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行動目標 屋外脱出

遅くなってすいません! 一月に一話、と決めていたわけではありませんがすいません! しかも短いです、すいません‼ 

二千一七年十月一日 午後二時三十分


さて、外に脱出するという事は決まったのだが、丸腰で行くわけにはいかない。

そこで、この部屋にあるもので出来る限り装備をそろえることにした。

三十分ほど探して、見つけたのは、カセットコンロ、カセットガス2つ、装着式のガスバーナー、水2リットル、カロリーメイト、LEDライト、応急医療セット、それらが入っていた非常持ち出し袋、非常用バール2本。

大体こんなもんだった。

「さてと、この中で武器になりそうなものは?」

ナナが問いかける。

「バール2本だろ」

ケンが答える。

「このガスも使えるだろ。グレネードとして」

オレが付けたす。

「じゃあ前衛はナギサ君、よろしく」

このやろうめちゃくちゃライトに一番危険なポジションを指名しやがった。

「おい、オレが前衛なのか?」

「うん!」

ナナが笑顔でバールを差し出してくる。

その後もナナがポジションを決め、結局オレが前衛、タクヤが後衛、ケンが運搬、でナナが……

「私は非戦闘員に決まってるじゃない」

こうして不服ながらもオレ達の行動が開始された。

まず慎重に重い扉を開け、周りに誰もいないことを確認する。

扉の外はかなり暗く、ほぼ何も見えない。

「ケン、ライトだ」

ケンにライトを要求する。

「ほらよ」

受け取ったライトを上に向けてみると、かなり長い階段が続いていた。

慎重に、かつ早く階段を登っていく。

ある程度登ると、上の方に小さな光が見えた。

「あの光はなんだ?」

だれともなく問いかける。

「エレベーターが生きてるみたいね」

ナナが答えた。

「なんで分かるんだ?」

「書いてあるから」

なんとこいつはこの距離であの光源のあたりがはっきり見えるようだ。信じられん。

「よく見えたな」

「だって視力10あるし」

「うそだろ……」

「うそにきまってるじゃん」

とまあこんな会話をしつつ、警戒を怠らないようにして階段を登り続けた。

「ほんとにあったよ……」

階段が途中で途切れ、踊り場のような所に例のエレベーターがあった。

「でも途中で電気が途絶えたらどうするんだ?」

質問したのはケンだ。

「大丈夫、人力でも動くから」

ナナが答える。

「人力って……いったいどこまで登るんだ?」

オレが質問する。

「最上階まで」

マジかよ……最上階っていったらここから5階プラス地下だぞ。

「大丈夫、まだ電気は通ってるから」

「お前また……」

「さて、いくよ」

オレのセリフは無視してナナがエレベーターの扉に手を掛ける。が、手動と書かれた扉はびくともしない。

ナナがこちらに振り返る。

「よろしく」

結局オレがバールで力づくでこじ開けることになった。

エレベーターの中は結構明るく、特に閉塞感も無かった。

エレベーターの動きは実にゆっくりとしたものだったが、安定感はかなりあった。

「屋上に出てどうするんだ?」

ケンが問いかける。

「ヘリで寮に飛ぼう。お前の部屋にはいろいろとサバイバルグッズがあるだろ? それに寮の屋上には……いや、着いてからのお楽しみだ」

「なにがあるんだよ」

「着けば分かるさ」

その後は特になにも話さずに静かに時間が過ぎた。

数分間じっくり掛けてエレベーターが止まった。が、扉が開かない。

ナナを見てみると無言で目を合わせてくる。

バールをねじ込んでおもいっきり押してみるが、すこし金属の擦れる音がしただけで全く開かない。

「おいケン、手伝ってくれ」

