表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密結社  作者: Homney
1/1

SD社

「まーたこの人からの依頼か。何度も断ってんのに懲りないな。……仕方ない、θ(シータ)を本社へ呼んでくれ」


 男は椅子に深々と腰掛けて一枚の紙をながめている。 顧客からの依頼用紙であり、一番上には依頼主である益川(ますかわ) 慎司(しんじ)の名が書かれていた。


「このての任務、θは嫌がるんだよなぁ……」


 白髪の混ざりはじめた頭をかきながら男は小さく呟いた。


 冷たい風が短い髪をゆらす。裏路地を照らすのに月明かりはあまりにも頼りない。しかし街灯などは一つもなく、淡い月光のほかに光源はなかった。


「相変わらず遅刻癖は直ってないのね」


 新たに生まれた人の気配に向かって声をかける。それがσ(シグマ)であることはわかっていた。

 ごく平凡な……いや、むしろ愛嬌のある顔立ちだが、私達にとってそれは他人に近付く際に警戒されにくいという利点しかない。


「待たせたか?悪いな、θ」


 σの声を風が運んできた。この暗闇ではよほど側にいないと姿は確認できないが、今になってようやくうっすらと人影がみえる。 さして気にしていない、という返事のつもりで、私は軽く肩をすくめてみせる。

それをしっかりと受け止め、「行こうぜ」と短く言うとσは歩き出した。


 それにしても……と、σは小さく呟き、こちらを振り返る。


「どうして急に俺らが召集されるんだろうな?」

「そんなの決まってるじゃない。私が嫌がるタイプの依頼が来て、断りきれず私を呼びつける。あなたが呼ばれたのは……」


 一度言葉をきり、私はσに向かって微笑む。そして、


「あなたと組むなら、私が断らないからよ」


「なるほど……」

σは早くも見えてきた本社へと目をやった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