第9話 : 7年間でたったの7日間
7年後、また旅立つ時期を迎える。
そして、楽しみの筈の……
地上での7日間も、あまり期待を持てなくなっていた。
むしろ、
「もう嫌だ!、仲間達が、そして他の動植物達が……」
目覚める事に対しても、むしろ……。
期待は無かった。
御じぃ、慶木さんはもう居ない。
黄泉の世界で、来世を考えているのだろうな~今頃、などとも。
また、あの大好きだった御じぃ、慶木さん、蓮花おばちゃんに逢いたいなと思っていた。
孝君の庭の幼木も立派に成っていた。
すると、
「ぼんず、元気でいるか?」
「ぼんず、あの時はあの選択しかなかったんだよ!」
「ぼんずちゃん、プーニャをよろしくね」と
御じぃ、慶木さん、蓮花おばちゃんの言葉が次々に聴こえる。
僕は、いい世界に成っている筈はないと思いながらも、
孝君の『おかげ?、優しさ』で、こうやって生きているんだ、と思い孝君の樹木で、目覚め、羽根を造っていた。
「おはよう御座います。ぼんず兄さん!!」との声、
そうプーニャである。
もう、昔この幼木だった木の様にだいぶ成長していた。もう、人間以外の生き物同士にしか解らない心の会話は充分に成っていた様である。
そして、そんな会話? を聞いたのか? そんな筈は無い、
孝君が、
「おはよう!、ぼんず」と
そして、『プープー』としか言えなかったプーニャが、孝君に向かって心の声で
「これから、ぼんず兄ちゃんは旅立ちます。7日間しかありませんが、飛べないプーニャにとっては羨ましいです」
「そんな事無いだろう、プーニャだって幸せだろう。ぼんず兄さんはね、7年間でたった7日しか自由に出来ないんだぞ、
プーニャ、そんな我が儘言っちゃ駄目だろう」と、
僕は、唖然とした。
この孝君は、『人間なのか、何故、心の言葉が通じるのか?』と……。
僕も孝君に心の声で、
「プーニャの事、いつもありがとう御座います。そして僕もちょっと旅に出てきます」と、
この僕の心の声が通じたのであろうか、
「うん、解った。プーニャの思っている(言っている)事も解ってきたし、ぼんずの言ってる心の声はずっと前から解っていたよ、だから大丈夫!!」
「元気でまた戻ってこいよ!!」と。
そんな、ぶつぶつ言っている事に孝君の母さんが、
「何、独りで庭で話してるの? 誰かいるの?……」
「うん、誰も居ないけど、水槽の水草とか、この木に止まっている虫達に、『おはよう』の合図をしていただけ」
孝の母さんは、怪訝そうな顔をしていたが……。
孝君は、家のドワを閉めると同時に、
「元気に帰って来いよ」と言っていた。
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孝君も、大学受験を迎える高校生である。
僕が、御じぃの処から早14年を迎える。
孝君は、生物にすごく興味を持ち、
そしてその素養は充分にあったのだろう。
だから、大学も『生物』部門のある学校に進路を決めていた。
孝君の両親は、これから伸びるIT関連の企業を目指して、
「この大学に進学すれば?……」
「こっちの大学の方がいいよ……」などとも。
でも、孝君の気持ちは決まっていた。
この大学で、『生物学』を学ぶ……
と。
次稿から 孝・ぼんず・プーニャが本格的な主人公になると思います。
次稿は週末? ぐらいになってしまうかもしれませんが、
投稿時には、読んでやって下さい。お願いします。(頭。ぺこりです)