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天使の刻印と少女の異世界物語  作者: 黒雪うさぎ
11/23

一時の物語 さあ余興はここまでだ

【魂の宿】

「面白かったー」

「あんただけずるいじゃないか。抜け駆けするなんてさ」

「そう言わないでよ、ちゃんと伝言も頼んだしさ。そんな機嫌を損ねないでジニウス」

「そう...ちゃんとシステムは取り戻したかい?」

「勿論だよ」

「でもあの少女なかなかやるもんだね。見てて面白かったよ」

「レアトも今度こそ消せたみたいだし、一件落着かな」

「...どうやらさっそく来たみたいだね」

「やはり貴様だったかニアラストラス」

「シトラ、約束を守ってくれたみたいだね」

「倒れる寸前に言ってきた。それで何がしたかったんだ」

「システムの奪還を手伝ってあげただけだよ」

「やはり途中で介入してきたのは貴様だったか」

「そうだよ。助かったろう?」

「それは助かった。だがなぜ力を貸した」

「そんなに怒んないでよ。彼女が欲しいから、貸しただけだよ」

「あいつが終末に使徒だって事知ってたろ」

「珍しく怒ってるね」

「ルシルが珍しく怯えてたからな」

「やはり君も過去を引きずってたんだね。面白い」

「あまりふざけるなよ」

辺りに紫の光の粒が出現する。それと同時に青い光も出現し始めた

「ニアラストラスあまり調子に乗るなよ」

「アリスこそ僕の行動にとやかく言うのはやめてくれないかな」

「あんたたちそんなに本気やるとここ崩壊するよ」

一分ほど静寂が訪れた

「...分かったよ。僕が悪かった」

「ああ、しかし助けてもらった事は礼を言おう」

「助かった」

「じゃあそろそろ体を再生させてくれ。アリス頼んだよ」

「準備が出来たらまた来る」

「バイバイー。あたしのもよろしくね」

...

「あんたが引き下がるなんて珍しい」

「あいつに構ってる時間が勿体ないんだよ」

「あんたもあいつも大変だね。あたしは過去なんてもう忘れたよ」

「その方がいい。あいつも過去を覚えてるから、苛つくのかな」

「まあいいさ。あたしたちはもう少し眠ろうじゃないか」

「たしかにね。僕も疲れたよ」

「起きたとき人間界がどうなってるか楽しみさね」


騒がしい声で目を覚ます

「だからすまなかったって!!」

「てめえのせいでこっちは死ぬとこだったんだぞ!!変なやつに操られやがって」

「僕は知りたかったんだよ!!なんども言わせないでくれ」

「それも俺たちはもう気にしてないって言ってたろ!!」

またこの二人は喧嘩してる...

「はいはい、二人とも静かに、まだ寝てる人もいるんだから」

「うっせえよルシル。てめえは俺らの母ちゃんかよ」

「それは遠慮したいね。うるさそうだ」

いつの間にこの人たちは仲良くなったんだろう。

「ルシルも言ったようにこの話は後にしよう。それよりもやらなくちゃいけない事ができた」

「だな」

二人がこっちに近づいてくる。体が怠いから、また背負ってもらおう。

「どうだシトラよく眠れたか」

「まだ体が怠いです。おじさん背負ってください」

「そうか。ユグドシトラは大丈夫みたいだけど...」

遠くから走ってくる音が聞こえた。それと同時に三人が部屋からでていく。

「皆どこ行くの?」

「今回の事は庇ってやれそうにねえからな」

「ああ...僕も無理だね」

「まあ頑張ってくれ」

なにを言っているのだろう?庇う?考えている間に部屋に入ってきたのはローナさんだった。

「お姉さ...」

パチンッ!!

大きな音とともにほっぺたが痛くなった。...ああそうか私は....。

「すみません」

「謝ったって許さないんだから。あんな無茶して、シトラちゃんはなにがしたかったの!!」

私はおじさんを助けようとして自分の体ごと燃やしてマギア・カルリと勝負した。みんなの声を無視して天使にまで力を求めてしまった。結局おじさんはアリスっていう天使がいなかったら死んでいた。守るつもりが結局守られていたんだ...

