表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使の刻印と少女の異世界物語  作者: 黒雪うさぎ
14/23

バイバイ

【食堂】

「突然ですが皆に紹介します」

「なにを?」

「私の精霊、アルクレアです」


私の後ろに隠れてるアルクレアを皆に紹介する。

若干恥ずかしがりながら自己紹介をする。


「シトラ様の精霊、アルクレアです。そ...そのよろしくお願いします」

「驚いたな...」

「ああ...俺もだ」

「アミナがいた時にたまに見かけたけどまさか大精霊だったなんて」

「ちょうどいいんじゃねえか。両方とも小さい....」

「おじさん♪」

「や...やめろよローナみたいな言い方...。どこで覚えたんだよ」

「あら...困ったわね」

「やっぱり迷惑でしょうか?」

「いえ、そういうことじゃないのよ。アルクレアちゃん歓迎パーティーも付け加えなきゃ」

「そ...そうですか」

「アルクレア、緊張してる?」

「は、はい。やっぱり大勢の人と話すのは2000年ぶりですので...」

「大丈夫だよ。皆優しいから」


なんか...皆だけでなく、私に対してもなんか違和感が...


「当たりまえだろ。あんなことしたら、俺だったら一年は目を合わせられねえな」

「本当に陰湿な能力ですね...」

「やめろよ。そんなゴミを見るような目で俺を見んな!!」

「気になったから覗いてみただけだよ!!」

「「うわあ...」」

「なんで師匠まで引いてんだよ!!」

「いやこんな小さな子供にまで興味をもつなんてね...。師匠として悲しいよ」

「大変な弟子を持ってますね...ナルルさん」

「ああ...とても残念だ」

「てめえら..打ち合わせでもしてたのかよ」

「師匠をてめえ呼び!?やっぱり歪んでしまったのか...」

「もう師匠には付き合ってらんねえ。。」

「シトラちゃん、ミーア・ポルネの味見をしてみてくれないかしら?」

「は..はい。えーっと...」


このオカマの人の名前はなんだったけ?そういえば前回は逃げるように食堂を出てったから自己紹介もしてなかったかな?

...あれ?そういえば前回のような威圧感を感じない?


「あらまだ名前を名乗ってなかったかしら?」

「私の名前はニレスよ」

「まあ偽名だけどな...」

「ユグドちゃん何か言ったかしら?」

「いや、なんでもねえよ」

「ニレスさーん早く戻ってください!!料理がまだ30ほど完成してませーん!!」

「サクちゃん、待っててちょうだい。シトラちゃんほらお出で」

「アルクレ...」


アルクレアを呼ぼうとしたけど、皆に引っ張りだこだったから、そのままにしておいたほうがいいかな?

何より、皆と打ち解けているみたいで良かった。


「さっ...味見をお願い」

「とても美味しいです」

「良かったわあ。じゃあ次の料理を作らなきゃ」


そういえばローナさんはどこなんだろう?昨日は食堂で準備をしてるから、って言ってたはずだけど...


