アリシウル帝国記 第三章より
魔導式機巧騎士
魔力により動き、魔力がある限り無限再生する理想の兵器。
完全な遠隔操作による圧倒的な動きと通常ではありえない速度による殲滅。
とある王国の狂科学者により生み出された機巧人形でありながらその有用性によりあらゆる国で生産が開始された。
しかし、その完璧と思われた兵器でさえも人が居なくては何の役にも立たない人形へとその姿を変える。
そこでとある帝国のとある男が考えた。
「圧倒的魔力を誇る人を魔導式機巧騎士に改造してしまえばいい」と。
数年後、男は魔導式機巧騎士に改造したヒトを作り出した。
元になった人の名をとり「シオン・ヴァルキリー」と名づけられた魔導式機巧騎士は従来を超える性能であり、尚且つ自我がある事による単独任務の可能により瞬く間にその名を帝国中に広めていった。
しかし、十数年が経ち皇帝が変わるとシオンはその名声を落し始めた。
皇帝がシオンの力を恐れ、徐々に立場を無くしていったのだった。
そしてある日、シオンは皇帝に呼び出され告げられた。
「お前を今から封印する」、と。
シオンはそれを了承した。
何時の日にか皇帝の子孫によって再び解放させてくれるなら、と。
―――「アリシウル帝国記」第三章、機巧騎士の王より―――