行方不明
今回は少し長いです。
俺は人の電磁波を読み取る魔法を使っていた。そう、さっき試したアレだ。さっき試してみて正解だった。しっかり電磁波を覚えている。まさかこんなときに役立つとは思ってもみなかった。いや、思っていたら大変か。そんなことを思っていたら、俺は共犯者みたいなものだろう。
いないか…。もっと広げなきゃな…。
「シュウ?どうしたの?そんな恐い顔して…。そんなことより、セラちゃんどこ行ったの?」
多分、信じたくないのだ。セラが連れ去られたかもしれないことを。
「ねぇ…、どこ行ったのよ!答えてよ!」
「少し黙ってろ!」
気持ちは分からんが、多分、早く見つけないとクレアはもたない。既にもう顔が尋常じゃなく青ざめている。溺愛しているもんな。仕方ないような気がする。もっと急ごう。さっきから尋常ない数の人間の電磁波を感じているから処理がギリギリだが…。そして、
「いた!」
見つけた瞬間、俺は店から飛び出した。クレアはもう多分、俺の言葉の意味を分かっていないだろう。でも、飛び出して行ったことぐらいは分かっただろう。探しに行ったのだろうぐらいにしか思っていなかっただろう。
俺は屋根の上に飛び乗り、魔法を展開しながら屋根から屋根へ移りながら走った。流石にキツい。走ることにも集中しなければいけないが、魔法にも集中しなければならない。俺は魔法の範囲を狭め、走る速度を上げた。これ以上は目が追いつかない。これが限界だ。
セラの周りには3人いる。コイツらが犯人だろう。さっき、ギルド連盟から武器屋へ向かう途中、行方不明だから、見かけたら連絡くれみたいな貼り紙があったから、多分、同一犯だろう。それにしても、これだけの速度でも追いつくのは少しキツいとは。多分、一人が弱体化魔法、残り二人が身体強化魔法だろう。セラを魔法で眠らせて、追いつきにくいのも無理はない。位置的にもビリから一位になるみたいなもんだ。
屋根の上だから跳ぶ必要はあるが、人を避ける必要はない。こんなスピードでぶつかったら、ぶつかった相手が重症を負う。多分、今の俺は50mあたり、5秒をきっているペースだろう。
それくらい尋常じゃない速度だ。
「あいつら…か。」
三人組が見えた。
思った通り二人で袋を抱えている。あの中にセラがはいっている。電磁波でわかる。視認できたため、魔法をきった。
少し泳がせてみるか…
セラには悪いが。多分、あいつらがどこかに連れ去った人を入れている場所に行くだろう。全員はいないだろうが、半分ぐらいはいるはずだ。残念ながら、恐らく残り半分はもう奴隷として売られただろう。
現実は残酷だ。
俺は現実以上に残酷なものはないと思っている。
現実はそのくらいえげつない。
俺はその三人組の右側の真横についた。といっても、屋根の上だから気づかれてないが。
そして、そいつらは左に曲がる。俺は道を飛び越え、ついて行く。そして、そいつらは速度を緩めた。俺も緩める。そして、止まった。どうやら鍵をあけているらしい。鍵を開けられたら終わりだ。
今だ。
俺は飛び降り、ドスッという音をたてる。そして、三人組は振り返り、俺を見る。
「よう、返して貰うぜ、そいつ。」
「つけてられてたのか!」
袋をすぐおき、俺にそいつらは襲いかかってくる。商品だと思っているからか、袋を投げはしなかった。多分、追いつかれたのは初めてじゃない。
そう言うかいなや襲いかかってきたからだ。そういうときは大抵、驚いてそんなすぐには動けない。
それと、三人は連携がしっかりしていた。一人が弱体化魔法を俺にかけようとする。俺は両手剣と斧で斬りかかってくる二人を殴り、怯ませる。あまり時間はかけられない。弱体化魔法をかけられたら一人じゃキツい。何発か既に撃たれているが、なんとか避けている。流石にそのときは斬りかかられていたからキツかった。俺はその魔法野郎に走り寄る。
魔法野郎は魔法を適当に連発している。それくらいテンパっていたのだろう。多分、筋肉バカ二人が怯まされたの事態は初なのだ。
そして、そいつを思いっきり殴りとばす。
最後の方は魔法が撃てなくなっていた。魔力切れだったのだろう。殴られる寸前なんて顔がひきつっていた。
怯んでいた二人が起き上がった。が、その魔法野郎がぶっ飛ばされたのを分かった瞬間、逃げた。無理もない。さっき、二人ががりで襲いかかったにも関わらず、二人同時に倒されたのだ。勝てるはずがないと判断したのだろう。でも、その判断は間違っている。そんなテンパってたら、魔法を出すのが遅れるだろ。そんなヤツに逃げられる気はしない。