「おじさん、ローナさんどこに居るかしりませんか?」

「ローナなら...あそこで休憩してるぜ」

「アルクレアちゃーん」

「な...いきなりやめてください!?」


おじさんが指差した先にはアルクレアに抱きついてる、ローナさんが居た。

それを皆は当たり前のように見てる。


「あれが...休憩ですか...?」

「そういえばシトラには言ってなかったな、ローナはな...」

「ユグドちょっと来てくれ」

「イース、どうしたー」

「いいから早く来てくれ」

「ったくなんのようだよ」


イースさんに呼ばれ席を立つおじさん。

その間にもアルクレアに抱きついてる、ローナさん。


「ローナ、やりすぎだ」

「ナルル...離してよー。まだ休憩してるよ?」

「少しと言ったでしょ。あなたはサク達の手伝いをしなさい」

「グスン...休憩がー」


ナルルさんに制され、しぶしぶ厨房に戻って行く。

アルクレアは近くのソファーでぐったりとしてる。そこにニレスさんがジュースを持っていく。


「ローナちゃんがごめんなさいね、これを飲んで休んでてね」

「ありがとうございます...」


そんなやり取りを見てるとおじさんが戻って来た。


「あっ...おじさん。さっきの話の続きを...」

「ああ...そうだったな。あいつ酒に弱いんだよ」

「まったく困った奴だな。ハハハハハハハハ」


まったく笑ってない声で笑うおじさん。

可哀想な人だな...。ついに笑うことも出来なくなるなんて。

笑い終えたあとイースさんたちと打ち合わせがあると言って、再び移動する。


「おい...シトラに哀れむような目で見られたぞ...」

「まあ...ローナが小さい子に興味があるって言ったら後でもっと辛い目にあうから、哀まれて済むならいいじゃないか」

「こればかりはすまない...ユグド」

「ていうかよ、いつの間にそんな暗黙のルールが存在してたんだよ」

「三人だ...酔って、ローナの事をからかった三人が三日間部屋から出てこなかったんだよ」

「僕が何をしたのか聞いても、何でもないよ、と言われただけだった」

「ユグド危なかったね、君が四人目になるとこだった」

「ローナの奴なにもんだよ...」


....

【食堂】

「「「パーティーの始まりだーーー!!」」」


パーティーの準備を終えて、皆が集まるまで、24時間はかかった。

皆が待ちに待ったパーティーが今、始まった!!


「すごいね、アルクレア」

「そうですね、まさかここまで祝ってくれるとは思いませんでした」


皆が中で騒いでるけど私達は窓際で座っていた。

やっぱり目を合わせてくれない...

強引にあんな事をしたのがいけなかったのかな...?

私自身思い出すと、しでかしてしまったという気持ちになる


「さっさと謝まっちまえよ、シトラ」

「ユグド...静かに、これからが面白いんだから」

「ナルル、ユグド...何がしたいんだ」

「静かにして、兄様」

「ローナまで!?僕が場違いなの?」

「そんなの当たり前だろ」

「三人とも静かに...」


「やっぱり怒ってる?」

「な...なにがでしょうか」

「抱き締めて、頭撫でてあげた事」

「....!?いえ...特に」

「じゃあ私を見て」

「なぜでしょうか?」

「私の事を避けてるからだよ」

「わ...分かりましたから」


私をみるアルクレアの顔は戸惑っていて、本当の妹みたいだ...


「これでよろしいでしょうか?」

「うん。良くできました」


そう言ってアルクレアの頭を撫でてあげる。


「そうきたか...」

「面白かった~」

「シトラちゃん...クレアちゃん...」

「三人して...もう呆れを通り越して、恐怖すら感じるよ...」

「さてと...酒飲みに行くか」

「久しぶりに勝負してみるかい?ユグド」

「ローナも行くー♪」

「待ってよ...皆」


アルクレアと話し終えた後、飲み物を取りにいくと。


「シトラ、ローナ達を見なかったかな?」

「リトさんどうかしましたか?」

「それがね...」


どうやら深刻な事態らしい。

リトさんの表情は沈んでいる...


「何があったんですか...」

「それがね...あまりにもうるさいらしくて苦情が沢山寄せられてるんだ」


確かに深刻な事態だ...

