第6話、「信頼」
「じゃあ私は行くわね。」
と去っていったアヤメさん。
まだまだ聞きたいことはあったはずだけど、もう全て聞いた気がした。
僕は彼女のこと何も知らない。
それは変わってない。
だけど、アヤメさんは信じてあげて。と言っているような気がした。
僕は彼女の家に向かう。
その前に一株となったショウブに礼を言う。
「ありがとうございました。ここからは僕に任せてください。」と
そして僕は彼女の家に着いた。
彼女の家のドアを開けると……。
彼女は怯えるような目でこちらを見た。
「ひい。ごめんなさい。土地ならあげます。私に暴力しないで。虐めないで。」
と、泣き出した。
僕は杏菜を抱き締める。
「そんなことしないよ。大丈夫だよ。」
背中をさすりながら言う。
「いやぁ、いやぁ、」
と泣き出す杏菜。
「大丈夫。僕だよ。嶺だよ。」
それでもまだ
「離してぇ。やめて。」
となき続ける杏菜。
「大丈夫。僕を信じて。杏菜! 」
その言葉でようやく落ち着いた杏菜。
「嶺。嶺。嶺。」
僕の名前を連呼する杏菜。
「うん。僕だよ。杏菜。ごめんね。守ってあげられなくて。」
その言葉に首を振る杏菜。
「いいの。大丈夫。嶺がいてくれてよかった。それに……。」
「うん? どうしたの? 」
「何でもない。」
と顔を赤くする杏菜。可愛いなもう。
「あの人達は? 」
あの人達? ああ、大男達か、
「もう、帰ったよ。依頼主が手を引いたみたい。」
その言葉に安堵する杏菜。
「よかった。」
ああ、もう我慢できない。
「あのね、杏菜。」
「ねえ、嶺。」
お互いの顔を見て笑う。
「嶺から。どうぞ。」
「いやいや、杏菜から。」
また笑う。
「じゃあ私から。一つ質問でーす。」
質問か。何が来るのかな。
「嶺は私のこと聞かないの?」
そんなの……
「気になるけど今すぐ聞かなくてもいいかな。だって思うんだ。」
その答えに杏菜は頷き
「わかった。嶺の話しは? 」
少し恥ずかしいけど。
「杏菜。僕は君のことが好きだ。付き合ってください。」
僕の事を見てぽかんと口を開ける杏菜。そんなところも可愛い。
ああ、欲しい。
杏菜が欲しい。
「よろしくお願いいたします。」
そんなこんなで僕たちは付き合うことになった。