったか?まあ寝ている間に色々調べたからバッチリだぜ  byユグド」

あの変態は...

「はあ...」

バタンっ

「おっ着替え終わったか」

「さあもう皆待ってるから行こうか」

「ところで紙がな...どうしたそんなにこにこ笑って近づいてき...」

「悪くなかったですよおじさん。いっそ清々しいくらいですよ」

そう言っておもいっきり背中にキック!!

「い....いったああぁぁl」

「ユグドまた何かしたのかい...」

「なにって寝ている間にほら...いててて、止めてく...れ」

「この紙は...ユグド、君は昔から変わってないな。怒っても無理ないよ。シトラ大丈夫だ今回は変なことはしてないよ。僕とリトとローナも見てたから。採寸しただけだよ」

「そうなんですか」

そういって手を止める

「ユグドは昔から少し...いや結構なバカだからこういうことも度々あるんだ」

「そ..そんな事よりさっさと行こうぜ」

「そうだね」

「うん。分かった」

そういって二人についていく。大きな中庭に着くと沢山の人が集まっていた

「団長にイースさんにシトラなにしてたんだい?」

「リト気にしないでくれ。またこいつがバカな事をしてただけだよ」

「そうですか...」

「お前ら一応俺は団長だぜ?」

「僕はもう紅龍団抜けてるから関係ないよ」

「ちっ!!それでも敬意ぐらい払えって」

「僕は友人として接しているんだよ」

「それとも敬った方がいいかな?ユグド団長」

「俺が悪かったよ...だから止してくれ」

「そうだね。少しふざけすぎたよ」

「おじさんここでなにするの?」

そう聞くと

「遺体を禁呪で封印して墓に埋めるんだ」

なんで封印するのと聞く前に

「アミナはこの世界で5人しかいない大精霊だったんだ。死んだ後も力は残るものでね...悪用されないようにこのように呪いを植え付け埋めるんだ」

「辛くないの?」

「辛くないはずはないよ...僕もユグドもここにいるみんなもこんなこと誰も望んでいないさ」

「それでも見届けんだよ。それが俺たちがアミナのためにできることだからな」

「姉さん...安らかに眠ってくれ」

「うう...アミナさん」

「くそ....アミナさんは俺らを守ってくれたのに....」

「ああ。俺達は守れなかったな」

様々な場所で嘆きの声が聞こえる。私自身ほんの数日話しただけだったけどそれでもお姉さんはいい人だいうとはよく分かった。

「そのガキがアミナさんの大精霊を奪った奴かよ」

「少し言い過ぎだよ。グルキス」

「そいつのせいでアミナさんは死んだんだ!!俺が受け継ぐはずだった力も奪われた!!なのにそいつの味方なのかよ...あんたらは」

「アミナが死んだのはこの国のためだ。あの結界でこの国に変異体が暴れまわるのを食い止めた。これ以上アミナを侮辱するのは僕が許さないよ」

「団長も!!そいつの味方かよ...」

「ああそうだ。あいつは最善の行動をしたんだよ。だから力をシトラに渡した事も俺は間違っているとは思わねえよ」

「くそ!!くそぉ!!こんなとこ抜けてやる...絶対あんたらに復讐してやる」

「グルキス!!」

「別にいいさユグド、彼がこのままここに居ても危険だ。抜けるなら止めない方がいい」

「ああ!!こんなとこ居たくなんてねえよ!!こんな証もっ...」

そういうと彼は手にあった龍の模様を焼いて消した

「君はこれでこのギルドとは一切関係なくなった。出ていくといい」

「分かってるよっ!!」

荷物を持ち彼はギルドの門から去っていった...

「少し言い過ぎじゃねえか。お前も」

「いや仕方ないことだよ...彼がこのまま居たらこの子にも被害が及ぶ。それだけは決して食い止めなきゃいけないんだ」

「それは賢者としてか、友人としてか。どっちだ?」

「ユグド、僕はここにいる限り君たちの友人だ。賢者なんてものじゃない」

「ならさっさと戻ってこいよ...」

「言ったろ...やることが全部終わってからって」

「団長にイースさん。暗い話はこのくらいにしてください...そろそろお別れです」

「そうだね。すまなかった...」

「ああ、俺も悪かったよ」

「それではアミナ·グラーチにお別れの言葉を」

おじいさんが魔法の準備を始める

「シトラもアミナに会うのはこれで最後になるから、ちゃんと言いたいことを言うんだよ」

「うん...」

「姉さん僕達を見守っててね」

「アミナお前を守れなくてごめんな...シトラは俺達が守ってやる。だから休んでくれ」

「結局ここを抜けてから君と話すことは無かったね...ただあの頃の約束は忘れないよ。あの子も僕がここにいる限り守るよ。だから最後にあの頃のお礼だ。」

「ありがとう」

そう言っているイースから涙が流れていた。皆辛いんだ...