特におじさんは、団長だから明日多くの苦情1つ1つに苦悩しながら対応するのだろう。


「あっ団長!!」

「うるせえー!!今勝負中だ」

「おじさんも、ああ言ってるのでいいんじゃないですか?」

「まあ...確かに苦労するのは団長だけだけど、明日怒られないか心配だよ」

「その時は私も居ますから。そんな事よりせっかくのパーティーなんですから、楽しまないと」

「そうだね。じゃあねシトラ」

「じゃあね、リトさん」


てくてくとアルクレアが歩み寄って来る。


「アルクレア?どうしたの?」

「シトラ様も楽しまないといけませんよ」

「もちろん、そのつもりだよ」

「アルクレア楽しい?」

「はい。生まれて初めて祝って貰えました。それがとても嬉しいです」


アルクレアはでかでかと書いてある文字を見ている


       『イースさんおかえり!!シトラ、アルクレアこれからよろしく!!』

                 『ギルドパーティー』


「さあ楽しもう!!アルクレア」

「そんなにはしゃがないで下さい。ケガしてしまいますよ」


そう言ってるけど、アルクレアは笑顔だった。

良かった...。こんなに笑ってくれて、楽しんでいる。


その夜は私とアルクレアは遅くまで、ギルドの皆と楽しい時間を過ごした。


ただ1つ間違ってしまった事はナルルさんから渡された薬も飲まず、ローナさんと一緒に寝なかった事だろう

皆も知っての通り、これから行くのは夢の中だ。どす黒い記憶の...


「シトラ、あなたはなんで私と違うの....。たくさんの人と過ごして、アルクレアまで私を侮辱するように、楽しんでいる。レアトの作った綻びもあなたによって、消されてしまった。だから...とっておきの記憶を見せてあげる。新しいおもちゃも欲しいから...」


「ようやくだ..天使の血によって、我々は新しい時代へと進む」

「レアト、準備は出来てるわよ」


これは....?体は拘束台に固定されて、動く事が出来ない。

目は布によって結ばれていて何も見えず、音も聞こえない、そんな中で1つだけ声が聞こえた


「シトラ、私を知ってるよね」

「終末の天使...!!」


あまりにもお粗末な結果だな...。アルクレアを助け、やっと皆と打ち解けてきたのに...


「もう分かってるんだよね」

「私の体を乗っとるつもりですか」

「つもりじゃない。奪うんだよ。シトラ、あなたはせっかく別れの連続で絶望してくれたのに、すぐに光を取り戻す。そんなあなたが心底憎いよ。たくさんの人と喋って、笑って!!」

「もう強引にでも奪う事にしたの。せっかく闇の中から連れ出してあげたのに、あなたはそんな私をバカにして、のうのうと生き続けている!!」

「バカに...?あなたも私をばかにしてたのに?」

「名前と誕生日の事?」

「あは....あははははは...ははははははははははは」


狂ってる...。これが世界から憎まれている終末の天使。


「本当の事を言うわけないじゃない。あれはね...あなたの前の使徒の名前よ。」

「前の使徒...?」

「ええそうよ。せっかく人目のないところに送り出したのに、3日で自殺しちゃったばかなおもちゃ...」

「自殺....!?」

「言ったでしょう?歩き続けろと、あれだけは嘘じゃないんだよ。生きる事を諦めれば、私の刻印は消えるようになってるんだ。じゃないと、人間に場所を知られちゃうからね」

「なんで...そんな事を」

「つまらないんだよ。私の閉じ込められている場所は、人はいるけど、皆人形みたいでとてもつまらないの

その点アルクレアの時は楽しかったよ。殺せば殺すだけ、表情が歪んでいくのよ。だけど抵抗はしないから色々な殺し方をできた、ちゃんと痛い時は叫んだりしてくれたんだよ」

「.....」

「でも私に抵抗してきたから、私萎えちゃった....」

「本当に愚かだよね、人間でも精霊でも天使でもないのに今は笑っている....!!」

「嫉妬してるんだ」

「うるさい!!あなたももうおしまいなんだよ!!最後に私の味わった痛みと絶望を体験させてあげる。心がこわれちゃったら、そうね....体を爆発させて、町を消してあげる。」

