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1-3

ロシェット家の門に到着する。


家が見えるが遠い。

いや、家という表現に語弊があるだろう、

お屋敷と表現すべきだ。


それも当然だ、王族に次ぐ貴族、公爵家。

私が魔法を使えないせいで、第二王子と婚約していたが、

それさえなければ間違いなく第一王子と婚約していたであろう、

ぶっちぎりの筆頭公爵家なのだ。


我が家は代々強い権力を持ちながらも、

極力争いを避け、

民の生活が向上するよう心を砕いてきた。


なので王族からの信頼が厚いばかりではなく、

民からも人気も高い。


そんな公爵家の一員である事は私の誇りだ。


第二王子が、魔法が使えないと分かっていても、

私を丁寧に扱うしかなかったのも頷ける。


大きな白い門が開き、庭へと入る。


しかし、私はまだ馬車に乗ったままだ。


門から住居があるお屋敷まで、

幾何学模様に刈られた樹木が植えられ、

大きな噴水、女神の像などがある。


そらを馬車で眺めながら、お屋敷まで向かう。


リリアーナの時は何とも思わなかったけど、

こうして日本人の感覚が追加されると本当凄いわ~


赤坂離宮にいきなり住んで下さいと言われるような感覚?


とにかく、全てがスケールが凄すぎて、

庭でこれだと、屋敷の内部では、

芸術価値とか、資産価値とか、値踏みしてしまいそう。


屋敷の門の前に来て、やっと私は馬車を降りる。


従者が恭しく手を差し出し、私はその手を取って降りる。


大きな扉が開き。


おおおお~と言いたいのを何とか抑え屋敷の中に入っていく。


「セバスチャンはいるかしら?」


いきなりの私の言葉に、控えていたメイドは驚いたようだった。


「お呼び致しましょうか?」


「ええ、お願い」


私の言葉を受けて、競歩かと思われるスピードで、

しかし、優雅さは失わないという、

器用さを発揮してメイドが去っていく。


私はそのまま玄関先で調度品を眺めていく。


絵1つとっても、芸術性が高く、

恐ろしい価値のある物なのだろう。


玄関に飾る程の物だしな~と、じっくりと眺めていく。


そうしていると、同じく競歩の歩みで、

セバスチャンがやってきた。


「リーナお嬢様、お呼びでしょうか」


私は無言でアホンダラ王子のサインが入った書類を、

セバスチャンに渡す。


「これは!」


流石にセバスチャンも驚いたようだった。


「お父さまと・・・そうね2人のお兄様とも

 お話がしたいの、そう伝えて下さる?」


「すぐに手配致します!」


元々我が家の侍従、メイドは私に甘い。


公爵家の忠誠以上に、自分の娘のように、

大事に誇りに思ってくれている。


それを知っているので、気心が知れた、

一部の使用人には愛称のリーナと呼ぶことを許し、

セバスチャンはその許しを得た1人だ。


いつも好々爺としているセバスチャンが、

心底怒っているのが分かる。


そんなセバスチャンを嬉しく見ながら、

小説での私はプリシア様を傷つけ、

皆を苦しめてしまった小説の自分を振り返る。


私の事だけでなく、皆も守らないと!


私は強く決意する。


大切な人達、私は1人ではない、

小説の強制力がどこまで働くか分からないけど、

やられっぱなしですますもんですか!


大きな窓から光が差し、

玄関を美しく照らし出し、

私の決意を讃えてくれているようだった。

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