どうしようも無いのでケンに助けを求めた。

「おう」

ケンがバールに手を掛けた所でナナがこんなことを言いだした。

「まって、ここは最上階じゃない……まだ3階ね」

「どう言う事だよ」

オレが聞き返す。

「途中で乗り換えってことだ」

オレの疑問に答えたのはナナではなくケンだ。

「乗り換え?」

詳細を聞く。

「ここはもともと3階建てで、このエレベーターが造られたのはその時だ。つまり……」

「増設された分は登れないってことね」

ナナが割り込む。

「そう言う事だ」

ケンが肯定する。

にしても驚いた。ナナの知らない事をケンが知っているなんて。

「私は実物を見ただけで見取り図までは見てないからあり得ない事じゃない」

「俺は実際には見てないが、この学校の見取り図はすべて頭に入っているからな」

そう言う事か。

「で? 乗り換えってどうするんだ?」

「結構簡単だぞ、壁沿いに右に15メートルってとこだな。そっちに新設のエレベーターがあるから」

それなら楽だな。

「それが楽じゃなさそうなんだよねー」

ナナが口を挿む。

「どう言う事だよ」

またも思考を読み取られたことに驚きつつ、ナナに問う。

「いるの。ワールドキラー、長いからキラーでいっか。が」

「まじかよ……数は?」

「ここから見えるだけで20。たぶんもっといる」

いったいどこから……

「さっき開けた隙間」

よく見えるな。あと隙間を開けたのはオレだ。

「20以上となると相手にするのは厄介だな。ケン、カセットガス出してくれ。ああ、二つな。あとガスバーナーも」

「ほんとにやるのかよ」

ケンからカセットガスとバーナーを受け取り、バーナーを片方にセットし、ポケットに入れる。もう片方は手に持っておく。

「タクヤ、ケン、お前らで扉をこじ開けろ。開いたら三人は隣のエレベーターに走ってくれ」

ケンは無言でうなずき、ナナは

「りょーかい」

と言った。、

「行くぞ、三、二、一、せいや!」

ケンの掛け声で扉が開かれた。

と同時に四人で走りだす。

オレは途中で立ち止まり、カセットガスを空中に放り投げ、バールでこちらに向かってくるキラーに向けておもいっきり打った。そしてそれを爆発させるためにバーナーを点火し、エレベーターに乗り込み際に投げつけた。

すぐに扉を閉じたが、かなりの衝撃が扉に当たる。

それに続けて火災警報器が鳴りだす。防火シャッターや防火扉が作動すれば奴らの移動も制限されるはずだ。

爆発の影響なのか、エレベーターの動作が不安定だ。

それでもこちらのエレベーターはさっきのと比べると断然早く、ものの数秒で最上階に着いた。

さっきとは違い、扉はスムーズに開いた。

そこは壁一面がガラス張りで、かなり明るかった。

扉が開いた瞬間にキラーが襲ってくる、と言う事は無かったが、数メートル先、閉じた防火シャッターのこちら側に3体、幸い、まだこちらには気づいていないようだ。

奴らに視覚や聴覚と言った五感が生きているのかは謎だが、出来るだけ音を出さないように屋上へ続く階段の方へと進んで行く。

しかし階段の前には防護壁が下りており、通れそうになかった。

これはバールでどうこう出来そうにもない。しかし急がなければいつ後ろの奴らに気づかれるか分からない。

と、ナナがオレの服を引っ張った。

静かにナナの方へ寄り、ナナが指さす所を見てみると、開閉スイッチがあった。

そのことをケンとタクヤにも伝え、開ボタンを押した。

防護壁が静かに上がってくれればよかったのだが……そううまくもいかず、かなり音が出てしまっている。その上スピードが遅い。人が通れればいいので、全部開ける必要は無いのだが、それだけのスペースが出来るまでにもそれなりに時間が掛かりそうだ。

