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大教会に向かい、身分を明かし、
教会の幹部と会う。
「今どれぐらいの人が亡くなっているの?」
「今16人程です、
発病者は100人少しいて、
手立てはなく、死を待つのみです」
16人・・・小説なら失われなかった命。
もっと早く知っていればと後悔しても遅い。
今からでも、1人でも救わないと!
「私が回復魔法をかけます、
患者を全て集めて下さい」
「え?リリアーナ様、
回復魔法が使えるのですか?」
「ええ」
心底驚いた顔をした教会の幹部に頷く。
そう、ついさっきね。
私の黒の魔女から告げられた能力、
他人の魔法を奪う魔法を天宮那奈に使った。
黒の魔女の言葉に従った代償は大きい。
他人の魔法を奪うのは、
ほとんど例がないため禁止されていないが、
禁忌の行為だろう。
はっきり言って、婚約はまた破棄される公算が大きい。
ごめんなさい、リオレイル様。
愛していたわ。
でも、物語を知りながら、このまま放置はできない。
なぜなら、小説で聖女が現れなければ、
国中に病気が広がり、
多くの民がどんどん死んでいる所だと書かれていたから。
今はまだ初期状態、
対策のマルエプチ芋もある。
今しか手を打つ時はないのだ。
教会の幹部が準備ができた事を告げに来る。
私は決意して、魔法を使う。
自分の中に今までにはない力がある事を感じる。
どうか、全員良くなって。
私は祈りのポーズを取り、魔力を解放する。
すると、私の体から、金色の光が溢れ、
教会中に広がる。
そして、それは光の粒となり、
まるで流星のように、
患者の中に吸い込まれていった。
「あれ、痛くない?」
「苦しくないぞ!」
教会中から歓声が上がり、ほっとなる。
どうやら全員助けられたようだ、
これで本の通り、全ての民が救われるだろう。
そう思っていると、リオレイル様が教会に駆け込んできた。
「これは・・・」
歓声に沸く教会に、リオレイルが息を切らして、
何とか言葉をつむぐ。
リオレイル様には、手紙で全てを伝えておいた。
私が回復魔法を奪う事を。
決意したはずなのに、リオレイル様の姿を見ると、
涙が溢れてくる。
「ごめんなさい」
私はそれしか言えなかった。




