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剣と魔法の人生ゲーム  作者: 真川塁
第1章 幼少編 ~生まれて飛び出て~
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1-1 main story unlocked

本編進行します。

 ぼくのなまえはいくしゅ。にしゃいです!

 

 ………………

 

 …………

 

 ……はっ!?


 いけない、いけない。つい肉体に精神がひきづられてしまった。鎧に魂を定着させたわけでもないのに。

 いや、なんだか長いこと喋っていないので気が狂いそうだったというのはある。


 最初の内は良かったといえば良かった。言葉がわからないのでメイドさんが何を言っているのかわからない。

 まだ歯が生えておらず喋ろうにも口を上手く動かせないのと言語を理解出来なかったことでほとんど演じるまでもなく赤ん坊でいられたと思う。


 問題はこのスポンジの如くなんでもすぐ吸収してしまう子供の脳だ。


 恐らく向上しているであろう『知力』のステータスも手伝って、この国の言語を覚えるまでに三カ月、拙くも喋れるようになるまでにも一年とかからなかった。


 しかし、1歳児は話さない。滔々と喋り出す1歳児とか天才を通り越して気持ち悪いだろう。


 2歳の誕生日をつい先日迎えたのでそろそろ話しても良いかな、とは思っている。確か赤ん坊が話すようになるのって2歳くらいからだったよな……。


 既に喋れるのにさも最近「喋れるようになった」演出をしなければいけないのは辛い。

 しかし誰とも会話をすることなく、人がいなくなった時を見計らって独り言を話しているとなんだがだんだんと死にたくなってくるから不思議。


 なので、1歳を過ぎた頃から「状況の整理を声に出してする」ことにした。

 このおかげで色々と考えを纏めることが出来た。


 まず、僕の現在の立場。

 名前はイクス・アルベート。アルベート王国国王ゼーリット・アルベートと王妃エミリダ・ゼーリットの第三子で第二王子。


 第一王子の兄ワイナードと第一王女の姉シーゼリカ。驚くべきことに家族全員が整った顔立ちという美形一家だ。これは自分の容姿にも期待が出来そうだ。


 エミリダには週の半分、ゼーリットには週に一、二度ほど会える。


 兄姉二人とは誕生日などのお祝いごとの席でしか会えない。二人がそれぞれ自分の関心事で忙しいらしいとのことだが、それ以上に「二人の影響をあまりうけないように」との処置らしい。どちらも優しいし悪い手本というわけではなさそうだが、この辺りのことはまだよくわからない。


 次に能力について。

 今はまだ確信をもって断定することは出来ないが、恐らく全ての能力が向上しているだろう、というのが、僕がここ一年の間に考えて出した結論だ。原因を追及するのは神様むこうからのコンタクトがない限り不可能に思われるので意識的に考えないようにしている。


『共感覚』についてもいまのところまだ正確な能力は把握できていない。

 まず、人に出会うことがそう無いから仕方がないといえば仕方がない。

 肉親以外ではお付きのメイドのメリィさんと医者のハーヴェス先生くらいなものだ。


 その医者に診察された時に気になることがあった。


 僕の診察中に担当のメイドさんが何かの作業中に指を切ってしまったのだ。血がうっすらと滲む指を見て痛そうだな、なんて考えていたら件のお医者さんがメイドさんに近寄っていった。何事かと見ているとなんと医者の手が突然光り出した。その状態でメイドさんの傷口に手をあてて、放した時には既に傷は跡形もなかった。

 たぶんアレがこの世界で『超能力にあたる存在』なのだと思う。いや、そうに違いない。


 僕の直感がそう『認識』した。


 なので、その力について赤ん坊なりに情報を集めてみたが「気闘術」という名前以外はよくわからなかった。


 あ、そうそう。この世界には「魔法」もあるらしい。

 その辺りに関しては神様任せだったので、知ったのは最近である。


 魔法もあり、超能力的な能力もある世界というのは両立が難しい気もするので、意外と此処は中世風の学○都市とかなのかもしれないとか思ってたり思ってなかったり。

 まぁ、「気闘術」と「魔法」の違いは生きていくうえで追々とわかってくることと思う。




 ガチャリ、と扉を開けてメイド――メリィさんが入ってくる。柔らかな物腰と優しい顔つきが特徴の美人さんだ。多分、年齢的には前世の僕と同じかそれよりちょっと上、と言ったところだろうか。


「イクス様、調子はいかがですか?」


 このように普段からやたらと僕に話しかけてくれる。そしらぬ顔をして手足をバタバタさせる度に実は喋れる身としては心苦しいが仕方がない。


 そんな生活ともそろそろおさらばだ。


 もう2歳だし、そろそろ……喋っゴールしてもいいよね……。


「メリィさん、いつも御苦労さまです」


「………………え?」


 時が、止まった。


 ヤバイ、つい独り言の時のくせで明朗快活にはきはきと喋ってしまった。

 それを目の当たりにしたメリィさんは目を丸くして、手にした絵本を床に落下させた。


「イクス様が赤子とは思えないしっかりした発音で更に敬語も交えて初めて喋ったー!」


 普段のメリィさんからは想像も出来ない声量と口調でそう言いながら部屋を飛び出していった。

 僕の両親にでも報告にいったのだろうか。いや、ハーヴェス先生を呼びにいった可能性もあるな。


「……次は気をつけよう」


 またしてもしっかりとした発音で独り言を漏らし、しっかりと今日の失敗を胸に焼き付けた。



 本当はもう少しモブキャラ話で物語内の時間を進行させたかったのですが(少なくとも王、兄、メリィさん辺りはやろうと思ってました)、予想以上に話が浮かばない&単純にモブキャラ話が面白くないのでさくさくと本編進行(主人公視点に)することにしました。

 

 ストックも切れ、自転車操業中ですがとりあえず7月いっぱい(明日までですが)は毎日更新したいな、と思っているのでよろしくお願いします!

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