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行動目標 物資確保

あと少しで書き上がる、という所でずっと停滞していたんです本当です信じてください。

今回、一話を書き上げるためにずいぶんと執筆期間が分断されたために、ほころびがあるかもしれません。その時はご一報下さると幸いです。

十月四日 午前五時十三分


 あまり深い眠りに付けず、まだ薄暗い時間に目を覚ました。

 隣の天幕で眠っているはずの仲間の過去は、あまりにも予想外のものだった。



十月三日 午後六時三十二分


「その後のことはよく覚えてないんだけど、気がついた時には病院だったわ」

 何を言えばいいのか、全く言葉が出てこない。

 自分の知らない仲間の過去は、それほどまでにショックなものだった。

「報道とかはされてないから、私が行方不明になってた理由を知っている人はほとんどいないはずだったんだけど、噂って怖いわよね」

 結局、遠くの学校への転校を余儀なくされた。

 それがあの付属高だったらしい。



午前五時十五分

 彼女があの学科を選んだ理由。射撃旅行についてくると言った理由が、少しわかったような気がした。


 午前六時。

 後藤三佐に呼ばれ、本部テントへと向かった。

 本部テントに入ると、既に仙田さんと、ナナが待っていた。

「来たな。君たちに頼みたいことがある」

「武器弾薬の補給、ですね?」

 ナナが話に割って入るが、三佐は話を続けた。

「……目的地は税関施設。目標は物資の確保だが、それ以上に職員の救出を目的とする。質問は?」

 手をあげ、質問する。

「施設にまだ人がいるんですか?」

「物資をまとめ、今日午後に合流予定だったが、今朝の定時連絡が無く、それ以降無線が通じない。足は軽機付きの軽装甲機動車を出す。マルロクサンマルには出発してもらいたい」