「ごめんなさい」ただそれしか私は言えなかった。

「ばか...」

そう言って私を抱き締めてくれた。

...暖かいな、あの体を焼き尽くすほどの炎の熱さではなく、人の温もりがそこにあった。自然と涙が溢れてくる。

「ごめんなさい、け..きょく。わたし...まも...られてばっかだった」

「シトラちゃん。いいんだよ、大人は子どもを守るのが仕事なんだから、そんなに辛い思いをしなくていいんだよ」

...

ローナのやつ随分と成長したな。

「盗み聞きかいユグド」

「お前には言われたくねえな」

「まあでもよかったよ。皆無事とは言えないけど生きていた」

下手したら今頃あの化け物の腹の中だったけどな...。

「俺は半分あの世に行きかけたよ。だれかさんのせいでな」

「まだその話をするか...すまなかった。」

「で..どうするんだよ。まだ賢者のままか?」

「いやもう辞めたいと思ってるんだ。完璧にとは言えないけど真実に近づいた。賢者よりもルシルと話したほうが効率もいいしね。他にも理由はあるけどね」

もっと早く賢者を辞めてればな...

「そうか...。アミナもきっと居たら喜んでたな」

「シトラが来てからいろいろなことが起こりすぎている気がするね。まだシトラが来てから1週間もたってないんだ。さすがにこれはおかしい」

確かにシトラが来てからいろいろなことが起こりすぎている。けど調べても誰かが仕組んでいる訳ではないし天使とは考えられない

「それは俺も思ってよ調べたけどなにも成果はなかったぜ」

「これは人間によるものか..天使によるものか。果たしてどっちだろうね」

「どっちもかもしれないよ」

そう言って後ろから歩いてきたのは。

「聞いてたのかよ、ルシル。」

「当たり前さ。君たちを見てるのは楽しいからね」

「それでどっちもとはなんだい?ルシル、君はなにか知ってるのか」

「一つ言えることは、僕たち天使全員が君たちの味方ではないことだね。」

「じゃあ誰かがつながってんのか?」

「それも可能性の1つだよ。まだ僕も確信には至ってないから、言えることじゃないけどね」

「ふん相変わらず妄想癖の激しいやつだ」

「アリス、起きたのか。この前はありがとう」

「俺が寝てる間はちゃんとシステムを維持してたか」

「もちろんだよ」

「そうか。俺はもう仕事に戻る。」

「頼むよ。...あとシステムに何かが関与した痕跡が見つかった。調べた方がいい」

「そのことならもう魂の宿で聞いてきた。ニアラストラスがシトラとかいう娘に憑いて力を貸し、マギア・カルリを止めている間にシステムを奪うのを助けてくれたらしい」

「彼か...シトラに力を貸したのは」

「誰だそいつは」

「選択を司る天使ニアラストラス。あいつはどっちかというと中間だな、あまり信用しない方がいい」

「そいつに会ったら一発殴る」

「それはやめた方がいい。彼は自分の仕事をこなしたにすぎない。僕も彼は責められない、助けられたしね」

「でもあれは...」

「やりすぎだと思うのか。たしかにあの娘に天使の力を貸すのは人格すら変えかけない。だがそんなのはあいつにとって“関係ないね面白かったし”とかで済む話だ」

「そういうことだよ二人とも、僕のような天使だから優しいと思うけど君たち人間にとっては天使は憎むべき存在だったろう?それで正しい、あまり天使を信じすぎないほうがいいよ」

