宇宙空間
そこは、なにもない空間だった。
日本として初めて打ち上げた有人宇宙ロケットは、無事に予定軌道についた。
「こちら種子島。そちらの様子はどうだ」
「こちら、宇宙に来ました。天気晴朗かつ風無し」
決めていた言葉を話すと、イヤホンの向こうから悲鳴に近い歓声が上がる。
宇宙に来たという実感は、じわじわと浮き上がってくる。
体が重力から解放されて、自然と浮かぶとすることから、やはり地上とは違うという気持ちにさせてくれる。
「そっか、宇宙に来たんだな……」
ヘルメットはつけていない。
だから、涙はあふれずに瞳にたまる。
そして、日本は世界でもトップグループの宇宙開発国となった。
全ては、この宇宙飛行から始まったのだ。