サヨナラ
少女の事は次の一時の物語で説明したいと思います
目の前にいるのは、魔獣などではなく人であった“なにか”だった。飛びかけていた、思考を戻す...
名前を呼んだということは一応知性はあるのだろうか?しかし直視できないほど悲惨な姿だ。
「あ゛あ゛い...だい゛」
声にならない声をあげる目の前の生物。
私はリンナ達に近寄る。
「リンナなの?なんでそんな姿になっ...」
その時...視線が急に床に落ちる
「えっ?」
私の視線の先には首がない胴体?どういうことだろうなんで視線が低いの?あの胴体は誰?
..ああ思考が停止する目の前が暗くなる
これは“死”だ。私は死ぬのか...リンナ、助けたかったな。諦めた..くない...な
「シトラちゃん!!」
お姉さんの声が聞こえる。このままじゃお姉さんも..あ...ブ..ない
闇が訪れる
.....
.....
.....
死んだはずなのに、あるはずのない感覚。熱い肩が...目が覚める。
「シ...トラちゃん?」
「お姉...さん?」
声のする方に視線を向ける。そこにはあの生物がお姉さんを喰っていた。お姉さんは消え入りそうな声でいった。
「大精...霊の加護あれ」
光が私に向かってくる。それと同時に声が頭の中に響く
「ここから逃げて、そのまま町の東にある大きな建物に行って」
「元気でね...シトラちゃん」
私は走り出す。頭の中で冷静に考える、私は死んだはずなのではないか。どうしてまだここにいるのか。
答えはでなかった、町の中を走る。後ろから追ってくる気配はない、ただお姉さんに言われた通り東に向かって走る。頬に冷たいなにかが流れる...
「ああ、そうか...」
それは涙だった。
今まで感覚も麻痺していたのだろうか。酷い頭痛、体の節々が痛む。吐き気もする。リンナ達の変わり果てた姿にお姉さんの最後、どれもこれも悲惨だった。辛くないはずはないだろう。痛くないはずはない。そして一際目立つ大きな建物にたどり着く
「誰か!!誰か!!出てきて..みんなが...お姉さんが」
中から音がする。
バンっ!!
「シトラ!!」
そこに居たのは昼私に話しかけてくれた。冒険者だった。私の涙とさっきの呼び声気づいたのだろう。
「アミナになにかあったのか!!シトラ...落ち着いて話すんだ。」
「お姉さんが...皆がぁ..」
泣きじゃくっていた私に気遣いながら、話を聞いてくれた冒険者のおじさん。
「そうか...よくお前は戻ってきてくれた。後は俺らに任せろ。」
真剣な顔で言う冒険者のおじさん、建物の中に入り周りに居た冒険者の皆に言う。
「ロスト監視所で変異体が発見された。行くぞ!!油断するな、躊躇うな。一瞬で片付けろ」
一斉に冒険者が立ち上がる。
「団長、危険等級はどれ程でしょうか?」
「危険等級は零、新人は着いてくるな!!、常にチームで迎え撃て」
「シトラ、疲れてるとは思うが一緒に来てくれ。」
「はい」
私が行っても足手まといになるはずなのに、呼んだということは何か役目があるのだろう。だから今は質問しないでただ言われた通りにする...それが今私に出来ることだ。そしてもうひとつ...
「おじさん、私の本当の名前は凛て言うの。」
「そうか...いろいろ聞きたい事はあるがあとで聞く。」
もう隠し事をするのは無駄だろう。このあとできっと全て話すことになるのだから、その時私はどうなるのか
それはこの世界の偉い人達が決めるのだろう。死ぬのか、生かされるのか、果たしてどっちだろう。
空は太陽が登り始めてる。ここに来てまだ1日しか経っていないのか...
「団長、監視所に結界が張られています...これは。」
「そうだ。これはアミナの結界だ」
「じゃあ、どうやって入るんですか」
「シトラ開けてくれ」
「えっ?」
突然開けてくれと言われても私にはなにもな...ああそうか。お姉さんがあの時に唱えた魔法、あれはこの時の為か。
「この結界に触るだけでいい。頼む」
「結界を今から開ける!!各チーム配置に」
冒険者が一斉に散る。そしておじさんは石を空に投げる、石は砕けて爆発する。それ同時に。
「シトラ!!」
私は目の前にある巨大な結界に手を触れる。すると結界は淡く光り崩れ落ちる。どっと疲れが押し寄せ私は倒れる。するとおじさんは私の事を背負い走る。
「疲れてる時にわりぃがアミナの場所教えてくれ」
ゆっくりと頷きお姉さんのいる場所を教える。いろいろな場所で声が聞こえる。
「うわぁぁぁ!!たっ助けてくれ」
「これが...人なのか」
「バカ!!さっさと剣を抜け!!」
怒号、悲鳴が聞こえる。この施設の中で多くの人が戦っている。そしてお姉さんが居た、私達の部屋にたどり着く。中では音が聞こえる。
何かを喰っている。咀嚼音、この部屋にまだ居るのか。あの変わり果てた姿のリンナ達が...でも今度は逃げない。おじさんは私を降ろして言う。
「目を逸らすなよ、ちゃんと見届けろ」
「はい」
開けると同時に迫って来る。リンナ達。おじさんは薙ぎ払い、近づいていく
「がああああ゛ああ」
「すまねぇな...リンナ、ミライ、ナル、ルシナ」
そして斬り倒す。ドサッ...静寂が訪れる。そのままお姉さんのところに歩く。そこには足、手、様々な噛み傷がある...
「アミナ...ありがとな。お前のおかげで皆無事だったよ」
そして冒険者皆が集まってくる。傷を負った冒険者の人達は
「終わりました。団長...」
「よくやった、帰って報告だ」
「アミナさんはやっぱり...」
「この町を救ったのはアミナだ。報告が終わった後手厚く葬ってやろうな...」
そう言って冒険者の人達はお姉さんを運び出す...
「シトラ、ありがとな。もう休んでいい。」
「うん」
私は目を閉じ眠りついた...
今回も頑張って書きました
見てくれた方々ありがとうございます