ギルド
「…ちなみに…お主が武器持っていない理由は何なのだ?」
ローは俺にそう聞いた。
遠くの惑星から来たなんて言っても信じてもらえる訳がねぇしな…。仕方ない嘘をつこう。
「いや、それが分かんなくてな。」
「うん?」
「記憶を無くしたらしい。気づいたら俺が魔物と戦ってた当たりにいたんだ。」
我ながらベタ過ぎると思った。
「うむ…ならば分からんのも無理はない。」
でも、相手はこう答えるしかないのも分かっていた。ローは俺のことを詳しくは知らないからな。嘘だと思ったとしても、嘘だとは言いきれないのだ。
「でも、まあ戦い慣れてたって訳でもなさそうだし、戦い慣れてたら武器を無意識のうちにでも取ろうとするだろ。だからまあ、フロンティアだったって訳じゃねぇ。だったら生き残る為に金を稼がなきゃいけないからな。で、一番給料がいい『フロンティア』になろうと。」
まあ、『生き残る為に』から最後までは本当だ。神に言われて、言っていることも一理あったから、引き受けたんだ。他に神の別の目的があったとしても引き受ける他なかったからな。
「そんなことより、ギルドのメンバーはセラだけか?」
セラと言った瞬間、そこにいた女性が驚き、そのすぐ後に納得したご様子だった。恐らく、俺がセラという名前を知っていることに驚き、ローがさっき自分の名前を呼んでいたことを思い出したのだのだろう。
「そういう訳ではない。後二人ほどいるが、二人とも依頼に言っとるわい。」
随分と小さなギルドらしい。
「セラ、なにかシュウに言うことはあるかい?」
…セラは驚いた様子だった。そして、オロオロしはじめたが、少しすると落ち着いた。
…
沈黙が続く…
「…元気…そうで…良かった…。…助けたら…いきなり倒れた…から…心配した。」
綺麗な声だった。
「助けてくれて、ありがとう。」
できるだけ優しくそう、答えた。もし、フロンティアになったらこのギルドに入ることになるのだろう。仲間となるヤツの警戒を解いておいた損はない。
やっとセラの肩の力が抜けた気がした。