「了解しました」


 本部テントを出ると、すばやく朝食を食べ、装備をチェックする。

 軽装甲機動車には、オレが運転、ナナが助手席、仙田さんが機銃手となって乗り込んだ。


 ゲートが開かれるのと同時にアクセルを踏む。

 オレ達が出ると、直ぐにまたゲートは閉じられた。


 最近あいつらの数が減ってきているような気がする。

 そう話し出したのはナナだった。

「逆じゃない? ここのところバリケード周辺でよく見かけるようになった気がするんだけど」

 進行方向に死体を見つけ、ハンドルをきる。

 ナナが窓から死体をちらりと見ていた。

「……いまのって、キラーの死体ですよね?」

「ええ。ああなっているとはいえ、死なないわけではないもの」

「…………」

 ナナが何かを考えるような素振りを見せたが、その後再び口を開くことはなかった。


「あれですか?」

 仙田さんの指示通りに車を走らせると、目の前に車や瓦礫を組み合わせたようなバリケードが見えた。

「ええ。でも……」

「誰もいませんね」

 ナナが周囲を見回した。

「ここで降りましょう」

 仙田さんを先頭に、オレとナナが続く。

「これ……」

 足元に薬莢を見つけた。

「38スペシャルね」

 襲撃を受けたらしく、あちこちに転がっていた。

「行きましょう」

 建物の内部に入り、より一層慎重に歩みを進める。

 一部屋一部屋クリアリングをしていくが、生存者どころか、キラーの一体もいなかった。


「ここは?」

 半分ほど進んだところで「保管室」と書かれた部屋の前に辿り着いた。

「ここで集められた物資を保管してたはず。行きましょう」

 ナナが合図し、仙田さんが扉を開く。

 ナナに続いて部屋に入り、すばやく室内を見回すが、ここにも誰の姿もなかった。

「少し休みましょうか」

「ふぅ……」

 ずっと気を張り詰めていたので、思わず息が漏れた。

 仙田さんは無線連絡をしている。

「どうした?」

「いいものありそう」

 ナナが物資が積み上げられている棚を見に行ったので、ついていくことにした。

「食糧に日用品。輸入雑貨。武器弾薬は……」

「……残念ながらここにはないみたいね」

 しばらく物色していると、仙田さんが連絡を終えたようだった。

「さて、運び出すものだけまとめたら、残りを回りましょう」


 食糧を優先的に選び、二つの大きな荷物にまとめ、それを部屋の前に置く。戻るときにまた取りに来るためだ。

 クリアリングを再開する。

 いくつかの部屋を回ったが、生存者どころか死体すらもなかった。


 しばらく進み3階へ。

もういくつ目かわからない扉を仙田さんが開いた。

 同時に耳の横で発砲。

 振り向きそうになるのを必死にこらえ、室内に視線を落とすと、頭を撃ち抜かれたキラーと、無残にも食い荒らされた職員の死体があった。

 吐き気をこらえながら室内を見回すと、辺りは血まみれだった。

 早く出よう。

 そう言おうとした時、再びの銃声が響いた。

「走って!」

 仙田さんが叫ぶ。

 見ると、部屋の奥に通じる扉から大量のキラーが押し寄せてきていた。

 後退しながら射撃するが、三発も撃たないうちに諦め、全力で部屋を後にした。

 廊下に出ると、クリアリングがまだだった部屋から次々にキラーが出てきていた。

「早く外へ!」

「待って! 外はもう駄目!」

 走りながら窓の外を見ると、確かにナナの言うとおり、どこから現れたのか外はキラーで埋め尽くされていた。

「なら……屋上へ!」

 仙田さんの決断は早かった。

「どういうことだ!? あいつらには待ち伏せなんてする知能はなかっただろ!?」

 走りながら疑問を口にする。

「とにかく走って!」

 キラーの足はそう早くはないが、なにしろ数が多いため、十分な脅威だった。


 時折振り返っては射撃を繰り返し、前の数体を倒して後続を足止めする。

 これを繰り返し、なんとか屋上に辿り着くことができた。

 マガジンに残っていた全ての弾をキラーの密集する階段へ撃ちこみ、扉を閉める。直後、内側から扉を叩く複数の音が聞こえた。

「はぁ、はぁ。仙田さん、無線を」

「……ダメみたい」

「はい?」

「さっき走った時に断線しましたね。コンデンサも寿命ですし、はんだ付けも劣化しているみたいです」

「駐屯地もかなり混乱していて、廃棄寸前のこれしか持ってこれなかったのよ……」

 言われてみれば確かに(ナナのように内部まで分かるわけではないが)無線機には細かな傷が多く、所々塗装も剥げているようだ。

「そう言えばバリケードに62式機関銃もあったような……」

「テントにM1ガーランドもあったわね」

「一度撃ってみたかったぜ……」

「無事に帰れれば撃たせてもらえるように掛け合ってあげるわ。この世界での趣味は大切にしなきゃね」

 仙田さんの申し出は非常にありがたいものだった。

「でもその前に、どうやって脱出するか、ですね」

 外も屋内もキラーの群れで埋め尽くされ、ドアを叩く音すら止んでいない。

「今までこんなに統率のとれた行動なんて無かったのに……」

ワールドキラーの知能は皆無に等しく、ただ本能を残すのみである。

誰かがそう言ったわけではないが、今ではほとんど共通の認識になっていた。

「私たちの、認識を改める必要があるかもしれませんね」

「「…………」」

「孤立してしまった今、できることはそう多くないはずよ」

仙田さんにナナが続く。

「なら、するべきことは自然に見えてきますね」




「こっちは大丈夫でした」

「こっちもクリアよ」

昇り口より左右にわかれ、屋上のクリアリングをする。

「中央も問題なし。中も少し落ち着いたみたいです」

それぞれの報告を済ませ、次の行動方針をたてる。

「最終的な目標は基地への合流です。そのためにはここからの脱出が必要不可欠になります」

ナナが次の目標を提示する。もちろん異論は無い。

「弾薬は三人合わせて5、56ミリが約千発。9ミリはえーと、オレが四十五発で……」

 5、56ミリはちゃんと数えたが、拳銃弾はまだだったために、視線で仙田さんとナナに聞く。

「私も同じよ」

 仙田さんも四十五発。

「ナナは?」

「私はゼロよ」

 ……えーと、オレの記憶が確かなら、ここへ来てから89式以外の武器は誰も使っていなかったはずだ。ナナが拳銃を持ってきていないという事も無い。確かにナナはホルスターを装備している。

「いつのまにヒップホルスターに変えたんだ?」

 確かナナはオレと仙田さんが装備しているものと同じレッグホルスターを身につけていたはずだ。

「言ったでしょ。テントにいろいろあったって。一丁だけM360Jがあったから」

 しかしM360J(SAKURA)はオレやほかの隊員が使う9ミリパラべラム弾とは違う弾を使う。

「誰も手をつけていなかった357マグナム弾が大量に。とりあえずバラで五十発持ってきた」

「それ、元は海上保安庁に納入される予定だったやつなんだけど、見つけたはいいものの誰も使わないのよね」

「この世界での趣味は大切に、でしょ?」




 89式三丁。9ミリけん銃二丁。M360J一丁。ライフル弾が約千発。拳銃弾は合計で百四十。手榴弾が二個。食糧は三人で三日分。水は貯水タンクが尽きるまで。以上が、物資を補給しに来たはずのオレ達に残された全てだった。

最後のあたり少し書き方を普段と変えてみました。

注意

強装弾の使用が想定されていない銃での強装弾を使った射撃は大変危険です。

作中に登場するモデルはナナちゃんが勝手に改造して使用しているにすぎないため、絶対に真似しないでください。


どんなに遅くなったとしても更新を完全に止めることは絶対にございません。

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