「私が悪いのかな...」

「いやちげーよ。お前はお前に出来ることをした。それで十分だ」

ズルい人だな。そう思った。私に出来ることをしたか...それでも辛いよ

「うう...お姉さん゛ごめん..な゛さい」

「謝ることはねえよ...でも泣いて済むならたくさん泣け」

そういっておじさんは私を抱き締めてくれた。

...

...

「さあこれでアミナ·グラーチの葬式を終了致します」

「すまねえな。仕事をわざわざ断ってもらって来てくれて」

「なーに。わしがここにいるのもあの子のおかげなんだから気を遣うことはないよ」

「しかし時というものは早いのう...あのユグドが今じゃ団長なんてやってるんじゃからな」

「子供の頃には俺自身考えてもいなかったよ」

「アミナちゃんも辛い道を選んだね...」

「そうさせたの俺達ですから、けどシトラを守ることで恩を返すとするよ」

「クルじい、お疲れ様」

「イースか。久しぶりだのう...背もだいぶ伸びて今は賢者まで上り詰めるとはの」

「それもクルじいが引き取ってくれたからだよ」

「わしもお前には色々救われているから、感謝なんていらんよ」

「そろそろ次の仕事なので行くとするよ」

「じゃあな」

「クルじいまた今度」

「じいさんは変わんねえな」

「ああ、20年前から何も変わっていない」

「今日はギルドに泊まってくんだろ」

「3日休みをもらったからその間はここにいるよ。シトラの稽古も僕がしよう」

「頼むぜ」


【草むら】

「イースさんとおじさん仲良かったんだね」

「元々このギルドの創設者だからね。けど賢者達の前になると人が変わるから、僕達は戻ってきてと何度も言ってるんだけど...なかなか了承してくれないから、心配してるんだよ」

「へえー」

たしかに今の姿はギルドの皆に優しいお兄さんだ。けど賢者の人たちといると冷たくなって、とても怖かった

「シトラ、僕達も中に入ろう」

「分かった。お兄さん」

「うーんと..僕のことはリトでいいよ」

「じゃあリトさん行こ」


【ギルド内:夜】

「こいつはよお...賢者達の前だと媚びへつらうだぜ、ムカつくよなあ」

「ユグド飲みすぎだ。すこし外に行ってきたらどうだ」

「うっせ~。このへつらいメガネ」

「それをいうなら君は少し初対面の人物と普通に喋れるようになれ」

「なにが“嬢ちゃんなにもんだ?記憶が読めねぇぞ”だ」

「てめえ..見てやがったのか」

「もう少しちゃんとした会話をしなよ...警戒されてもおかしくないよ。あと初対面だと“ねぇ”とか小さい文字が入るんだから、少しバカっぽいよ」

「んだとお...いつもバカって言いやがって....」

「本当のことさ」

「てめえ...外にでろや」

「嫌だね、寒いし」

「スキありっ!!」

この人不意打ちした。大人げない...

「だんちょ♪」

ビクッ

「ロ...ローナ?」

「いくらアミナさんの葬式は派手にやろうといってもやりすぎですよ♪」

「い...いや...その」

「お仕置き~♪」

「ギャアアアアアア」

「ローナその辺にしときなよ..」

「はーい兄さま♪」

「兄弟いたんですね」

「いや。僕とローナは元々捨て子でね。クルじいに拾ってもらって育ったんだ。そこでアミナやリト、ユグドと会ったんだよ」

嫌な記憶を思い出させてしまったかなと思い謝った。

「その...ごめんなさい」

「いや別に気にしてないさ。むしろあの暮らしは思い出さ」

「だんちょ♪だんちょ♪起きて」

「痛てて...あれ?俺は何を?」

「酔いつぶれてたから、ローナに治してもらったんだよ。だからあれほど飲みすぎるなって言ったろう」

「ああそうか!!......てめえよくも人のことバカって言いやがったな」

「覚えてたか...だけど謝らないよ。僕は正しい事を言っただけさ 」

「てめえ...」

「だんちょ♪やるなら外でやってね~♪」

「あ...ああ分かってるよ」

「相変わらず団長はローナには弱いね」

「リトさんもおじさん達子供の時から一緒にいたの?」

「そうだよ。アミナ姉さんは本当の家族だから、ずっと一緒にいたんだよ」

「姉さんじゃなくてもあの家で過ごした皆とは家族だと僕は思ってるよ」

「楽しかった?」

「そうだね。毎日楽しかったよ」

「リトはあんなに泣き虫だったのにいまじゃ俺の片腕だぜ」

横から入ってきたおじさんの服が汚れている。イースさんも同様だった

「結局ケンカしたんですね...」

そう聞くとイースさんが

「すこしムカついたからね」

「今回は俺の勝ちだな」

「なぜだい?僕はギブアップなんてしてないけど?」

「はいはい。負け惜しみはいいから」

「ローナどうだったんだい」

「今回はだんちょの勝ちですね~」

「だから言ったろ」

「まあいいさ。僕の方がまだ勝ち越してるし」

「お前小さいことこだわるよな...」

「君に言われたくないね」

この人たちには、家族もいて....帰る場所もあるんだな。一人取り残されていくように感じた...

