Mob story 01 とある旅人の手記
タイトル通りモブキャラのお話になります。
内容的には世界観設定ですね。
そこまで本編に大きく関わってくることはないと思うので読まなくてもオッケーです。
天秤の月 上三日
今日、アルベート王国の首都についた。
アルベートは小国で首都以外には街と呼べるような集落は存在していないので、首都といってもヴァーミル王国のような絢爛さはないが、街は活気に溢れていた。そこらかしこからモノを売る声や人々の笑い声が聞こえる。どうやら賑わいのある小都市のようだ。
しかし、その中でも一際大きく聞こえてくるのは歌だった。
聞いたことがないメロディになんの歌かと聞いたところ、アルベートの祝い事の際に歌われる歌だという。
よくよく見ると日中にもかかわらず葡萄酒を飲んでいる者も多い。
国の祝祭なのかと街の住人に尋ねたところ、どうやらアルベート国王の第三子が生まれたとのことだった。
なるほど、めでたいことだ。
しかし、第三子でここまで祝うことはあるのだろうか?
私の国でも王に第一子が生まれた時はいまのこの国と同じように国をあげての祭りになった。しかし、二人目三人目ともなれば国をあげて祝うということはない。精々、領主や貴族が覚えをよくするために祝いの品を送るくらいだろう。
何か特別な事情でもあるのだろうか?
そう問いかけたところ酒気を帯びて陽気になっている街の住人が説明してくれた。
大陸の中央よりやや北西に位置するここ――アルベート王国は歴史の浅い国だ。
先の人魔戦争の折りに現国王の曾祖父にあたる〈三勇士〉が一人、ゼノン・アルベートが魔人族との闘いの為に攻め落とした城を兵の休める場所とするために周囲に簡易な休息地を作った。
その後、戦争で多くの戦果を立てたゼノンは戦後その城を賜り、彼を慕ったものが城下に住むようになったのが国の始まりだそうだ。
小さい国なので王と町民の垣根が低く、そのため城下でのちょっとした問題にも即座に対応してくれる王はすべての国民に慕われているという。
現在の王、ゼーリットはよくも悪くも憎めないで、幼いころは身分を隠し城下へと繰り出しては悪事を働くモノを懲らしめてたという。
彼の妻である王妃エミリダを娶るために大国ヴァーミル王国に戦争を仕掛けようとした時は国民全員が死を覚悟したものだ、と人々は笑う。
しかし、そんな青年も20という若さで戴冠してからは王としての風格が出てきた。早逝したゼーリットの父、前国王のワイゼルも草葉の陰で喜んでいることだろう。
アルコールのせいか微妙に脱線したり要領を得ない説明となっていたが、ようは第三子とか関係なく「王の子の誕生」というめでたい出来事を祝福しているのだという。
歴史の浅い国なので国民の結束も弱いのかと思いきや、中々に強く結ばれているようだ。
――国民がこれだけ誇らしく笑顔で話すのだから、きっと良き統治者なのだろう。
そんなことをぽろりと口にしたら、「話がわかる」と街の人々に気に入られ、酒や料理を奢ってもらった。
町の人々と手厚い歓迎と今日この日に生まれてきてくれた第三子に感謝しよう。
ゼーリット王国第三子の誕生に乾杯!
お粗末さまでした。
乳児期はこのように主人公以外の人物の一人称(もしくは三人称)で世界観やら人物設定やらを固めていけたらな、と思ってます。