「そう...」

「やけに大人しいね?もうルシルとアリスは助けに来てくれない」

「楽しみだなあ...どんな風に苦しむんだろう?壊れていくんだろう?」

「ああああああ!!楽しみ」

「もう良いですよね。お姉さん」

「うん。良くできました」

「なっ....!?」


私を縛っていた拘束台は薄れて、消えていく。

薄々気づいてはいた。ただ、もう一度会ってしまうと、居なくなってしまう気がしたから....。


「これが私にできる最後の事だから」

「なんで居るの!!ここは私だけのどの空間からも断絶された場所、誰も来れないはずなのに」

「終末の天使、あなたはアルクレアを人でもなく精霊でも天使でもないと言ったでしょう」

「あれは全て中途半端な欠陥品だ!!私の世界に来るなんて不可能のはずなのに!!」

「アルクレアは例外の存在、全てにおいて中立的な存在だからよ」

「それにあの時死んだはずなのに!!なんで存在できているの!!」

「私の一部を精霊にしたからよ。人間としての私は死んだ。だけど最後にアルクレアに私の精霊としての力を乗せて、シトラちゃんに託したの」

「そんな....人間がそんな事できるなんて」

「ナルル姉さんに無理やりやらせたの。無意味な行いだと言っていたけど、正解だったみたいね」

「お姉さん...行っちゃうんですね」

「アルクレアによろしくね、シトラちゃん。それとお薬を飲むのを忘れない事」


最後に私の頭を優しく撫でてくれた。

ああ...もう居なくなってしまうんだ。

最後にちゃんと言わないと、あの時言えなかった言葉


「さようなら...お姉さん」

「バイバイ、元気に生きるのよ!!」

「人間がごときに私を追い出せると思っているの!!」

「今の私は精霊だよ、終末の天使。ナルル姉さんに教えてもらった最後の魔法。」


辺りから無数の鎖が出現し、終末の天使を束縛する


「アルカトラズ」


門が出現し一気に鎖と共に終末の天使を吸い込んでいく。

それと同時にアミナお姉さんは満足そうに笑った後、光の粒となり姿を消す。


「シトラ...私はあなたを...壊して....」


門の中から恨みを乗せて呟く天使。

門に背を向けて、私は言う。


「もう二度と会いたくないよ」


辺りの空間が砕け散る。


....


【食堂】

太陽の光が窓から差し込み、目を覚ます

アルクレアは私に抱きついて、スースーと寝息をしながら寝ている。

そっと私の膝に頭を置いてあげる。こうしたほうが頭を撫でやすい。

相変わらずギルドの皆は騒いでいる。


「お疲れ様シトラ」


隣のソファーでお茶を飲んでいる、ナルルさんが私に話しかける。

やっぱり何でも知ってるんだな...ナルルさんは。


「これも分かっていたんですか?」

「いいや、今回は私にも分からなかった事だよ。」

「じゃあなんで知ってるんですか?」

「アミナから急に呼び出されてね。アミナからは見てるようにと言われたから、ずーっと見てたよ」

「本当にお別れですね」

「全く...見ていてなんて...最後まで勝手な妹だ」

「姉妹だったんですね」

「そうだよ。アミナも知っていたかは分からないけど、父様がアミナの事を嫌っていてね。まだ幼い赤ん坊だったのに、捨てたんだよ。それから5年ほどして父様は病気で亡くなられた。私が家を15で継いでから、探し続けたんだ」

「そうだったんですか..」

「さあ暗い話はここまで!!まだパーティーは続いてるよ。楽しむんだよ」

「もちろん楽しみますよ」


「ああ....シトラあなたが憎いわ。また会ったときには大事なものを奪ってあげる、あなたが生きるのをやめたくなるような深い絶望に堕としてあげる...。せいぜい今を楽しむがいい人間共、私を怒らせた代償は世界の終末、ああああああああ....楽しみ...」


暗い永遠の牢獄に鳴り響く怨みの声。鎖に繋がれた天使は笑い続ける...




あと5話位で一章は終了!!

二章の話は大体妄想でき...た!!

頑張りたいと思います

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