目が追いつくギリギリの速度で、距離をつめる。そして、二人の頭を掴み、そいつらの頭を地面にうちつける。そいつらは気絶したみたいだ。
とりあえず、その三人組を紐で縛ろうと思ったが、紐がない…。
どうすっかな…。ああ、あいつの入っている袋を使おうか。んじゃ、優先順位をかえてっと…。
セラを袋から出す。とりあえず、後で起こそう。気持ち良さそうに寝ている。
「このヤロ。責める気もなくなるじゃねえか。」
俺はセラのおでこをデコピンする。
まあいい、とりあえず起こすのは後だ。俺は剣を腰に着けてある鞘から引き抜く。剣を持ってきているなら、剣で戦えよ、と思うだろうが、人を切るのにこの剣を使うのはもったいないない気がしたからやめておいた。
袋きれいに剣で切り裂いて、布みたくする。袋は側面を切れば布みたいになるのは言うまでもない。それで、長い方が縦になるようにして、縦に切り裂く。そして、紐みたいにし、三人組のそれぞれの手足を縛る。
それで、セラを起こそうとする。体を揺するが、なかなか起きない。しまいには頬で遊んでやった。つねって、引っ張ったり、ぐるぐる回してやったりした。そして、やっと起きた。
そして、セラが殴りかかってきた。が避けてやった。
「痛い」
「やっと、起きたか」
俺は頬から手を放す。そして、少し下がる。
ヤバいやり過ぎた。頬が真っ赤になってた。
「悪い、なかなか起きなかったからちっとやり過ぎた。」
セラは上体を起こし、周りを見渡す。周りの三人組をみて、
「私、確か、眠らされて…。」
「そうだ。そいつらがお前のことを連れ去ったってことだ。」
「その…ありがとう。」
セラは俯いて、そう言った。
頬が赤いけどアレ…俺がつねったせいだよな…?
とりあえず、なんか言ってやらんとな。
「まあ、これから仲間になんだ。それくらい当たり前だ。」
「助けられる前シュウのこと疑っていた。約束、破るかもって。」
ま、そりゃそうだよな
信じなくて当たり前だ。
「でも、今は信じることにする。絶対に破らない、そんな気がする。」
「信用すんなよ。」
「いや、シュウ、貴方だけは信じる。貴方と私は似ているから。」
俺らは似ている。多分、ほとんどのヤツがどこがって思うだろう。
俺らはどちらも
人を信用していなかった。
そう、過去形だ。あいつは俺を信用した。
あいつは俺を置いていった。でも、別にいい。
似ているってことは確実にどこかが違うということだ。
結局、そこが違ったってことだろ。
俺は現実主義だ。
だからこそ、俺はどんな可能性も否定はできない。たとえば、ドラマの悪役なんかで言うと分かりやすいだろう。そういう役はかなり悪くつくってあって、そんな人はほとんど存在しない。が、存在しないとは言いきれない。だから俺は、ここが遠い惑星だと認識したんだ。
否定ができないから。
でも、俺はそう考えたことを否定することは口にできなかった。
どう考えるか…それは自由なんだ。だから、俺はあいつに、セラに俺の考え方を強要できない。
「ああ、ありがとう」
俺はそう嘘をついた。
俺はありがたいなんて思っちゃいなかった。
だが、俺は信じる努力をしよう。
セラだけでも、信じる努力を。
それから、セラは立ち上がった。
「あー、そうだ。コイツらの身柄の方を確保するために警察を呼びたいんだが。俺はこの街の警察の呼び方を知らないから教えてくれ。」
「分かった。」
そうして数分後、警察が来た。その間、俺らは無言だった。
流石に地球と格好は違った。警察という言葉で通じたのは訳されているからだろう。
とりあえず俺の仕事をしなきゃな。この牢屋みたいな施設のことを警察に教えた。この中に行方不明になっている人達の何人かはいるかもしれないということを。だが、恐らく鍵を開けられるのは犯人だけだ。扉は鉄製、鍵は魔法。警察では開けられない。この人たちはフロンティアではないから魔法もそんな強くない。方法は扉を壊すことだ。セラの炎じゃ燃やせるだけで多分、溶かせない。人前だからな。無理もない。仕方ない、俺がやろう。
「少し、下がっていてくれ。」
俺は手のひらに魔力を集中。電気を纏い、電圧を上げる。
熱いが仕方ない。自分の魔法だ。多分、周りはもっと熱い。
そして、鉄の扉に触る。扉は赤くなり溶ける。
「ここから先は宜しくお願いします。」
俺は警察にそう言う。
「帰るぞ、セラ。クレアが心配している。」
そして、俺らは再び武器屋へ向かう。
「うん。」