「自分でそれを言うかよ」

「その話は後にしろ。腹が減った飯を作れ」

「はいはい分かったよ」

「お前料理できたのか...」

「僕だって女の子だよ。それくらいできるよ!!」

「そうだったな、お前女だったんだな...」

「なに?僕が女の子に見えないっていうのかいユグド」

「いや...何でもねえ」

「後でじっくり聞こうじゃないか」

...!!?後ろから殺気を感じた...これは...。

「なに盗み聞きしてるの♪みんな」

やばい...逃げなければ殺される。そう直感した、後ろにいるのはローナだ。シトラの泣いているとこも見たとなれば、こいつのことだ、きっと殺すじゃすまされない。逃げれば見てたということを白状したことと同じだ..となればやることは1つ...。

「ど...どうした?説教は終わったんだな。さっさと飯を食いに行こうぜ」

ここで待ってたという感じにすれば大丈....

「嘘だね、彼は見てたと言っていたよ。ねえ?アリス」

そう言って威圧感を混ぜた笑顔を向ける

「あ...ああ。言っていた」

ルシルの野郎さっきの仕返しかよ!まずい...逃げないと..

「おじさん...見てたんですか...」

顔を赤くしたシトラが聞いてきた。...やめろ、罪悪感が....。

「イースの奴も..」

一緒に道連れにしようとしたがそこにはイースの姿がなかった。そしてルシルが手を振ってきた。

「テレポートさせたよ。ばいばいユグド」

ルシル達が去っていく。ああ...終わったな。

「だんちょ♪」

笑顔が迫ってきた

...

【天使界 客室】

「てめえ..逃げやがったな」

「いや、あれはルシルがやったことだから関係ないね」

頬っぺたを私よりも数十倍の威力で叩かれたおじさんは頬っぺたが大きく腫れていた。

あんなに大号泣していた所を見られた...恥ずかしい。

おじさんと目が合う。とっさに顔を逸らした、恥ずかしくてまともに見れない...

「やっぱシトラ俺を避けてやがる..イース頼む。このまま気まずいのは俺は耐えられない」

「自業自得かな」

「シトラのやろう、俺が胸を触った時も恥ずかしがらなかったのに、こんなことでなんで恥ずかしがるんだ」

「「うわぁ...」」

「二人揃ってなに引いてるんだよ!!」

「ユグド...失望したよ」

「シトラも可哀想に..こんなおじさんに触られるなんて」

「てめえら..そんなに俺が嫌いか」

「当然だよ」

「僕も君とはもう関わらないよ..」

「畜生...なにも言い返せねえ」


遠くで三人が仲良く喋っている。何を話してるんだろう、ちょっと気になるな。

「シトラちゃん?どうしたの、ご飯冷めちゃうよ」

「あ...はい」

「あっちが気になるの?」

「そうです...けど恥ずかしくて」

「だんちょにはデリカシーがないからね。けどいい人なのは確かかな」

確かに胸を触ってきた事もあったし、あのおじさんにデリカシーが欠如してるのかな。そう思うと胸を触られたんだから、こんなことで恥ずかしがる必要はないかなと思う...

「そうですね、私の為に死のうとしたんだから悪い人ではないですね」

「そうだよ、本当に悪いことしてたらビンタじゃ済まさないからね♪」

「そうですか。おじさんは前胸を触って来ましたね..」

「そう...」

ガタッとお姉さんが立ち上がる。そのままおじさんの所へと向かう。

またビンタを食らうだろう。これで反省してくれるかな?

「だんちょ♪シトラちゃんから聞きましたよ」

「シトラがなにを言ったんだ?あと仲直りしたいからシトラの奴を...」

「シトラちゃんの胸を触ったんだってね♪」

「お...おいお前もかよ。あれは不可抗力だ!!おれはシトラを起こそうとしただけで...」

「リト、どうだったの?」

隣でやり取りを見ていたリトさんに質問するお姉さん。

「わざと...かな」

「だんちょ♪分かってるね」

「お前ら俺の事を変態だと思ってるだろ!!」

「もちろん昔からそう思っていた」

「僕もイースさんに同意かな」

「僕らもさっきの聞いてからちょっと...ねえアリス」

「なんで俺にまで...」

「ねえアリス」

また威圧感を混ぜた笑顔だ。それに押されながらアリスさんは..

