消失
「これ、いい」
セラは真っ黒な片手剣を俺に見せた。
なぜ、黒と思ったが…そう思ったのが分かったらしく
「黒、シュウに似合っている。」
「いくらだ?」
「34000エル」
「高いな…」
エルというのはこの惑星のお金の単位だ。
「17000エル貸して」
何をするか気になったが、悪いことには使わないことは分かっていたので、俺は財布からお金を取りだし渡す。神がお金をこっちのお金に変えてくれてて助かった。ざっと15万エル。残りは13万3000エル。軍資金として変換してくれたんだろう。
「ちょっと待ってて」
セラはクレアのもとにいく。
セラはクレアと話し始めた。
クレアのテンションがマックスまで上昇したっぽい。
あ、クレアがセラを撫で始めた。で、セラがクレアに抱きつかれた後、戻ってきた。
剣を持って戻ってきた。
「まけてもらった。」
自分が溺愛されているのを利用してきたって訳か…。
ちゃっかりしてやがる。
でも、感謝しなきゃならんのも事実だ。
「ありがとう。大切に使わせて貰う。」
「うん。私、もう少し見てくる。」
そして、武器を見に行った。
暇になった俺は尋常じゃなく満足そうな顔しているクレアの元に行く。楽しそうに武器を探しているセラを邪魔するのは何だか悪い気がしたのだ。
「クレア、本当にお前、セラのこと好きすぎるよな。」
「あんな、可愛い生物見たことないもん。」
「じゃあそんな可愛い生物を放って修行に行ったんだから価値はあったんだよな?」
「うん。まあね。確かにセラは可愛いけど、私の夢も大切だもの。いくらセラちゃんのことが好きでも、これだけは譲れない。」
よっぽど大切なことなのだろう。
「そういう姿勢はいいと思うぞ。」
「あ~あ…私が男だったら良かったのになぁ…。」
「そうすれば…ってか。でも、変わらんものは変わらん。」
「分かってるよ。」
口を尖らせてそう言った。
「人間、望むものには手に入れられないものが多い。仕方ないことだよ。」
「シュウは随分と達観しているんだね。似たような歳とは思えないなぁ…。」
「クレアはセラが関わってないと真人間に見えるな。」
「真人間じゃなくてもいいからセラちゃんと一緒に居たい!」
「勝手に言ってろ。」
俺にはとてもじゃないが言えないことだ。言いたくもないが。
「セラ、どうだいい武器あったか?」
少し声を張り上げて言う。が、そこにセラの姿はなかった。
「セラちゃん?」
この様子だと、御手洗いを貸している訳ではなさそうだ。
じゃあどこに?
あいつは一人で外を歩けない。俺といるときですらオロオロしていたんだ。一人だったらまず無理だろう。
だとしたら連れてかれた?誰に?何のために?確証はないが、どちらにせよ、場所だけでも把握した方がいい。でも、どうやって…
…一つだけ方法があった。
俺は迷わずそれを使った。