それに、後ろの奴らに気づかれたようだ。

「タクヤ! 殲滅するぞ! 右をやれ‼」

タクヤが無言でうなずくのを確認し、二人で走りだす。

「うおお!」

力を入れるために叫びながら殴る。

返り血を少し浴びたが気にしない。

残りを確認すると、すでに二体とも床に倒れていた。

不思議なことにタクヤは返り血を浴びていなかった。

出来れば後でテクを聞いておきたい。

いくら気にしないとは言ってもやはり生身の人間の血液を浴びていてはいい気はしない。

「どうだ? 開いたか?」

後ろに問いかける。

「なんとか人が通れそうなほどには! でもボタンから手離したら下がってきちゃうみたい!」

ナナが答える。

急いで扉に戻る。確かにボタンを押しっぱなしにしないとダメなようだ。

しかしボタンを押したまま通るのは不可能。

ちょうどバールの長さまで上げて、バールをつっかえ棒にしてみたが思った以上に扉が重いらしく、バールがミシミシと音を立てている。

「タクヤ、それも貸してくれ」

たくやからもう一本のバールを受け取り、それも扉に挿む。

なんとか扉を抑え、その下をくぐっていく。

最後にオレが通り抜けようとした所で何かに足を掴まれた。

この時点でいやな予感しかしないが、恐る恐る振り向いてみる。

予想通り、キラーがオレの足を掴んでいた。

自分の血の気が引いていくのが分かる。

ナナがいち早く気づいて内側に引き込んでくれたおかげでなんとか噛まれずには済んだが、オレと一緒にキラーまでこちら側に入ってしまった。

「おいケン! 荷物の中に瓶があっただろ、よこせ‼」

バールを手放してしまったので、代わりにケンから瓶を受け取る。

中には透明な液体が入っていたが、中身なんて気にしている暇は無かった。

とにかくキラーの頭を殴る。

その際に瓶が割れて中の液体が当たりに飛び散る。

キラーは一撃で無力化出来たようだ。

辺りには覚えのある匂いが立ち込めていた。

「この匂い……中身は塩素だったのか」

たぶん水の消毒用だったのだろう。

さっきのキラーだが、どうやら非常階段から来たようだ。

後ろからキラーが2,3体、隔壁をくぐってこちらへ来ていたが、なぜか、塩素のこぼれている段より高くは登ってこなかった。

「塩素には近づかないみたいね。それにさっきのキラー、瓶の一撃だけじゃ威力は足りていなかった。キラーの弱点は塩素なの?」

ナナが状況を分析している。

なにはともあれ、敵の弱点を見つけた。

これはかなり大きな発見だ。

それと、隔壁の内側にはたくさんの消火設備が整っていた。

隔壁が重かった理由はたぶん、火災の際に屋上にある航空機の燃料を守るためだと考えらられる。

とりあえず塩素をばら撒いたおかげでキラーの脅威は、一時的にではあるが、無くなったと考えて良いだろう。

階段を登り切り、最後のドアを開けて、オレ達はやっと外に出る事が出来た。

並んでいる実習用の航空機の中から、全員が乗れるだけの最低限の大きさのものを選び、乗り込んで行く。

「誰が動かすんだ?」

ケンが問いかてくる。

「そりゃあもちろん……」

「私に決まってるでしょ」

オレが言いきる前に本人が自信満々に言った。

「当たり前だろ? ナナは同系列の中ではトップクラスなんだから」

オレが補足する。

ナナは大学の中ではオレと同じく、各種乗り物の操縦系列を受けている。

その内容は名前通り、自動車から船舶、航空機など、各種乗り物を操縦する技能を学ぶわけだが……内容が少々オーバーで、シュミレ―タ―を使うので実際に乗ることは無いが、戦車や戦闘機などの軍用車両から、護衛艦まで、とにかく、地球上にあるほぼすべての乗り物の技能を身につける。

ナナはその中でもトップクラスの成績を持つのだ。

もちろん誰にだって得手不得手と言うものがある。

ナナは、操縦技術は一流だが、航空機無線などで必要となる英語が苦手らしい。

……オレも英語は苦手なのであれこれ言う事は出来ないが。

もちろんオレにも得意なものはある。

バイクと車だ。

この二つならナナにも負けない。

まぁ、その他、特に船舶操舵の成績が悪いおかげで、成績の順位は常に下から数えた方が早いものになってしまっているが。

話がそれすぎた。

で、ナナがコックピットに着き、オレはナナの隣、ケンとタクヤは後ろ、という風に乗り込み、ヘリは学生寮に向けて離陸した。


屋外に脱出するという目標を達成し、次の目標は、寮でもっと装備を整える、と言う事になった。




読んで下さりありがとうございました! 感想を頂けると尚ありがとう‼

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