「なに寂しそうな顔してんだよ」

「帰る場所ならここにあるし、友達なんて簡単に作れるんだ。そんな落ち込むことじゃねえよ」

「あれ?おじさん?私のこと...」

なんで分かったの?と聞こうとすると

「全く君のその能力どうかと思うよ...」

「最後に天使がお前の事と、いっしょに欠片をくれてな。」

「欠片の名称は...真実の目?だったかな」

「なっ...ユグドそれを見せてくれ!!」

「なんだよいきなり、ほら..」

そういって出したのは石に目の模様が刻まれたものだった

「あんまり趣味がいいと思いませんね」

「僕もシトラに同意」

「まさか..いや僕の考えすぎだね」

「そりゃそうだ。お前は昔から妄想癖があるからな」

「その石のおかげで私の考えが分かったの?」

「お前が嘘をついてる事が分からなかったのは、どうやら終末の天使に干渉されたらしくてよ。お前には毒や麻痺系統などの状態異常が効かないらしいんだよ」

「それでその石があると何が違うんだい?ユグド」

「さあ...?詳しい事は知らねえ」

「君という奴は...」

「またバカにしてやがんのか?」

「そうかもね」

「お前...」

「まあまあ団長もイースさんも...そろそろ本題に入りましょうよ」

「お...おう分かったよ」

「そうだね」

「なになに~♪面白い話かな♪」

「ローナも聞いてくかい?」

「いいや。皆とお酒飲んでくるよ~♪」

「ほどほどにね」

「了解です~お兄様♪」

「シトラも聞いてると思うけど天使が君に残した情報についてだけど...」

「なんのこと?」

私はなんのことかさっぱり分かんないや。天使が残した情報ってなんだろう...そうするとまた塊が目の前に出現する。

「どうした?シトラ」

「やあ...1日ぶりかな?」

「...!!また天使か!!」

「シトラにまた取り憑いたのかよ。お前」

「二人ともそんなピリピリしないで...今回はすぐ帰るから」

「あなたがシトラの体を去った後シトラは魔力欠乏で下手したら死んでたんですよ」

「どうせまた生き返るさ」

「てめえ...あんまふざけるなよ...」

「おっと僕としたこと不用意な発言を...すまなかったね」

「それで今回話たい事とは?」

「なんだいイース..?.やけに昨日と雰囲気違うようだけど?」

「気にしないで下さい。そんなことより...」

「はいはい。そんな急かさないでよ...」

「今回君達に伝えたいことは2つだ。よく聞くんだよ」

...

...

「マジかよ...」

「そんなことが...ありえるのか?」

「どうもこうもこれが僕の言える情報さ..さあ今度こそ僕は帰るよ。じゃあね」

「あれ私さっきまで?」

ふっと目が覚める。10分位寝てたのかな?あんまり意識がはっきりしない...

「おう起きたかシトラ」

「どうしたんだい?」

「私さっき...」

「寝てたじゃないか?寝ぼけてるの?シトラ」

「リトさん...多分そうだと思う」

「ユグド、リトこの事は3人の秘密だ。今は誰にも言わないこと」

「分かってるよ。確かめなきゃいけねえからよ」

「分かりましたイースさん。」



【???】

「アリス急にすまなかったね」

「貴様が勝手に行動するのは慣れている」

「そんな怒んないでよ」

「しかし成果は得られたんだろう?」

「いや...その...彼ら次第..かな」

「まあ貴様が無駄なことなぞするはずがない。その点だけは信頼してる」

「しかしあまり秩序を乱すなよルシル」

「きみは相変わらず優しいのか、厳しいのか...」

「まだ貴様を含む12人の体は完全ではないのだ。あまり無茶をするなと言っている」

「まあそうだけどさ...」

「お前は知識というありふれたものを司る天使だからこうして現出できるが、それにも限界はあるのだ。」

「それは知ってるよ。でもあっちが気になるんだよ」

「13の使徒のことか?」

「ああ...すこし残念だ」

「私はあの者達を信じて託したのだ。あの者達にも考えがあっての事だ。それにその事は関わらない事にしたんじゃないか」

「それでも気になるものさ」

「残念だったな。時間だ」

「そうか。じゃあ、しばし寝るとするよ」

「そうしろ」

「魂固定。コードアルタ。」

「お休みアリス」



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