「あ...ああそうだな」

「ちくしょおおおお」

バチンッ!!部屋中に響くほどの音を立ててビンタがおじさんのもう片方の頬っぺたに炸裂した。

「うわぁ。痛そう...どしたの?アリス」

「いや...少し明るくなったか?おまえ」

「僕に惚れちゃったかな?」

「それはないな。俺は貴様が苦手だ」

「ひどいな。それに僕は貴様やお前じゃなくてルシルって言う名前だ。もう1000年は言ってるよ」

「別に良いだろう?」

「まあたしかそうだね」

「なに夫婦みたいな話をしてんだよ。てめえら...」

「やあ、ユグドどうだった?」

「手加減ってもんを知らねえなローナのやつは...」

「それはいいことだよ。本気で叱ってくれる友や家族は必要さ...」

そう言ったルシルお姉さんの顔が一瞬暗くなったような気がした。気のせいかな?

それより...

「おじさん大丈夫?」

「すまなかった...許してくれシトラ...。」

ローナさんのビンタを二回も食らって本気で反省しているようだった。もうこの辺でいいかな、反省してくれたみたいだし...

「はい。許しますよ、おじさん」

「良かったねユグド。仲直りできたじゃないか」

「代償もあったけどな...」

「ビンタ二発で済むならまだいいほうさ....」

「イース...お前も前にあったのか」

「ああ...。賢者になったときにね...」

イースさんもお姉さんに叩かれた事があったんだ。お姉さんはいつもイースさんになついていたからいつも仲がいいと思っていたけど、やっぱりそんなこともあるんだ。

「やあ皆無事だったみたいだね。良かった...」

ドアが開きナルルさんがふらつきながら歩いてくる。

「おい師匠大丈夫かよ」

「ユグド無事だったのか...良かった」

「食われる寸前にアリスがテレポートさせたからね。ナルルが魔力を貸してくれたおかげだよ」

「それは良かった...あとうるさいから君たち静かにしてね」

大きな音を立ててドアが閉まる。それと同時に皆が静かに食事を始めた。さっきの話はどうしたんだろう?

「どうしたんですか?」

「シトラ静かにしろ!!」

小さな声でおじさんが言ってきた。

「どうして?」

「もっと小さな声で喋れ!!師匠は耳が良すぎるんだよ」

「それに寝起きの時は機嫌が悪い。ローナよりも....」

「私も勘弁かな、ナルルに怒られるのは」

「彼女は天使にも容赦ないからね」

どうやら皆ナルルさんにトラウマを持ってるらしい...私も静かにしよう


さっきまでのうるささはなく。客室は異様なほど無音だった。

...

【???】

「どうしたレアト」

「いやーまさか殺されちゃうなんてね。あの眼鏡もやるもんだ」

「お前が死ぬ?笑わせるなよ。お前は永遠に死ねないだろ」

「冗談の通じない奴だね」

「イースさんを少しなめすぎたな」

「ふーん...あんなに怒ってたのに妙に肩を持つんだね。グルキス」

「お前ごときに乗っ取られるごときの存在だったら、あそこで殺してた」

「大精霊はもういいの?あんなに芝居をして頑張ってきたのに」

「もう過ぎたことだ。興味ない」

「アミナさんも馬鹿な事をしたな。救うつもりが脅威を増やしただけ、無意味な死だった」

「ただシトラって子の能力完全に習得されたら厄介だよ。使徒だから耐えられたんだけどね」

「まだ大丈夫だ。俺たちは待つだけだ」

「はいはい...でもマギア・カルリの複製とはいえ、あそこまで粉々にするなんて凄いね」

「天使に力を求めたからだろ。少し黙ってろ」

「分かったよ」


「団長、余興はここまでだ。これから絶望の底に叩き落としてやるよ」


タイトルどうりこれからは頑張りたいと思います

次回をお楽しみに!!

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