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1-5

「リーナお嬢様!」


「お嬢様が目を覚まされました!!!」


ベッドの傍に6人ぐらいいて、

起きるなり大騒ぎをされてびっくりする。


普通アンナが1人で起こしに来てくれるわよね?

どうしたのかしら?


そう思っていると、3人の男性が部屋に飛び込んで来た。


「リーナ!」


「無事か?」


次々と言葉をかけられ戸惑う。


部屋に飛び込んできた男性、


1人は父のセルゲイ


1人は長兄のアレクセイ


そして、次男のレオナルドだ


ちなみに母は亡くなっていている。


それにしても、どうしてアレクセイ兄さんがいらっしゃるのかしら?

領地にお住まいで、領地からこの本邸まで馬車で5日、

馬で駆けてきたとしても2日はかかるはずなのに。


ぱちくりとしていると、医者らしき年配の老人が、

ゆったりとした声で話かけてきた。


「もう、大丈夫でしょう、

 元々体に悪い所はございません。

 ショックで寝込んでしまわれただけです」


その言葉に。


「そんな!」


「ショックだなんて!」


「辛かったんだな、もう大丈夫だぞ」


と次々と言葉がかけられる。


そんな様子に呆れたような顔をした医者は、

それでは私はこれでと言って、部屋を去ってしまった。


しばらくして、3人が落ち着いた所で、

アンナから紅茶をもらい、やっと話をする事ができた。


「ご心配おかけして申し訳ございません、

 もうどこも悪い所はございませんわ」


そう言っているのに、3人はまだどこか心配で、

不安げな雰囲気を変える事はなかった。


「それにしてもアレクセイお兄様、

 いつお屋敷に戻られましたの?

 領地から家まで時間がかかりますのに」


「馬を飛ばして2日で帰ってきた」


その言葉にあれ?と思う、

昨日セバスチャンから連絡がいったとしても、

日が合わない気がするのだけれど・・・


私が理解していないのを察したのか、

アレクセイお兄様が私の髪を撫でながら、

優しく答えてくれた。


「リーナ、お前は3日間眠っていたんだ」


「3日ですの?」


全然自覚がなかったが、3日も眠っていたらしい、

あーそれじゃ心配性で私に甘い家族が、

必要以上に心配してくれた事に納得がいく。


多分、アホンダラ王子との婚約破棄のショックというよりは、

いきなり前世の記憶が戻り、その処理に脳が時間を必要としたのだろう。


婚約破棄の時は、本のそのシーン中心に記憶が戻ったのが、

今では幼少期の頃から学校で習った事、

OL時代、ハマっていたパフェ巡りの事まで鮮明に思い出せる。


一部だけぼんやり戻った記憶が、

完全に自分と一体化した感じだ。


そんな事を知らない父や兄達は、

「そんなに婚約破棄がショックだったなんて・・・」


と思い込んでいる。


はい、まあ、普通そう思いますよね。


いえいえ、前世の記憶が戻ったせいですと言いたい所だが、

それを伝えた所で、余計家族を心配させるだけなので、

前世の事は誰にも言わない事にする。


私がプリシア様を攻撃しなくて、

家族をきちんと守ればそれでいい事だから。


「お兄様はい!」


そう言って両手を広げる。


そうするとアレクセイお兄様がぎゅっと私を抱っこしてくれる。


ああ~幸せ~


本の中の世界だけあって、王子は当然の事として、

家族もかなりのイケメンなんだよね、


しかも、長兄とはシスコン、ブラコンの関係。

いちゃいちゃが通常運転。


「可愛いリーナ、もう私がいる、大丈夫だよ」


「やっぱりアレクセイお兄様が世界一ですわ!」


そう言って、私は長兄をぎゅっと抱きしめる。


その様子に、やっといつもの調子が戻ったと、

父と二人目の兄も落ち着いたようだった。

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