Interval 02
「気闘術は名前にこそ闘うという言葉が入っていますが、その本質は何も戦闘にのみ活かされる技術ではありません。むしろ人々は生活の中でこそ、この術を使用しています」
気闘術習得のための練習初日。練習前にエミリダからそんなことを言われた。スパルタというから見込みがないと思われたらアポテタイの淵にでも投げ捨てられでもしないかとびくびくしていたので、最初に心構えを説かれたときは正直安心した。
「夫は仕事に利用して、妻は家事に転用し、そして子供は遊びに使用する――そんな術だからこそ、ほとんどの者が物心ついてから読み書きと同じように覚えさせられ、比較的習得が簡単な〈強化〉や〈放出〉最低一つは使えるようになるのです」
日常で扱う言葉や文字・礼儀作法と同じで、人がより豊かに便利に生活するために必要だから習得する。人が最も能率的意欲的に取り組んでいる分野でもあるし、道理である。
「人は知恵を働かせ道具を使うことで進化を遂げてきました。気闘術も使いようによっては人の生活水準を向上させられます。ですが人が作りだした道具と同じく扱い方次第で人を傷つけることも出来るのです。刃物や薬と同じように」
「はい」
扱い方次第で人を傷つけることも助けることもできる。その分、本人の良識や道徳意識が問われる問題だ。そう理解して僕は頷いた。
「貴方が進んで過ちを犯すとは思ってません。ただ、技術が未熟な為に予期せぬ問題を起こしてしまうことがないとは言い切れません。その問題を解消するにはどうすべきか、イクスわかりますね?」
……これは答えないといけないんだろうか? なんとなく喉元まで出てきている言葉はあるのだけど、それを口にしたら最後、退路が絶たれることになりそうだ。
「………………」
しかし、エミリダの無言の重圧に耐えられる人体設計もメンタル設計も出来ていないので、僕には答える以外の道はない。
「……れんしゅうあるのみ、ですか?」
「そのとおりです」
やっぱりスパルタになりそうだ、と考えたら胃液が逆流しそうになった。
先行き不安ながら僕の修行は始まった。
短くてすいません。前の話と区切るべきか悩んだのですが章の変わり目ということでこのように分けさせてもらいました。
今までは説明ばかりでストーリーの動きが皆無でしたが、次から少しずつ動かせそうです。
只、次も短めです。




