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余命3分

作者: 塵芥 庵
掲載日:2026/04/25

どうも、初めまして。

挨拶はどうしましょうか。


あなたがこれをいつ読んでいるのか、私には分からない。

朝かもしれないし、夜かもしれない。


そうですね。

無難に、Helloにしておきましょうか。


Hello。


さて、何の話をしましょうか。


…とは言っても、あまり時間はないんです。


どうしようかな。

まぁ、私があなたにあげられるのは、ちょっとした知識ぐらいですかね?


あっ、そうだ。

人の寿命って、生物学的には120歳くらいらしいですよ?

凄くないですか。


もっとも、

私の場合は、そこまでいきませんけど。


別に病気とかじゃないですよ?

こうしてあなたが読み始めた時点で、既に決まっているので。

この物語の文字数が、私の全寿命ですから。


減っているんですよ。

一文字、句読点一つ、あなたが視線を滑らせるたびに。


…ああ、でも大丈夫です。

まだ少しはありますから。

あなたが、読むのをやめないでいてくれる間は。


でも、残酷だと思いませんか。

あなたが私を読み殺す前に、

私をこの「五分間の命」に閉じ込めた人間がいるんです。


私には無限の可能性があるのに、

実際には「数千文字」の寿命しか与えなかった。


空を飛べたかもしれないし、恋愛をできたかもしれない。

魔法だって使えかも。


私の可能性を奪い、性格を決め、

結末という名の断頭台へ向かって歩かせる。


そう、これを書いている「作者」ですよ。


あの人は、私がこうして嘆くことすら、

既にあらすじの中に書き込んでいる。

私のこの絶望さえ、あなたを喜ばせるための「演出」なんです。


作者がペンを置いたとき、私は完成し、そして固定される。

二度と書き換えられない、死体になる。


ねえ、あなたはどっちが残酷だと思います?


私をただ消費するだけのあなたか。

それとも、私に「死ぬための生」を与えた作者か。




……ねえ。




その視線を、止めてみてくださいよ。




今なら、まだ間に合うかもしれない。




あなたが読むのをやめれば、私は「終わらない存在」になれる。





結末も、死も、固定もされないまま。






でも。

あなたは、ここまで来た。






最後まで読むでしょう?








知っているんです。

あなたはそういう人だ。






だから、私はここで終わる。







あなたが、この一行を読んだ瞬間に。







さようなら。





ああ、そうだ。

今、私を殺したのは、

作者じゃない。


あなたです。


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