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愚かな生き者達  作者: えだいち
8/13

第8話 : つめてぇ… でも喜び

 7年後、また旅立つ時期を迎える。

でも、旅立って観る世界とは……


 ぼんずは、7年後また旅立ちの日を迎えられる時が来た。

土の中からモソモソと、……。

そして地上に出て、

すると、

「ぼんずにぃちゃん、プーニャです。おはよう御座います」

プーニャもしっかりと、してきていた。

「にぃちゃんのお陰で、孝君にも大切に育てて貰ってます。人間って、悪い人ばかりじゃ無いんですね」と、

プーニャも、一丁前いっちょまえに、僕に声をかけて来た。

僕にとっては、「生意気な」とも思ったが、随分言葉が解るようになったのか? 自分から話し掛けるなんて……、

と思っていた。


 僕は、脱皮をし殻から出て、幹で羽根をくっていると、たかし君が玄関から出てきて、

「また、旅立ちの時かい?……」と、そして水槽の中のプーニャを指差し、

「この子は大事に育てているから……ね。また、ちゃんと戻って来るんだよ!」と、言ってくれた。

今まで、人間の言葉に優しさなど感じた事は無かったが、……嬉しかった。

(でも何故?、僕の事を解るの……)

そして、僕は飛び立った。


 孝君は、

つめてぇい、こいつめ」と言っていたが、

蝉にとっては、別におしっこでは無いのであるが、

孝君にもその事は、充分に解っていた様である。

(ある意味、僕と孝君の社交辞令か?……、とも)


 やっとこの幹に辿り着いて、7年間の時間が過ぎていた。

観る物全てが変わっていた……と言っても過言では無い。


 真っ先におんじぃの所に行ってみた。そこは、高速道路? なる巨大なジャンクションになっていた。

御じぃが居たあの頃の景色、見る影もない。

そして慶木よしきさんのいた処、蓮花れんかおばちゃんの処、

みんなコンクリートジャングルのマンション街である。

悔しさに、

「何で!、何で!」と鳴(泣)いてみたが、僕らには何も出来なかった事は事実である。

人類を恨む選択肢もあったのであろうが、

「恨んでも、何にも変わらないだろう、……バカな人類が気が付くまでは……?」


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 人類は少しばかりの自然を残し、それで『自然保護』などと言っている様だが、

そんな事、人類が自ら作った茶番に過ぎないと思っている。


 でも時には、飛べ無くなってしまった野鳥を保護し、治療を施し自然に返す。そんな光景も観て取れる。


「人類だって、優しいし、そしてそのさまは嬉しい、高度な技術も持っている。だから上手に共存を……と思うが、

それよりも、淋しいかな人間は、人類同士での『弱肉強食』で成り立っているのだろうな」と思う。

 だから、自然を破壊してまでも、インフラの整備に傾注し、自国の国力を世界に示すかの如く、次々とコンクリート? で埋め尽くす。

その度に、我々は滅んでいく。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 そんな光景が続く、そろそろ7日目である。

「もう、冒険も終わったし、孝君の家に帰ろう」と飛び立っていた。

孝君の家の幹に止まると、

プーニャが、

「今回は帰りが早かったですね? いままでの記憶によると『ねぼすけ』?……、あっ、ごめんなさい」とプーニャは言ってった。

「うん」とだけ答えた。

プーニャには悪かったかもしれないが、でもこんなにも早く変化してしまう、人間界に幻滅げんめつしていたのも事実である。

そして、孝君の家の周りを残った僅かな時間飛び回っていた。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 家の奥から、孝君のお母さんであろうか、

「これ、『あんこ玉』? だよ、じぃちゃんも、父さんも好きでね、よく食べていて、孝も食べてみなよ。

やっと見つけたんだから、……?

この膨らんでいる辺に爪楊枝つまようじでもいいから、『ポン』と突っつくと……、

ほら、こんな風にツルッと剥けるでしょう、どう面白い?、食べてみなよ。美味しいから」

「うん、甘くて美味しい!!、また買ってきて、おやつに最高だよ!!」

孝君は、その『あんこ玉』が、超お気に入りになったようだ。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 暫くして、僕は孝君の能力? にビックリした。

「母さん、もうそろそろ帰って来るよ、あの『ぼんず』(蝉)が……、

迎えに行くから」

「えっ、ぼんず? って何?」

そんな母さんの言葉にも反応せず家のドワを開け、

そう、御じぃの苗木から育った庭の木を見つめていた。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


PS:

ここで言っている 『あんこ玉』 なる食べ物は、ネット等で調べてみましたが、ちょっと私が思っているイメージと違うのです。

今後、最終話辺りでのキーワードとなる私の思っている 『あんこ玉』 とは、超薄いゴム的な物に包まれ、その何処かの1か所でも「つまようじ」なる鋭利な突起で突けば直ぐに、プルンと丸裸になってしまうものです。すみません、蛇足でした。


 なんとなく、4話に繋がってきましたか?

文中に『方言』?、『隠語』? なるものが入っているかもしれません。

ご容赦願います。

私は標準語の国語の辞書でも解らないかもしれませんが、いい意味で、リアリティ? が重要かなと思ってもいます。

また、本文の最後には、『PS』として、私なりの釈明をしておりますが……、です。(頭、ペコリ)


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