第2話、「別れの悲しみ」
快晴の空。
夏の日差しがまぶしい。
そんな言葉が似合いそうな日。
花畑に一人の少年が、やって来ていた。
緑色の髪に黄色い瞳。
14歳ぐらいの少年。
少年は隣にいる少女との出合いを思い出していた。
side少年
僕は、二日前両親が亡くなった。
交通事故だった。
僕には妹がいて、妹は僕と3つ違い。
僕が14で、妹は11才。
妹は泣いた。11才の彼女には耐えられなかった。
ご飯も食べずにずっと泣き続けて日付が変わり、僕が様子を見に行った時にはもう、亡くなっていた。
そして僕は一人になった。
家に居たくなかった。
楽しかった日々のことを思い出してしまうから。
いっそのこと妹と一緒のように泣いてそのまま死んでしまえば楽だったのかも楽だったのかも。
だけどお父さんと約束したんだ。
「男が泣いて良いのは、惚れた女の前だけだ。」
どういう意味なのかはわからなかった。
だけど、そういうものなんだと受け入れる事ができた。
だから僕は泣かなかった。
それに死ぬのは怖かった。
僕はもう、十四歳だから。
家に居たくなかったという思いだけで歩き続け、気がついたら花畑に居た。
「ここは? 」
誰も答えてくれるわけがない。とわかっていながらも。口に出してなにかを言わなきゃとんでもないことをくちばしってしまいそうだったので、尋ねてみたら、以外にも。
「花畑。私とおかあさまの花畑。」
と、鈴を転がしたような声が返ってきた。
「はい。」
と黄色い花を渡してきた。
「これは?」
と尋ねる。
「キンセンカ。花言葉は別れの悲しみ。悲嘆。失望。寂しさ。」
そう言った彼女に僕は戸惑った。僕に起こったことを知っているようだったから。




