行動目標 「」
予想よりは早く投稿できましたが、やっぱり遅いですね。
すいません。
年十月四日午後六時
気がつくと、周囲は暗くなり始めていた。
肌寒さを感じ、アルミブランケットぐらいバックパックに入れておけばよかったと今更ながらに後悔する。
ナナの方に目をやると、既に嗚咽は聞こえなくなっていたが、数時間前から体勢を変えていなかった。
俺は、ナナに話しかけることができなかった。
その日の夜は、本当に世界が死んでしまったかのように静かな夜だった。
十月五日午前六時三十二分
寝たり起きたりを繰り返し、ずっと寝ていたいと思っていたが、うっすらと夜が明けてきていた。
仕方なく意識を覚醒へと持っていく。
朝食に、残された数少ないレーションの一つを開ける。
ナナにも差し出したが、反応は無い。
外の様子を眺めながらレーションを食べる。
外をうろついているキラーの数は少なかったが、今までのことを考えると、どこかに身を潜めているのだろう。
乗ってきた軽装甲機動車はまだバリケードの外にあった。
軽装甲機動車には無線機と、予備の食糧や服が少なからずあるうえに、移動手段としても申し分ない。
だが、建物の内部を移動することは、あのキラーの群れをかき分けていくことと同義である。
だが、身一つで壁を下りられる自信もなかった。
午後一時
何もしなくても時間は過ぎていく。
今自分がすべきことは何なのかと、幾度となく考えてはみたが答えは出なかった。
ナナは、依然として何も言わず、ただそこに座り込んでいた。
もしかしたら助けが来るのではないかと、期待を抱きたかったが、現時点では何の動きも見られなかった。
もしかしたら仙田さんが無線でやりとりをしていたかもしれないのだが、ナナを問いただす気にはなれなかった。
午後六時三十分
今日一日、ただ食糧と水を消費しただけで、何も進展は無かった。
午前三時
仙田さんが無線機に手を伸ばす。
自分の足元に迫る死の毒牙には気付かない。
そして、ナナが仙田さんに銃口を向けた。
「うわぁぁぁぁぁ!?!?!?」
俺は飛び起きた。
「何で! どうして!? 何があったんだよ!? 答えろよっ!」
ナナの頭が鉄の柵にぶつかるのにも構わずに肩をゆすり続ける。
ナナは何も言わない。抵抗もしなかった。
ナナが床に倒れる。
ようやく今見たものが夢だと理解し、正気に戻る。
「……悪かった」
やはりナナは何も言わない。
「ナナ?」
久しぶりに見たナナの目は血走っていて、焦点も定まっていなかった。
「ぁああぁあぁあぁあああああああああっっっ!?!?!?!?!?!?」
叫ぶと同時に暴れるナナをおさえる。
「俺が悪かった! 落ち着け!」
「っ!」
それきり、ナナは深く眠りこんでしまった。
完結までもう少しお付き合いください。